(情報掲載日:2018年2月13日)


新たなボランティア活動として、地域振興のサポート、観光地でのガイド、スポーツ競技会のアテンド、自然災害被災地での復興支援などが増えてきました。インターネットの活用が進み、参加を呼びかける側と参加する側もつながりやすくなっています。なかには、ビジネスパーソンとしてのスキルが活かせたり伸ばせたりできるものもあります。そんなボランティア活動の最近の傾向や、参加することで得られる効果についてご紹介します。

●地域に根ざした活動

内閣府が発表した「平成27年度 特定非営利活動法人及ひ゛市民の社会貢献に関する実態調査」によると、ボランティア活動に関心を持っている人は59.6%、過去3年間にボランティア活動をしたことがある人は23.3%にのぼっています(※1)。また、ボランティア活動を種別に見ると、「まちづくりのための活動」「子どもを対象とした活動」「安全な生活のための活動」「スポーツ・文化・芸術・学術に関係した活動」への参加が増えていることが、総務省統計局の発表した「平成28年社会生活基本調査 生活行動に関する結果」から分かります(※2)。

東日本大震災を機にボランティア活動は大きく広がりましたが、ほかにも、地域活性化の動き、外国人観光客の増加、各地での自然災害の増加、スポーツイベントへの注目の高まりが、ボランティア活動への関心や参加を促していると言われています。さらに、SNSなどインターネットを通じた情報の得やすさ、スピード感、コミュニケーションのとりやすさが、ボランティア活動をより身近なものにしました。

小中学校では、ボランティア活動の体験を通じて道徳性を育成することへの配慮などが学習指導要綱の中で示されており、高等学校では、ボランティア活動などに関わる単位認定が学校教育法施行規則により制度化されています。大学では、ボランティア活動を取り入れた授業科目を開講するところも増えてきました。社会に出る前から、ボランティア活動に接する環境が整ってきています。


●新たな活動、企業の活動

ボランティア活動には、個人で参加するものだけでなく、企業の一員として参加できるものもあります。

個人で参加するものとしては、森林や里山の保護や農作業を手伝う援農が、自然に接することができる新たなボランティア活動として注目されています。最近の社会現象に向き合う活動としては、賞味期限の迫った食品などを集めて施設に提供するフードバンクや、貧困や孤食の子どもに食事を出す子ども食堂も話題です。その他、高齢者向けのサポート、スポーツの指導、交通安全・防犯活動、観光ガイド、イベントでの案内・通訳・清掃などがあります。

企業の一員として参加するものとしては、上記のような個人参加と同じ内容の活動を有志グループが率先して行う形が中心ですが、専門職や技術職の従業員が小・中・高校で教える出張授業、講演や文化イベントの開催など、業種や職種に関連させた独自の活動もあります。このような取り組みはCSRへの意識の高まりを背景に広がっており、基金の設立や社内募金による金銭的支援の動きも見られます。ボランティア休暇制度を導入したり、従業員による社会的な貢献活動を社内で表彰して、ボランティア活動への従業員の参加意識を醸成する仕組みを設けているところもあります。

※1:内閣府「平成27年度 特定非営利活動法人及ひ゛市民の社会貢献に関する実態調査」
https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/h27_houjin_shimin_chousa_all.pdf

※2:総務省統計局「平成28年社会生活基本調査 生活行動に関する結果」
http://www.stat.go.jp/data/shakai/2016/pdf/youyaku.pdf

●プロボノとは何か

プロボノとは、「公共善のために」を意味するラテン語 pro bono publico を略した言葉です。以前は弁護士の無料奉仕で行う活動を指す用語でしたが、現在では専門的な知識やスキルを活かした公共善のためになる活動全般を意味しています。一般的なボランティア活動では、自分の知識や経験のないこと、得意ではないことも行いますが、プロボノでは、仕事を通じて身につけた専門的なスキルや知識、経験を活かしたことを行います。プロボノは言わば、自分の仕事で得たものを社会に還元する活動です。
個人の社会への新しい関わり方、新たなキャリアの作り方としても注目を集めているほか、企業が力を入れて組織的に取り組むケースも見られるようになりました。

プロボノを始めるには、まず、受け入れ志望団体と活動志望者のコーディネートを行っている仲介組織に登録するのが一般的です。自分のスキル・経験・希望など、登録内容に応じて受け入れ先が紹介されます。期間は、数日で終わるものから数か月間にわたり定期的に活動するものまでケースバイケースです。活動先は、NPOやNGO、地方自治体、中小企業が中心です。
内閣府が発表した「ボランティア関係参考資料」(平成26年)によると、プロボノに登録する人は年々増加しています。登録者の社会人キャリア年数は分散しており、5人に1人はキャリア5年以下で、若手層であっても積極的に登録する姿勢が見られます(※3)。

●どんな活動をするのか

NPOやNGO、地方自治体、中小企業には、人数が少ない、専門知識や経験に乏しい、資金的に厳しい、活動範囲が狭い、といった悩みを持つところが一般的には多いものです。それに対して、自立的に効率的に事業や活動が行えるようサポートするのが、プロボノの活動の基本です。延々と続くルーティンワークではなく、限定された明確な目的とゴールを持つテーマに集中的に取り組む形になります。
活動内容の例としては、事業や作業スキームの構築、プロジェクトの設計、マーケティングやプロモーションのアドバイス、ホームページ作成などが挙げられます。

プロボノでは、さまざまな業界、キャリアのビジネスパーソンたちがチームとして集められ、一つのテーマに対して一緒に話し合いながら進めていくケースが多く、参加者には、意識が高く、高い能力やスキルを持つスペシャリストも少なくない、という傾向があります。
そのような人たちから新しい何かを吸収したり切磋琢磨し合うことができ、よい緊張感を持ちながら臨める場にもなるといえます。また、社内の業務とは異なり、上司・部下の関係や部署間の関わりがないため、社内とは違う雰囲気のコミュニケーションが体験できます。

※3:内閣府 市民活動促進担当「ボランティア関係参考資料」(平成26年)
https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/report33_ikenkoukan_3_6.pdf

●短期的に得られる効果

ボランティア活動では、相手に安心感や目的に対する満足感や達成感を与えるだけではなく、私たち自身もたくさんのものを得ることができます。

町がきれいになったり、農作物が収穫できたり、イベントが無事終わったり、といった目に見える成果や、技術や知識の習得・向上といった目に見えない成果が得られます。初めて出会う人たちと話しながら力を合わせて行う活動の中からは、今までにはない全く新しいネットワークや人脈が生まれます。相手からの感謝の言葉や笑顔は、何より心に残る贈りものといえます。ボランティア活動自体も、日常の生活や仕事では得がたい貴重な体験です。

精神面では、社会貢献したという充実感や清々しさ、仕事とは違った目的を達成する満足感、人間としての奥行きや広がり、誰かから自分が求められ頼られる喜び、などを得ることができます。これらは、自己成長に通じるものです。

●長期的に得られる効果

ボランティア活動は、長期的にも私たちに好影響を与えます。ボランティア活動の環境は普段とは違うため、例えば、社内や家族の中での共通認識や共通言語、あうんの呼吸は通用しません。すると、相手に合わせた言葉の使い方や説明の仕方が大事になります。相手を正しく認識して理解するための、確認や質問の仕方についても同じです。このような、自分と異なる立ち位置で物事を考えるという行為は、たくさんの視点を知ることにつながり、より広く高い視点から思考する力を育んでいきます。

多様な人たちとの交流によって、日常生活や仕事では発揮する場がなくて埋もれていた能力を発見したり、当たり前と思っていた知識の豊かさを実感することがあります。自分の得意分野、強みと弱み、特徴などに改めて気づくのです。この気づきは、自分のポテンシャルを刺激して、自信、向上心、プロ意識へとつながっていきます。 また、若者として、年長者として、親として、子として、住民としてといった意見や行動を求められる場面もあるため、自分が持っているさまざまな側面を強く意識するきっかけになります。これは、物事を複眼的に考える姿勢へとつながっていきます。

こういった効果は仕事においても、企画立案やアイデア発想、より良好なコミュニケーションなどに役立ちます。ボランティア活動は、生産性や意欲、仕事の満足度を高めるという研究結果もアメリカやイギリスで報告されています。

ボランティア活動は相手に喜んでもらえるだけではありません。自分にとっても知識やスキルが身につくという意義の大きな活動だといえます。人として、ビジネスパーソンとして、自分も成長できる素晴らしい可能性を秘めた場に参加してみませんか。

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