(情報掲載日:2017年11月10日)


自分の目標となるような人物を持つと、仕事においても生活においてもプラスの作用が生じます。自分にとっての道標となるだけでなく、その人に接して得られたスキルや知識を吸収・理解・実践することで、上手に目標に向かって歩んだり夢に近づいたりできるようになります。行動面でも精神面でも支えとなる自分のメンターを探してみませんか。

●メンターの意味

メンターの語源は、ギリシャ神話に出てくる賢人の名前「メントール」です。師匠、指導者、コーチ、恩人、支援者などと訳されており、自分にとって目標となる存在、刺激を与えてくれる存在、適切な助言や方向性を示してくれる存在、憧れの存在を意味します。メンターに導いてもらう人を「メンティー」と呼びます。
メンターの対象には、親、学生時代の先輩、会社の上司や同僚など近い存在のほか、歴史上の偉人、作家や政財界の著名人、小説や漫画の主人公など、日常的に接することのできない遠い存在も含みます。

メンターは、具体的には、メンティーが前に進みにくい、舵取りできない、身動きに困ったといった不安や疑問を乗り越えられず停滞している時に、解決のヒントを示し決断を促してくれます。メンターが導いてくれたという連帯感は、精神的な安心感、勇気、意欲ももたらします。
また、メンターはロールモデルであるため、メンターの足跡や結果を見つめると、歩むべき道をイメージしやすくなります。メンターが経験してきた成功の喜びや達成感には、メンティーの気持ちをいっそう高めてくれる力もあります。


●メンターの活用例

メンターの存在意義・担う役割に注目し、活用する企業や組織もみられます。例えば、若手社員、女性幹部候補、中堅社員などを対象としてメンターとメンティーを決めて定期的に交流する場を設ける制度は、IT、製造業、小売などさまざまな業界で導入されています。この際、直属の上司ではなく別の部署からメンターを選ぶようにすると、より客観的な立場からの話が聞けるため、メンティーが心理的に話しやすくなるといわれています。
成果としては、社員間のコミュニケーション円滑化と共感力醸成、メンティー側の精神的不安解消とモチベーションアップ、メンター側のリーダーシップ育成などがあげられています。特に、仕事の専門化や細分化が進んだ少人数のチームにいたり、他の部署との連携が少ない業務を担当している人にとって、メンター制度は効果的だと考えられています。

メンターを持っている著名な経営者、学者、スポーツ選手がいることも、よく知られています。同業の先達のほか、スティーブ・ジョブズ、坂本龍馬、本田宗一郎などをメンターにしている話がインタビューや自伝などで語られています。メンターの存在によって壁を乗り越えて、自分の目標を果たしたり夢を実現したりした著名人がいることは、メンターの効用を示す好事例です。


●探し方のポイント

まずは、自分が何となく惹かれる人や憧れる人を浮かべて、候補をあげます。具体的に、自分の今抱えている課題や知りたい分野について経験が豊か、専門知識を持っているなど、尊敬する人もあげます。全面的ではなく部分的に惹かれる、尊敬できる、という人で十分です。
次に、候補としてあげた人それぞれに対して感じる魅力や凄さを考えます。「何となくいい」というぼんやりした魅力や凄さではなく、具体的に「この人のどんなところがいいのか」「この人の何から何を学びたいのか」を考えることが大切です。他人から聞いた評価ではなく、自分自身の言葉で明確に説明できるようにします。これは、自分が成長した時に、そのメンターを卒業して新しいメンターを探した方が良いかを考えるのに役立ちます。

候補が揃ったあとは、目的・テーマ・興味によってメンターを並べます。例えば、プレゼンテーションはこの人、コミュニケーションはこの人、情報へのアンテナの張り方はこの人、仕事とプライベートの両立の仕方はこの人、などに細かく分けます。
一つの目的に対して複数の人があてはまる場合は一人に絞ります。一つの目的に対して複数のメンターを持つと、どちらを参考にするか戸惑いが生じるためです。接しやすさを優先させて、今の自分により親近感のある人を選びましょう。迷った場合は、継続的に結果を出している人や長年の経験を持つ人にします。そのほうが多くのケースを知っているため、より的確なアドバイスが得られると考えられます。



メンターの探し方


こうして、目的・テーマ・興味の数だけメンターを持つようにします。メンターは一人に絞らなくていいのです。何もかも頼れるような一人のメンターは見つかりにくいですし、メンターを何人か持つことで刺激が増え、自分なりに統合させてオリジナルな思考が生まれる効果も期待できます。

メンターは遠い存在の人でも構いませんが、できるだけ近い存在の人から探します。リアルなコミュニケーションがとれるメンターからは、その場に即した細かなサポートを得やすいためです。


●メンターとのつながり方

メンターを決めたら、近い存在の場合は直接本人に「メンターになってもらいたい」旨を伝えることになりますが、言い出しにくさやメンター側の受け入れやすさを考えると、まずは準備期間を設けたほうが好ましいでしょう。仕事を手伝う、メンターの参加している会に加わるなどして、接点を作ったり増やしたりしておくという事前準備です。そうして、少しずつ会話を増やし、ある程度自分について知ってもらった上で依頼したほうが、メンターとメンティーの関係がスムーズに作れます。

メンターが遠い存在の場合は、まずはメンターの著書や記事や映像などの情報を集めます。その中から自分に響く言葉や真似したい行動を書き出す、スクラップするなどしてまとめるようにします。メンターが座右の銘としている言葉、尊敬している人物、読んだ本も参考になります。
ことあるごとに、それらを読み返したりまとめ直したりしながら、「こんな時、メンターだったらどう行動するだろう」「どう考えるだろう」と自分のケースに置き換えて行動、思考するようにします。メンターの言葉や写真を手帳にメモしたり目につくところに貼っておくと、メンターの存在をより意識しやすくなり効果的です。


●ポイント1:メンターの導きやすさを考える

上記のように、メンターは解決のヒントを示し決断を促してくれる存在です。あくまで解決のヒントであって、解決の方法を示しはしません。メンティーは、受動的にメンターから教えてもらうのではなく、能動的に「双方向の対話」をしながら解決の方法を探るという立場です。従って、「メンティー側からの発信」は、メンターとのコミュニケーションにおいて重要な前提になります。

メンターとのコミュニケーション方法の1つ目のポイントは「メンター側の導きやすさを考えた発信」です。
メンターを選んだ理由は、最初に詳しく伝えるようにします。「あなたからこんな影響を受けているため」「あなたのこういうところが理想だと思うため」「あなたのこんな経験を参考にしたいため」といったメンティーの思いを知ると、メンターはより具体的に導きやすくなります。
メンター自身が語りやすい体験談に関しては積極的に質問します。とった行動や結果だけでなく、「その時どう考えたか」「なぜそうしたか」を、より深く聞くよう心がけます。成功談だけでなく失敗談について「どこでつまずいたか」「どう乗り越えたか」「何を支えにしたか」「そこで得た教訓」などを尋ねると、貴重な学びになります。


●ポイント2:メンティー自身を知ってもらう

2つ目のポイントは「メンティー自身の思考や状況の発信」です。
自分の胸の内や現状を素直にメンターに伝えます。「何に直面しているか」「どう考えているのか」「将来どんな目標を描いているか」といった内容を具体的に知るほど、メンターは自分の引き出しの中から適したヒントを取り出しやすくなります。
メンターから得たヒントを元に起こした行動の経過、状況も随時報告しましょう。「その後どのように行ったか」「どんな経過や成果が出たか」「それに対して自分はどう思い、どうしたいのか」を伝えると、状況の変化に応じた充実した対話が生まれます。

メンターとのコミュニケーションにおいて心得ておきたいのは、メンターに依存しすぎないこと、メンターとの対話自体に満足してしまわないことです。メンターと接するなかから、メンティーが自発的に自律的に考えた上での実践こそが肝心なのです。
また、メンティーの実践による好ましい結果や目的の達成は、メンターにとっても喜びとなり恩返しになることも心に留めておいてください。

事態を好転させてくれたり、仕事の進捗を加速させてくれたり、成長を促してくれたりするようなメンターは必ずいます。自分のメンターを持って物事に取り組んでみませんか。

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