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(情報掲載日:2017年10月10日)

いまを勝ち抜く人間力

人の能力を引き出す接し方

vol.69


会社や組織の中で組織力や生産性を高めるためには、自分の能力を伸ばすだけでなく、他の人の能力を引き出すことも大切です。他の人の能力は、研修やトレーニングの場に限らず、日常の接し方によっても充分に引き出すことができます。後輩や部下に対する接し方についてのポイントや工夫をご紹介します。

接し方のポイント

●その世代の持つ時代背景

各世代によって考え方や物の見方が異なるため、自分とは違う世代への接し方に試行錯誤する人は、いつの時代にもいます。接する相手の世代の時代背景を知っておくと、その世代の人の考え方や物の見方への理解は進みます。
例えば、最近の若い世代の場合、完全週5日制や絶対評価を導入した学校教育を受けた、デフレ経済を幼い頃から長年経験してきた、という時代背景があります。子どもの頃から携帯電話やスマートフォン、パソコンが身近にあり、新しい情報収集法やコミュニケーション手段に接してきたという背景もあります。これらが考え方や物の見方に影響を与えていると、一般的にいわれています。

そんな近年の若手の仕事に関する傾向としては、デフレ経済の影響により、「失敗を恐れるが生活の手段と割り切って取り組める」「自発性が弱いが言われたことはしっかり行う」、絶対評価により、「個人プレイに走らず協調性が高い」「過程より結果を重視する」、子どもの頃からパソコンなどに接してきたことにより、「コミュニケーションがスピーディー」「ウェブ上での行動力に優れる(情報の収集や分析に長ける)」、などが考えられます。
これらは若手全員に当てはまるものではありませんが、傾向があることを知っておくと、若手と接する際に役立ちます。

●上手に接するための基本

上記のような若手の言動の傾向を知ったうえで、自分の世代とは違うという前提を認識しておくことが、若手への接し方の基本になります。
例えば、「何度も叱られながら指導された」「先輩の姿を横でひたすら見て学んだ」ことがよかったと考えている世代の人が、その経験をふまえて同じように若手に接するのは決して正解ではありません。自分の世代と違うという前提に立って、接し方を変えたほうが適切です。若手の言動の傾向の中にあるプラスとマイナスの両面を意識しながら接するのです。
若手の言動の傾向を意識するなら、「失敗を恐れる」という傾向に対して「何度も叱る」ことは控え、「協調性が高い」傾向に注目して、チームを組んで取り組ませ導くようにします。また、「自発性の弱さ」という傾向に対して「ひたすら見て学ぶ」ことは控え、「結果を重視する」傾向に注目して、具体的な目標を設定して導くようにします。

能力を引き出す接し方には、次のような心理学的効果も参考になります。
「マズローの欲求5段階説」によると、所属する組織に「認められた」と実感した人は、自分の能力を「また発揮しよう」と欲求して行動します。これは、相手の言動を認めるように接すると、自主的で前向きにさせることを意味します。
「強化の法則」によると、人から指摘されたことが頭に残ってその言動は繰り返されるようになり強化されます。また、言動の起こった後できるだけ早く指摘することが効果を高めます。これは、相手の言動の直後にプラスの内容を称賛するとプラスの言動が増えるようになり、マイナスの内容を注意するとマイナスの言動が慎まれることを意味します。


上手な褒め方・叱り方

●「褒める」と「叱る」の意味

人の力を引き出す接し方の両輪にあるのが「褒める」「叱る」という行為です。簡単な言葉ですが、それぞれの意味を見つめ直しておくと、接し方の重要さがより理解できます。

「褒める」という行為の目的は、人の持つプラス面が伸びるように導くことです。「褒める」ことによって、優れた言動や正しい言動の習慣化を促進させたり、能力を高めるようなサポートができます。精神的に安定、高揚させ、自信をつけさせるきっかけにもなります。
「叱る」という行為の目的は、人の持つマイナス面をゼロへと導くことです。「叱る」ことによって、ミスの内容や自分の状況をより深く自省させたり、ルールや規範から逸脱した言動の改善ができます。冷静な気づきを与え、将来のために奮起させるきっかけにもなります。

ただし、「褒める」「叱る」にはそれぞれ注意しておきたい点があります。
まず、「褒める」は、表面的なお世辞・甘やかしとは違う、という点です。これらは相手を勘違いさせる可能性があります。「褒める」を安売りしないようにしながら、成果が出ない時でも地道な過程をさりげなく褒める大切さを心に留めておきます。
次に、「叱る」は、自分への反感や嫌悪につながるものではない、という点です。場当たり的、感情的に叱らないように心がけながら、叱った後には次につながる指示やアドバイスを加えるようにすれば、心配は要りません。

●バランスと共感が重要

「褒める」「叱る」に共通する重要なキーワードの1つはバランスです。相手のその時の心情や状況に応じて、熱の込め方、時間、回数などのバランスを考えて接することが好ましいといえます。いつも決まった接し方を続けていると、相手にとっては内容の重みが薄れ、「褒める」「叱る」に対する感受性を鈍らせる可能性があるためです。
こちらから「褒める」「叱る」だけの一方通行ではなく、相手にも話をさせるバランスも大切です。まずは相手に耳を傾けるという聞く姿勢から入り、相手の話を中断させずにすべて受け止めてから「褒める」「叱る」といった順序で接してください。聞く耳を持っていることを示したほうが相手の聞く耳も開きやすくなります。

2つ目の重要なキーワードは共感です。肯定、同意するだけではなく、相手の気持ちに寄り添った言葉を選んだり、相手の言動について具体的に触れた言葉を使ったり、否定的な内容を肯定的に言い換えた言葉を伝えながら「褒める」「叱る」と、より効果的です。
また、「叱る」場合でも、相手の言動のどこかには肯定、同意できる部分があるはずですから、そこをしっかり認めて共感の姿勢を見せるようにしましょう。「自分を見守ってくれる」「興味を持ってくれている」「関わろうとしてくれている」と感じると、相手の心はほぐれて、より素直に話を受け止めるようになります。

共感の言葉を用いた接し方
共感の言葉を用いた接し方


能力をさらに引き出す工夫

●いつもと違う接し方

相手にとって「ここが大きく成長できる局面」「仕事の重要な踏ん張りどころ」と考えられるような時に、いつもと違う接し方をすれば、能力を強く引き出すことができます。
例えば、ふだんはあまり使わないメモや手紙を渡したり、参考になる本や資料を渡したり、歴史上の人物や著名人の名言を話したりして、相手の印象に強く残るように工夫します。メモや本などは形として残るため、読み返して冷静に受け止め考えられるメリットもあります。
特別な場を持つことも工夫の一つです。例えば、じっくりと気兼ねなく話し合える時間と場所を設けて、相手に存分に思いを主張し希望を語る機会を与えます。語っているうちに、本人自ら頭の整頓ができたり気づきが得られることも期待できます。褒める場合は、会議など大勢が集まる場で発表すると、本人だけでなく周囲の参加者たちのやる気やモチベーションにも好影響が出ると考えられます。


●周囲の環境づくり

お互いの能力を引き出しやすい雰囲気、風土をつくって根付かせれば、長期的に組織全体へ相乗効果が望めます。
例えば、ミーティングやメールなどにお互いを褒める場を、耳に入りやすい、目につきやすい形で設けて活用を促します。習慣化すれば、日常的なコミュニケーションの中にも「褒める」が増えていくようになり、励まし合い刺激を与え合うというプラス面を高める空気が浸透していきます。ツールとしては、名刺サイズ程度のメモに感謝や称賛や労いの言葉を書き込んで渡し合ったり掲示するというサンクスカードの活用が、うまく機能している事例があります。

人の能力を引き出す接し方を心がけると、相手を観察する力、相手に適切に伝える力、相手の長所を見出す力が高まり、自分自身のスキルアップにもつながります。さらに、後輩や部下との信頼関係や絆をより深めることにもなるといえるでしょう。

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