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(情報掲載日:2017年1月10日)

いまを勝ち抜く人間力

ストレスを上手に減らす

vol.60

俳句、川柳はともに五・七・五と呼ばれる17文字で構成された、世界で最も短い定型詩です。気軽に作りやすく、国内だけでなく海外でも密かなブームをよんでいます。制限された文字数の中で物事や感覚をどう捉えて表現するかというプロセスは、「伝達力」の向上にも通じる手法で仕事にも役立ちます。新年を機に、日本の伝統文化を改めて学んでみませんか。

長い歴史を持つ日本文化

●奈良時代にまでさかのぼる伝統

新年を迎えると開かれる歌会始(うたかいはじめ)では、国民や皇族の和歌が読み上げられ、毎年テレビや新聞のニュースの話題にものぼります。この和歌から、俳句と川柳は誕生しました。歌会始は、鎌倉時代(13世紀中頃)に始まった宮中行事ですが、和歌自体は奈良時代から詠まれていたと言われており、日本で一番古い歌集として知られる「万葉集」が編さんされたのもこの時代(8世紀中ごろ)です。カルタとしてお正月によく遊ばれる「百人一首」は平安時代の優れた百人の歌人の和歌を集めたものです。
和歌は、五・七・五・七・七の31文字で構成されています。上の句である五・七・五が独立して、俳句と川柳が誕生しました。俳句という呼び名は正岡子規がつけたもので、川柳は創始者の柄井(からい)川柳の名に由来しています。
和歌が貴族や武士にとって欠かせない素養のひとつとして重んじられてきたいっぽう、俳句や川柳は身近な文化・言葉遊びとして庶民の間で盛んになり、江戸時代には大流行しました。


●たった17文字という魅力

俳句と川柳の一番の魅力は、たった17文字で表現できるという気軽さにあります。文字の少なさは、簡素な美や引き算の美として海外からも注目され、「KABUKI(歌舞伎)」「KARAOKE(カラオケ)」などと並んで、俳句は「HAIKU」と表記されているほどです。
また、五・七・五という文字の響きにある、日本人にとって心地よいリズム感も魅力です。和歌から続く1000年以上の歴史があるだけに、まるで私たちのDNAに刷り込まれているかのように、すっと馴染む独特のリズムだといえます。
実際、俳句や川柳には、時代に左右されることのない根強い人気があり、関連書籍・雑誌・文化講座・コンテストなどは現在も数多く見られます。最近では、スマートフォンなどを使ったメールを送る際に、文章ではなく俳句や川柳でメッセージを伝え合うといったやりとりが若者の間でも好まれており、SNSのコミュニティサービスや専用のアプリケーションも誕生しました。サラリーマン川柳、女子会川柳、介護川柳などと称し、川柳がカテゴライズされ楽しまれている現象も、愛好者の広がりを示すものといえるでしょう。


俳句と川柳の違いとは何か

●俳句と川柳の表現方法

和歌の上(かみ)の句である五・七・五、下(しも)の句である七・七を分けて、何人かで詠み合い続ける連歌という形態があります。季語や切れ字を入れる決まりになっている上の句から俳句、その決まりのない下の句から川柳が生まれました。そのため、俳句も川柳も五・七・五の文字で構成されるという点は共通していますが、次のような表現形式の違いがあります。ただし、五・七・五より文字数が増減する「字余り」「字足らず」が認められているように、それぞれの形式は絶対的なルールではありません。


俳句と川柳の違い
俳句と川柳の違い

また、俳句を作ることを「詠む」「詠ずる」と言い、川柳の場合は「吐く」「ものす」と言うところにも違いがあります。これは、上の表のような、テーマや言葉遣いの違いから生じたものだと考えられています。

●知っておきたい歌人や作品

高名な俳人の詠んだ広く知られている俳句、お馴染みの川柳を紹介します。
有名な俳句やユニークな川柳は、ビジネスシーンでも会話の潤滑油になるため覚えておくと役に立ちます。日本人同士での会話の中では教養として、外国人に対しては日本文化のひとつとして、相手への印象付けになり効果的です。

俳句
「閑(しずか)さや 岩にしみ入る 蝉の声」


解釈…静かさのあまり、蝉の鳴き声も岩にしみ込んでいくかのようだ
作者…松尾芭蕉(江戸時代前期の俳人。名句が数多く詠まれた紀行文「奥の細道」が有名。) ※季語=蝉(夏)、切れ字=「や」


俳句
「春の海 終日(ひねもす) のたりのたりかな」


解釈…春の海は、一日中のどかに穏やかな波を打っている
作者…与謝蕪村(江戸時代中期の俳人。重要文化財に指定された日本画も複数描いた画人でもある。) ※季語=春の海(春)、切れ字=かな


俳句
「柿くへば 鐘が鳴るなり 法隆寺」


解釈…柿を食べていたら法隆寺の鐘の音が響き渡ってきた
作者…正岡子規(明治時代の俳人。創刊に携わった俳句雑誌「ホトトギス」は現在も発行が続いている。) ※季語=柿(秋)、切れ字=なり


川柳
「鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス」
「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス」
「鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス」


作者…不明。織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、それぞれの人柄を捉えて表現した川柳として言い伝えられている。


仕事に役立つ俳句、川柳作り

●敏感に察知して伝達する力

語を使った俳句を作る際には、「わび・さび」の感覚を表現することがポイントになります。「わび・さび」とは日本古来の美意識の一つで、落ち着き、静けさ、質素さ、古めかしさ、といった雰囲気や情景を趣き深いと感じる感覚です。
例えば、通勤途中に目にした風景や動植物、休日に出かけた公園や名所などを思い浮かべてみましょう。そこで感じた色や匂いや光や温度や湿度はどうだったでしょうか。どれかに感覚を絞ってみると表現しやすくなります。

(例) 白梅や 光射し込む 朝の道

俳句を作ってみると自然に対する意識と感覚が高まるため、季節感や物事を敏感に察知して伝達する力が磨かれます。人と会う時や手紙を書く時には、季節や天気の話題から始めることが多いものですが、そんな冒頭の言葉にも豊かさや細やかさが加わるはずです。自分自身の感覚から生まれた、ありきたりではない言葉は、相手にも新鮮さを与えるために会話がそこから展開して、コミュニケーションを広げるきっかけにもなります。


●客観的に伝達する力

季語の不要な川柳を作る際には、「おかしみ・軽み」の感覚を自分なりに表現してみることがポイントになります。言い換えると、日常の出来事や社会の動きを、少し視点を変えて捉えて楽しんでみたり、背景にある真相や核心を重ねてみたり、滑稽に受け止めてみたりするということです。
例えば、家庭で起こった出来事や上司部下とのやりとりやニュースなどを思い浮かべてみましょう。そこでの会話や表情のどこかに、ギャップや面白味を感じることはありませんか。ちょっとした言葉の断片や目元口元の小さな動きに注目して考えてみると表現しやすくなります。

(例)辛口な 上司の好物 モンブラン

川柳を作ってみると人や社会の動きに対して異なる視点から観察する力がつくため、ユーモア感覚や客観的に伝達する力が磨かれます。すると、辛い状況や苦しい事態に対してもストレートでなく多面的な受け止めができるようになり、うまくいなして乗り越える力も身に付きます。ストレスの上手な発散にもつながります。


●プラスαの感覚

俳句や川柳作りでは伝達力が磨かれることに加えて、俳句と川柳共通の五・七・五という短い文字に表現を凝縮させるための思考工程の中で、言葉を選ぶ力、伝えたいポイントをまとめる力も高まると言われています。他にも、行間を読む力、共感力、自己再認識力、気付きの力も伸びるとされており、多くのメリットが期待できます。俳句や川柳作りによって培われたスキルを、企画書や報告書の作成、会議での発言や発表などの仕事に活かすこともできるでしょう。また、俳句や川柳を作る行為は、右脳と左脳の両方をバランスよく理想的に活性化させることが分かっています。脳にとってもプラス効果があるのです。

長い歴史の中から誕生し親しまれてきた俳句や川柳は、いつでもどこでも簡単に作れる気軽さが大きな魅力ですが、仕事にも活かせるというポイントは見逃せません。日本文化を味わい楽しみながら、仕事のスキルアップを図ってみましょう。

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