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(情報掲載日:2015年12月10日)

いまを勝ち抜く人間力

見直したい手紙コミュニケーション

VOL.47

2013年に実施した文化庁による「国語に関する世論調査」によると、「手紙の伝統的な書式を守って行くべきだ」「今後もなるべく手書きにすべき」と回答する人が約5割いました。8年前の前回調査よりも増加しています。これは、メールによるやりとりが増えていながら、手書きの手紙に価値を感じている人が、逆に増えていることを示す数字です。手紙を出す機会の多い年末年始を控えたこの時期だからこそ、もう一度、手紙によるコミュニケーションの基本を確認してみませんか。

手紙のメリットと知っておきたいこと

●メールにはない手紙の特徴

メールやSNSの普及によって手紙を書く頻度が減ったために、手紙の形式やマナーはおろそかになりがちです。けれども上述の調査結果からも分かるように、手紙はむしろ重視されつつある傾向にありますし、いざという時にやはり手紙という手段は欠かせません。
手紙の特徴としてはまず、メールの文面では省略される時候の挨拶が挙げられます。これらは、用件に限定しない心情的な温かみを相手に与えてくれます。また、メールは入力したあとクリックするだけで届けられますが、手紙は、便箋と筆記用具を取り出して、一字一字したため、封筒に宛名を書き、切手を貼り、投函しに行かなければなりません。そうして自分のために手間と時間をかけて届けてくれた形であることは、相手に快く伝わるものです。
さらに、メールの場合は、連日届く数々のメールに埋もれて見落とされたり読み流される心配もありますが、手紙にはそれがほとんどありません。受け取り側の心持ちとしてメールのようにすぐには削除しにくい(捨てにくい)こと、形として手元に残るために時間が経過した後でも再読しやすいことも特徴です。このように、手紙にはメールほどの伝達スピードはありませんが、それを補完して上回るような価値があるのです。

●どういう時に手紙を書くとよいか

ビジネスの場面では、実際どういう時に手紙を出すのがよいとされているのでしょうか。大きくは、次の7つが該当します。

  1. 何か依頼して受けてもらった際、来訪いただいた後、お世話になったりアドバイスをもらった時などの〈お礼〉
  2. 昇進や記念の知らせを受けた際の〈お祝い〉
  3. 新しい仕事や紹介を頼むにあたっての〈依頼〉
  4. 異動や新任が決まった時の〈挨拶〉
  5. 資料や商品や贈り物を送る際の〈添え書き〉
  6. 怪我や病気や被災に対しての〈お見舞い〉
  7. 何かしらの不備や不足が生じた時の〈お詫び〉

また、最近では新入社員を迎える際、会社としての歓迎や期待を伝えて仲間意識を醸成するために、内定者本人ではなくご家族宛にご挨拶の手紙を送る取り組みも見られます。
いずれの場合も、手紙を送るタイミングは早いに超したことはありませんが、タイミングを逃してしまった場合であっても失礼にはなりません。その場合には、遅れたことに対してのお詫びの言葉を一言添えておくべきです。

●どう使い分けて送ればいいか

手紙といっても、封書、葉書、一筆箋があります。封書は、封がしてあるために第三者に読まれる心配がありませんし、より丁寧な印象を与えることができます。封書の場合は長い文章を書く必要があり時間がかかってしまいますが、葉書は時候の挨拶を省略できる慣例であるため手短かに書ける点がメリットです。とはいえ、相手との親密度によっては礼を欠くと受け止められる場合もあります。従って、目上の相手宛てや改まった手紙を送る際には封書、それ以外には葉書というのが好ましい使い分けです。
一筆箋は、さらに簡略しても構わない場合に用います。特にビジネス上は、書類や贈り物などを送る際に添える手紙として使うのが一般的です。これからの時期、お歳暮などの贈り物を送る際には、できれば贈り物が相手に届く前に「いつ、どこから送ったか」を簡単に記した手紙を送るのが礼儀ですが、贈り物に一筆箋を用いた添え状を同封して送るのもマナーに則した形です。


いざ書く時の基本ルールとマナー

●何を使って文字を書くべきか

最近はたくさんの機能的なボールペン類がありますが、手紙には万年筆を使うのが理想的です。色は黒が一般的ですが、青みの強い黒、青でも失礼にはなりません。視覚的な手紙の雰囲気も明るくなりますし、時々色を変えると書き慣れている印象も与えます。ただし、目上の相手への手紙や改まった手紙にはやはり毛筆が最適です。毛筆に不慣れで筆文字に自信のない方であっても、万年筆より字が上手に見えたり味わいが出るという効果もあります。もちろん、毛筆といっても筆ペンで構いませんので、挑戦してみてはいかがでしょうか。
同じ文面の手紙を大量に出すなど、パソコンで入力した手紙を出す場合には、欧米でのタイピングした手紙にならって、自分の名前だけでも最後に自筆で入れるとよいでしょう。イメージがぐんとよくなるはずです。

●文章の形式と注意したいポイント

手紙には基本的な形式があります。それは前文、主文、末文、後付の4つで構成されるというものです。前文とは、「拝啓」「前略」などの頭語と、時候の挨拶を指します。主文は、文字通り手紙の用件、本題です。末文は、「ご自愛のほどお祈りいたします」「まずは書面にて御礼申し上げます」といった結びの挨拶と、「敬具」「草々」などの結語です。後付は、日付、自分の名前(差出人名)、敬称を付けた相手の名前(宛名)です。この形式を頭に入れて、まずはそれぞれの定型句を使うようにすれば、次第に難なく書けるようになることでしょう。
気を付けておきたいのは、頭語と結語が基本的に呼応していることです。例えば頭語「謹啓」に対して結語「拝白」は使いません(正しくは「謹白」など)。また、頭語「一筆申し上げます」や結語「かしこ」などは女性表現ですし、ビジネスでは使用しないのが一般的です(正しくは頭語「一筆啓上」、結語「拝具」など)。
その他、表書きのルールとしては、法人名を省略しないこと((株)ではなく株式会社と書く)、切手の位置に注意すること(表書きが横書きの場合は右上に貼る)、旧仮名遣いの名前を   簡略しないこと(「齋藤」や「渡邉」など正しく書く)などに注意したいものです。

●間違いやすい言い回し

せっかく気持ちを込めた手紙を書いても、間違った言葉を使ってしまっては台無しです。ここでは、特にありがちな「敬語」の間違った使い方を3つ取り上げます。
まずは、〈謙譲語の誤用〉です。例えば次のようなケースがあります。

次に〈二重敬語〉です。敬語の多用は回りくどく、慇懃無礼な印象も与えかねません。

最後は、〈目上に対しての誤用〉です。何気なく使いがちですが、じつは上から目線の言い回しになっています。

VOL29いまを勝ち抜く人間力「敬語の使い方を見直す」も併せてご覧ください。


「ふみ力」を身に付けよう

●覚えておきたいちょっとしたコツ

手紙は、平安時代の「ふみ」からずっと、心の通ったメッセージを届けるものとして日本人が育み受け継いできた一つの文化でもあります。工夫次第では、文化に留まることなく、仕事上のツールとしても大きな力となるに違いありません。
例えば、主文や末文には、次のような一言を加えると相手の心象がよくなり、ひいては良好な関係につながっていくと言われています。

追伸の活用も取り入れたいポイントです。数行しかない追伸文は注目度が高いものです。厳密には、目上への手紙や改まった手紙では失礼にあたりますが、相手への気遣いや相手が喜ぶような気の利いた言葉を交えつつ一言を添えてみましょう。
これからの季節は、年賀状にもひと工夫したいものです。「〇〇様をはじめご家族皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます」「○○プロジェクトではお世話になりました。本年もご指導のほど何卒よろしくお願いいたします」というように、相手の名前や相手との関係を具体的に表すキーワードのある手書きの一文を加えるだけでも好感度が高まります。ただし、第三者の目にも触れる葉書ですから、具体的すぎる仕事の内容を書くのは控えましょう。

●文面以外での「ふみ力」の演出

フォーマットが画一的なメールとは異なり、手紙は様々なところで変化をつけて差別化しやすいものです。相手の故郷や趣味や季節に関連した記念切手を使えば、相手はその心遣いに気付くでしょうし、会社のロゴ入り便箋ではなく、自分で選んだ便箋や和紙を使えば、特別感が伝わり心に残るはずです。相手との関係性によりますが、出張先や旅先から絵葉書を送れば、より親密度を感じてもらえます。特に外国人への手紙では、文香や押し花や折り紙を同封すると喜ばれると言われています。

●「ふみ力」にまつわる著名人の話

「ふみ力」をコミュニケーションにうまく使った著名人や企業人のエピソードは数多くあります。例えば、読売巨人軍の元監督である原辰徳氏が選手たちに、表面的には見えにくい細やかなプレイを称えたりや心情を慮った手紙を渡してきたことは、ファンの間では有名です。「ここまで自分の様子を見て考えていてくれたのか」と選手たちが意気に感じ、優勝の牽引力になったとも言われています。同じように、経営者が部下たちに送ったアドバイスや慰労の手紙が人心掌握に繋がり、やがて成果になって表れた話はよく聞かれます。

デジタル化、スピード化、効率化が加速する時代だからこそ、逆に今、昔ながらのアナログで時間と手間のかかる手紙コミュニケーションは見直されてきています。自分の思いや相手への思いを込め、相手の心を動かすことのできる手紙の持つ力を見直して活用してみませんか。

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