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(情報掲載日:2015年10月13日)

いまを勝ち抜く人間力

今、求められるアート感覚

VOL.45

芸術の秋、かしこまって美術館や博物館へ出かけなくても、身近なところにアートはあふれています。知識やセンスを気にせず肩の力を抜いて、自分の中にあるアート感覚を少し刺激してみませんか。アートには仕事に役立つ要素がある、という注目したいポイントもご紹介します。

知っておきたいアートの潮流

●社会におけるアートの傾向

アートというと、高尚なイメージがあり敬遠しがちな方もいらっしゃるかもしれませんが、その存在はぐんと身近になってきています。
例えば、近年ではさまざまなアートイベントが開催されるようになりました。「●●ビエンナーレ」「●●トリエンナーレ」といった名称で、全国各地でイベントが開かれています。これらは、アートをよく知らない人でも気軽に楽しめるスタイルで、その土地ならではの絶景や名産品、温泉などとセットで満喫できる会場も少なくありません。中には、海外からの来場者も集めるまでに成長した人気のアートイベントも見られます。
インターネットやアプリケーションの普及と発展も、アートを身近にさせました。自宅にいながらネットで海外の名画を鑑賞できるネット美術館には、国内外の美術館が所蔵している多数の作品の画像や映像がストックされています。また、見るだけではなく、創作のためのツールも整ってきました。絵を描いたり、写真や動画を加工するソフトは、素人でも簡単に操作できるものが次々と生まれており、自分の作品をネット上に公開し、世界中の人に観てもらうこともできるようになっています。
このように、アートと日常との距離感は近くなってきていると言えます。

●ビジネス界でのアートの存在感

ビジネス界においても、アートは存在感を高めています。「クール・ジャパン」という標語を受けて、2011年にクリエイティブ産業課が経済産業省に設置されたという動きはそれを物語るものです。この課の役割が、衣食住などに関わるあらゆるクリエイティブな産業を発展させる支援と促進であることからも、アートの持つ意義や、重要性、働きかけは今後ますます高まると考えられます。モノや情報に満たされると、人は次に便利さやスペックだけではなく、心や感覚に訴える別の価値を求めるようになるという時代の流れにも沿った動向です。
実際、デザインやパッケージ、コマーシャルに、アート的な表現が取り込まれている商品は、そうでない商品よりも売れる傾向があると言われています。中身はそのままでパッケージデザインに趣向を凝らして変えただけで売上げが急に伸びた商品は多々あります。最近では、新たな顧客層にアピールする、海外展開を考慮して外国人にも伝わりやすくする、といった戦略的意図のもと、アーティスティックなデザインに商品を一新させる動きも活発です。
また、企業が行っているコレクション展や公募展など、CSRの一環としてアート活動が行われていることも、アートの持つ存在感への意識の高さを意味していると言えます。

●クリエイティブ・シンキング力を磨く

このところ注目度が高まっているリベラルアーツ(人材マネジメントvol.44を参照)の視点からも、アートは見逃せない分野となっています。複数の分野に関係性が及び、かつ、多様性を含んだ昨今の課題に対応するために求められるのは、幅広い視野や学際的で柔軟な発想です。これを背景に、今、従来から重視されているロジカル・シンキングだけではなく、クリエイティブ・シンキングが必要だとされています。
クリエイティブ・シンキングとは、文字通りに創造的な思考法を指します。ロジカル・シンキングによる論理に導かれた判断だけでは容易に解決できない物事には、感性による思考で対処するというクリエイティブ・シンキングが力を発揮するのです。
このクリエイティブ・シンキングは、アートに接することでも磨かれます。なぜなら、作品に向き合うと、表現されたものの意味を考えたり、作家の意図に思いを寄せたり、作品が生まれた時代背景と関連づけたり、というふうにさまざまな思考が促されるからです。さらに、自分と作家との相違点や共感点の気付きから、異なる価値観を知ることにも繋がっていきます。ひいては、柔軟な発想力や相手を慮ったコミュニケーション力も高まるのです。アートとの関わりを持つと、知らず知らずビジネスにも役立つ力が蓄積されていくと言えます。

身近な場所から広がるアート鑑賞

●街角や生活空間に見られるアート

普段の行動範囲の中にも、アートは散りばめられています。オフィスビル、公共施設、エントランスやホテルのロビーなどには、絵画やオブジェが掛けられたり置かれたりしているものです。これらの中には著名な作家の作品も少なくありません。公園や遊歩道の脇に何気なく佇む彫像や駅構内の壁画、商業施設、飲食店や喫茶店にもアートが飾られています。
建物そのものの外観がアーティスティックな設計になっているものもあります。また、外壁を利用してプロジェクションマッピングやイルミネーションによる光のアートがイベントとして見られることもあります。田園地帯では、色の違う品種を植えて、キャンバスに見立てた田んぼに巨大な絵を描く「田んぼアート」も人気です。名画の再現、ゆかりある人物のデザインなど、ユニークで凝った作品が増えてきました。
このように、日常的に目に入る景色の中にも、アートはそこかしこに存在しているのです。視線を少し変えてみるだけで、簡単にアートに接することができます。

●映画や本に見られるアートたち

映画や本などにも、アートが登場することもあります。例えば、著名な作家の手がけた作品が装丁に使われている書籍も珍しくありません。気になった表紙があれば、ネット検索してアーティストや作品名を調べてみると、新たな情報も得られて視野が広がるきっかけにもなります。小説の本文中には、会話や背景描写に名画の名前が使われる箇所があったり、映画では、有名な絵が掛けられている部屋のシーンも見られます。これらは、登場人物の心情や情況のメタファーなど、意味を持って使われているケースがほとんどですから、その絵の概要を知ると、小説や映画の理解がいっそう深まると言えます。
また、著名なアーティストの場合は、人物そのものをテーマにした小説や映画やエッセイもあり、アートへの好奇心を高めてくれる一冊となるはずです。

●画家たちの見つめたものを見る意味

向日葵、睡蓮、バラなどの花、富士山をはじめ山々の景観などは、著名な画家たちが描く対象としてよく知られているものです。そういったものには、画家たちが惹かれ触発される何らかの魅力が宿っていると考えられます。
そのため、画家たちが見つめたものを同じように見つめてみることも、アートを身近に感じる一歩となります。アートの本質は柔軟な思考にあると言われます。それらを見て、どう受け止めて感じるか、どのように捉えて考えるか、自分なりに向き合ってみてはいかがでしょうか。今までなかった新たな思考がふと湧いて来たり、分からなかったことがすっと理解できたり、自分の中の感受性がより豊かになっていくのが感じられるかもしれません。

誰でも作れるアーティストの時間

●おとなの図工や書道がもたらす効果

学生時代に習った教科を学び直すというおとな向けの教科書がブームになっていますが、図工や書道、美術といった実技教科にも改めて挑戦するのもおすすめです。これらには心理学的、脳科学的にもメリットがあると言われています。絵を描く動作では、脳の多くの機能が使われて脳の司令塔である前頭葉が活性化し、創造力の他、前向きな気持ちや実行力などが高まる効果があります。また、筆で文字を書く動作では、手先の動きに注意を向けるために集中力が高まり、ストレスが軽減されると言われています。
絵画や書は苦手という方は、おとな用の塗り絵の本、古典や名文の文章をなぞる本を試してみてはいかがでしょうか。心を穏やかにさせたり記憶力を強化する効果があると言われています。キーボードを叩いての文書作成が主流になっている日常で、ペンを握って細やかに動かす時間は、脳にさまざまな刺激を与えられる貴重な時間になるでしょう。

●仕事の合間に絵を描こう

アートセラピーとは、描かれた絵の内容を元にカウンセリングする心理療法で、精神的な傷やダメージを癒すために行うものです。ところが、絵を描く行為自体には、手や目を通じて脳の感覚を刺激し五感が活性化される効果があることから、子どもの情操教育や、高齢者の介護予防、そして、企業の研修などにも取り入れられるようになりました。
企業研修においては、文字や数字を使って表現しきれなかったビジョンやコンセプトやニュアンスを共有・共通認識するために絵(簡単な図形や落書き程度の絵)が役立つ、という点が評価されています。仕事では主に文字と数字を中心に処理している脳が、普段あまり使われていない部分を使うことになるため、頭をリフレッシュさせる効果もあります。仕事に行き詰まったら、ひと休みしつつ絵を描いてみると、アイデアが浮かんだり、解決方法を思いついたりすることも期待できます。

●アートについての著名人の名言

多くの著名人がアートが生活や仕事に大きな意味を持つことについて語っています。「Our life is our art」(ジョン・レノン)、「アートとは、心の中に高まる感情を最高最善のものへ移行させる人間活動である」(レフ・トルストイ)、「アートこそ至上。生きることを可能ならしめる偉大なもの」(フリードリヒ・ニーチェ)、「経営は、生きた総合芸術」(松下幸之助)、「卓越した技術者は、科学者の知恵と芸術家の感覚とを併せ持たなければならない」(本田宗一郎)など、含蓄のある名言が残されています。

これからは、知識量や経験値、技術力だけではなく、想像力と創造力が求められる時代だと言えます。アートを通じてこれらを養っていくことは、生活面においても仕事面においても、将来に向けて確かな拠り所となるのではないでしょうか。

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