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(情報掲載日:2015年8月10日)

いまを勝ち抜く人間力

ビジネスにも役立つ「反応力」を磨こう

VOL.43

ビジネスパーソンに求められる「コミュニケーション力」として、「話す力」や「聞く力」などが注目されていますが、二つの隙間には「話し手に反応する」という行為が存在しています。コミュニケーションは、ちょっとした反応の仕方次第で、より充実したものへと高めることができます。そんな「反応力」についてご紹介します。

聞き手はあなたのどこを見て話しているのか

●話しやすいケース、話しにくいケース

あなたが誰かに何かを語りかけるシーンを思い浮かべてみてください。聞き手は黙ってあなたの言葉を聞いてくれているものの、無表情で手足や首の動きが全くなかったとしたら、どう感じるでしょうか。「この人は、これ以上話を聞きたくないのではないだろうか」と消極的な気持ちが強まったり、「自分の語ったことを理解してくれているのだろうか」と自分の話した内容自体に不安を抱いたりするはずです。
逆に、聞き手があなたの言葉に耳を傾けながら、微笑んだり、うなずいたり、あいづちがあったなら、どうでしょうか。あなたは聞き手にもっと伝えたいと感じ、積極的に語りかけようと思うはずです。
これらからも分かるように、話し手は、聞き手の反応に影響を受けながら話をしています。つまり、聞き手は表情やあいづちによっても、コミュニケーションを円滑に進められるわけです。さらには、話し手の考えをより引き出したり、話し手に気分よく胸の内を語ってもらうことができると言えます。

●非言語コミュニケーションの重要性

アメリカのアルバート・メラビアンという心理学者が「メラビアンの法則」と呼ばれる概念を提唱しています。これは、会話によるコミュニケーションをする際、話し手の何が聞き手にインパクトを与えているかを調べたものです。その結果、「言語情報7%、視覚情報は55%、聴覚情報は38%」という数値が得られ、話し言葉以外の非言語コミュニケーションの重要性がよく示されています。この法則は、実際にさまざまなビジネス研修でもよく取り上げられています。
この法則において、言語情報の与えるインパクトが1割にも満ちていない理由は、会話によるコミュニケーションは、書類やメールによるコミュニケーションと比べると、スピード感があり、対面しているその場で次々とやりとりが進んでいくため、立ち止まって時間をかけながら言語を吟味したり、分析したり、判断することが必然的に難しいからと考えられます。
ですから、「表情、態度、身振り手振り」などの視覚情報、「声の入る間合い、話す速さ、口調」などの聴覚情報といった、非言語コミュニケーションによる影響力の存在を知り、話し手に示す反応のツールとして活用することは、重要だと言えます。

●ロボット開発においても重視される反応力

ロボットは本来、言葉以外で感情を表現したり理解するような機能を持っていませんが、非言語コミュニケーションを重視した開発がなされるようになってきました。人間が示す視覚や聴覚による感情を、ロボットが汲み取って状況を把握・認識しながら動いたり、逆に、ロボット自身がしぐさを見せたり短い感嘆の声を発するというものです。
例えば、ペットロボットには、飼い主の褒めた口調や叱った口調の音声の周波数の平均値などを解析して反応するようにプログラミングされているものがあります。人間の声の高さや強さ、速さ、抑揚のパターンを元に、喜ぶ音声や戸惑うしぐさをとるのです。高齢化社会に向けて作られたロボットには、身振り手振りはもちろんのこと、人間の顔を見ながら話し掛けたり、タイミングを考えて返事をする設定もみられます。ロボット宇宙飛行士KIROBO にも同じような機能があり、国際宇宙ステーションで宇宙飛行士の若田光一さんと会話をする映像は話題にもなりました。
ロボットに人間の音声やスイッチによる指示に対して単純に動いたり自動的に答えるにとどまらない「反応力」を持たせると、人間は、より親近感や愛着や安心感を持って接するようになるといいます。まさにこの心理が、ロボット開発に活かされているのです。

しぐさや表情など視覚的な反応のコツ

●視線の向きや向ける時間、うなずき

話し手に伝わる視覚的な反応としては、目、口、手足、首などの聞き手の動きがあります。例えば、真剣な眼差しでいると「真剣に聞いてくれている」、手を動かしてメモを取ると「興味を持ってくれている」、首を動かしてうなずくと「共感してくれている」と話し手は感じるものです。「うなずき」を繰り返すと話し手は話しやすくなるという、発話される数との相関関係も実証されています。
「目は口ほどに物を言う」とことわざにもある通り、視線の向きや向ける時間は自分の感情や心理状態を瞬時に伝達する大きな情報発信力を持っています。注意しておきたいのは、話し手の目に視線を向ける時間です。注目・興味・好意・尊敬などが伝えられるいっぽう、長時間凝視すると敵意・支配・攻撃・疑惑などのマイナス感情を抱かせることもあるため、時には視線を目の周囲に逸らすことが必要です。目に向ける時間は一般的な目安として、コミュニケーション時間の約半分で充分だと言われています。
視線を話し手に向けた時と外した時を比較すると、前者の方が聞き手の脳の活性度が高まる研究結果もあります。話し手の表情やジェスチャーから多くの情報が得られるためですが、それによって活性化した脳を働かせて聞き手としての反応を話し手に示していけば、コミュニケーションを次々と展開させることにも繋がっていきます。

●笑顔の効果は絶大

人間の顔には30種類以上もの表情筋があり、それによって生まれる数え切れない表情の中で、人間関係に絶大な潤滑油的働きを持つのが「笑顔」です。笑みの反応を目にすると話し手は、安心感を持ちリラックスできるため、話がしやすくなります。
笑顔は連鎖して、相手も笑顔になり、さらに自分を笑顔にしてくれた人に対しては無条件に好感を持つと言われています。そんな雰囲気の中にいると気持ちに余裕が生まれ、洞察力が高まりアイデアや問題解決のヒントに気づきやすくなると考えられています。緊張感がほぐれると相談しやすい空気感が生まれるため、早い時点で問題情報の収集と対処ができ、リスクマネジメントとしても有効だと考えられます。
また、その笑顔が作り笑いであったとしても効果があるのは、見逃せない点です。脳と運動機能の間には双方向に働きかける関係性があり、作り笑いであれ、笑顔になる筋肉を動かすと嬉しいという感情が引き起こされるためです。これは、科学的にも証明されており、嬉しい感情の状態になると脳からはα波が出され、集中力を持続させ記憶力を高める効果ももたらすと言われています。

●ミラーリング効果、シンメトリー効果

心理学では、親しい間柄の人間同士の身振りやしぐさは自然と似てくること、自分に似ている人に好意を感じることが、検証されています。ミラーリング効果と呼ばれるもので、このような反応をすると、相手は無意識のうちに共感や好感、親密感を持つようになります。
例えば、話し手が両手を机の上で組んだら同じように机の上で手を組む、話し手がペンを持ったら自分も持つ、話し手がお茶を飲んだら自分も飲む、というふうに動作を真似ます。急いで動きに合わせたり、全く同じ動きに揃える必要はありません。数秒以上の時間差を置いてさりげなく真似ていると、話し手は心理的な距離の近さや信頼関係を感じ、心地よく話すことができるようになります。
また、人には、歪みやズレのない左右対称な人や物に対して、安定感、誠実、美しさを覚える心理傾向があります。これを利用して、意識的に対称性を作り出すことで、プラスイメージを与えることをシンメトリー効果と言います。逆にいうなら、重心の傾いた姿勢、落ち着きのない動き、首の傾きなどは、不信や弱さのイメージを話し手に与えることになってしまいます。できるだけ左右対称を意識しながら安定した姿勢を心掛けることが、コミュニケーションを上手に進めるコツです。

あいづちや短い返事など聴覚的な反応法のコツ

●「なるほど」「たしかに」「へえ」「はい」に、ご注意

話し手に対しての聴覚的な反応としては、まずはあいづちが挙げられます。注意すべきは、「なるほど」「たしかに」「へえ」といった、つい口にしがちなあいづちです。これらは、馴れ馴れしさや見下ろすような姿勢を話し手に感じさせることがあるとともに、ビジネスやフォーマルな場面にはふさわしくありません。「そうですね」「おっしゃる通りだと思います」「それは面白そうですね」など別の表現に言い換えるとよいでしょう。
一番よく使われるあいづち「はい」を使う時に気を付けたいのは、聞いているというシグナル、理解しているというシグナル、同意しているというシグナルなど、話し手に伝えるニュアンスがさまざまにあるということです。どの意味を持つ「はい」なのかを強弱やイントネーションによって明確に示すことが重要です。どれにも属さない機械的であいまいな「はい」は、逆に話し手に戸惑いを与える場合もあります。コミュニケーションを苦手に感じている人ほど、意識して少々大げさなあいづちを使うようにするぐらいがちょうどよいと言われています。
また、あいづちには会話にワンクッションを挟む機能もあります。小休止の間(ま)やひと呼吸を置くと、お互いの頭が整頓されたり、話をより弾ませることができます。

●話し手の名前を添えた返事が効果的

短い感嘆の返事も「反応力」を高めるためには大切です。例えば、「素晴らしいですね」「そういうことなのですか」「よく分かります」といった肯定形、「そうしますと」「もっとお聞かせいただけませんか」「ぜひもう少し教えてください」といった展開形などがあります。誰でも人に話を聞いてもらうことは嬉しいものですから、返事は話の区切りや話し手の呼吸のタイミングに合わせ、話を遮らないよう心掛けましょう。
その際に、話し手の名前を添えると、さらに効果は高まります。「○○さん、よく分かります」「もっとお聞かせいただけませんか、○○さん」と加えるのです。名前を呼ぶと、安心や信頼、愛情、絆に関する物質が体内で増えることが実証されています。その結果、名前を呼ばれた人は自分自身の存在感や重要感が満たされて、相手を好意的な人だと認識し心を開くそうです。自己啓発やビジネススキルのトレーニング法などを開発したことで有名なD・カーネギーの著書「人を動かす」にも、人に好かれる原則の一つに、意識して相手の名前を呼ぶことが掲げられています。

●オウム返しのさまざまな方法

話し手の会話に使われた言葉の一部を引用した返事をすることも、コミュニケーションを円滑にさせる反応法です。これは「オウム返し」と呼ばれ、そのまま反復する方法、要約する方法、キーワードだけ使う方法があります。例えば、「この件は、A案の赤い色が特にいいと思います」と言う話し手に対して、そのまま反復して「A案がいいですね」と返事をしたり、要約して「はい、A案は情熱を表現しているということですね」と返事をしたり、キーワードだけを使って「そうですね、赤ですね」という返事が「オウム返し」です。自分が口にした言葉を受けて聞き手が反応すると、自分に興味や共感を持ってくれていると感じる、話し手の心理を活用したものです。
また、話すスピード、声のトーン(強弱や高低)など、言葉以外による表現を話し手に合わせることにも、同じような効果があると言われています。

話し手と聞き手によって成り立つ会話のコミュニケーションは、聞き手の反応が良ければ話し手の話に広がりや深みが出るものですが、聞き手の反応が鈍ければ、話し手は積極的な話や一歩進んだ内容に踏み込むことを遠慮してしまうものです。「反応力」を磨けば、コミュニケーションそのものが向上するだけではなく、話し手の思考をより引き出すことで、情報収集能力が高まり、ビジネスにも大いに役立つ武器にもなることでしょう。

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