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(情報掲載日:2014年10月10日)

いまを勝ち抜く人間力

寝る前30分の習慣で仕事力を高める

VOL.33

人間の睡眠と記憶の仕組みからすると、寝る前30分の過ごし方は仕事力や人間力に大きな影響をもたらします。実践すると効果の高い学習法など、寝る前30分の有効な使い方についてご紹介します。

徹夜をするよりも睡眠の機能の活用が効果的

●睡眠時間を削ることは記憶には逆効果である

キャリアアップのために資格に挑戦する人が増えていますが、資格試験の日まで残りわずかという時期になると、睡眠時間を削ってでも勉強し、試験に出そうなことを1つでも多く暗記しようとするでしょう。しかし、睡眠時間を削ることは健康を害するばかりでなく、記憶の仕組みからすると残念ながら逆効果です。
人間は、1日に覚えたことの半分近くを翌日には忘れてしまうものです。仕事上ではこまめにメモを取ることを習慣づければ失敗は防げますが、資格試験の会場では自分の記憶に頼るしか方法がないため、言わば脳の中の記憶の保存状態が合否を分けることになります。
米国の精神医学者スティックゴールド博士の研究によると、何か新しい知識や技法を身につけるためには、覚えたその日に6時間以上眠ることが不可欠であるそうです。徹夜で詰め込んだ記憶は、長期記憶として側頭葉に刻み込まれることなく、早ければ翌日、長くても2、3日のうちに消えてしまいます。むしろ十分な睡眠をとることにより、その日に新たに覚えた記憶は整理整頓され、脳の中の収まるべき場所に収まり、長く定着します。


●レム睡眠のときに脳が活性化し情報を整理する

覚えたことが長期記憶として定着するのは、睡眠の仕組みに関係があります。睡眠にはレム睡眠(REM睡眠)とノンレム睡眠があり、この両者が交互に繰り返されることにより、睡眠が成り立っています。夢を見るのはレム睡眠の時間であり、このときは脳が活動しており、脳波を測定すると覚醒時と同じような波形を示します。REMとはRapid Eye Movementの略であり、この言葉どおりに、レム睡眠中には眼球がキョロキョロと動いています。目は脳と一体化しているため、脳が活動しているときは眼球も動きます。一方、ノンレム睡眠の間は脳波を測定しても、徐波というおだやかな波形を示し、脳がリラックス状態にあります。
夢の役割については諸説ありますが、その中で注目したいのは、「夢は記憶の再生と再処理過程で生起する」というウィンソンの仮説です(※1)。日中に活動しているときに脳が処理した情報のうち、本人にとって重要なものがレム睡眠中に再生され、不要な部分が省かれるなどの編集処理がされて洗練化された情報が記憶として固定されるプロセスが夢であるというものです。なぜ、このようなことを睡眠中に行えるかというと、睡眠中は外界の情報をシャットアウトできるため、脳が記憶の再生・定着作業に専念できるからです。


●寝る前の入眠儀式で安眠して夢の機能を高める

夢を見ている間の脳の働きを妨げないためには適度な睡眠時間をとり、また、途中で目覚めたりしないように熟睡をする必要があります。途中で目覚めないためには、寝る前に安眠を誘う「入眠儀式」が効果的です。ぬるめのお湯にゆったりと浸かるとか、ヨガやストレッチをするといった方法でリラックス状態に入っていく入眠儀式が有効であり、逆に暴力や残酷なシーンを描いた映画やマンガなどの刺激の強いものに触れることは避けたほうが良いでしょう。
昔から言われているのは、「ひつじが1匹、ひつじが2匹……」と、ゆったり数を数えていく方法ですが、これは英語の「ワン・シープ、ツー・シープ……」という「シー」の音感がもたらす心理的効果であり、日本語の音感では効果が薄いかもしれません。
睡眠時間については、レム睡眠とノンレム睡眠は約90分で1セットとなっているため、この倍数の睡眠時間、たとえば6時間とか7時間半を目安に睡眠をとると熟睡感が得られると言われています。
長寿のためには7時間睡眠が良いという説があり、名古屋大学で予防医学を研究していた玉腰暁子氏が40〜79才の男女約10万人を10年間にわたって追跡調査した結果、死亡率が最も低かったのは男女とも睡眠時間が7時間の人だったことが分かりました。健康のことを考えると、7時間半が理想的な睡眠時間と言えるかもしれません。

※1 日本睡眠学会「ヒト睡眠の基礎」10夢の理論 3)Winson仮説
http://jssr.jp/kiso/hito/hito.html

「寝る前30分」の学習法で記憶を定着させる

●覚えたらすぐ眠る方法が記憶の定着には効果が高い

寝る直前に学習することは刺激が強すぎて脳には良くないように思われるかもしれませんが、学習心理学の実験によると、被験者に10の単語を提示して記憶させ、すぐに眠らせた「睡眠グループ」と、そのまま日中に活動させた「覚醒グループ」に分けて、記憶の保持率を比較したところ、「睡眠グループ」のほうがはるかに記憶の保持率が高かったそうです。学習心理学ではこの理由を「逆向抑制」という概念で説明します。逆向抑制とは、新しく学んだ情報が、先に学んだ情報の再生を妨害するという考えです。この考えによると、重要な情報を記憶した後に余計な情報が入らないようにすぐに寝てしまえばいいという理屈になります。


●「30分」の時間制限を設けて効率よく学ぶ

寝る直前に学んだことが脳に定着しやすいといっても、記憶量を増すために長時間勉強して睡眠時間を削ることは前述のとおり逆効果です。まずは一定の睡眠時間を保って脳の機能を最大限に高めることを優先し、毎日、寝る前に少しずつ学ぶことを習慣化すれば、無理なく長期記憶の蓄積をしていくことができそうです。寝る前の歯磨き等、多くの人が無意識にしている習慣と同じように、寝る前の勉強などの「脳活」が習慣化されると無理がありません。睡眠時間を削らなくても済むように、30分程度でも集中できる時間が得られれば十分でしょう。わずか30分であっても、毎日続けていけば1か月で約15時間にもなります。キャリアアップのための資格試験の勉強は暗記物が多いので、「寝る前30分」でできる小さな単位に分けて計画的に学び、積み上げていく方法が有効です。


●寝る前に学び、朝起きて定着度を確認する

資格試験の暗記物については、「寝る前30分」で学んだことを、翌朝早起きして問題練習をするなどして、確実に覚えたかどうか試してみるといいでしょう。朝は出勤の準備などで忙しくても、30分程度は勉強時間を確保したいものです。
このように、「寝る前30分」で記憶をインプットし、「朝の出勤前30分」でアウトプットして、記憶の定着を確認する方法が効果的です。アイディアや閃きが必要な企画の仕事などは、「寝る前30分」に参考資料を読み込み、企画書の構成の骨組みを考えるところまでで作業を終え、寝ている間に夢を見て記憶の再生・定着・整理の機能を活用すれば、翌朝、早起きしてパソコンに向かったときには、次々と良いアイディアが浮かんでくるかもしれません。もしも寝る前に企画書の大半を書き終えることができた場合は、朝、もう一度読み直して精査することにより、見落としや間違いを発見でき、さらに深掘りすべき点が見つかるでしょう。


●「寝る前30分」で読む量を決め、熟読する

読書も「寝る前30分」を利用すれば、読み込んだ内容が記憶として定着する度合いが高いと考えられます。各段落の「トピックセンテンス」すなわち、重要な部分を要約した文章に着目して付箋をつけたり、色つきのペンで線を引いておけばより効果的です。眠っている間の脳の再生・定着・整理の機能により、読んだ文章を夢でなぞることができ、翌朝起きたときに再読してみると、文章の深い意味合いが理解できるようになっているかもしれません。難しい専門書も、「寝る前30分」を有効に使えば、理解しやすくなるでしょう。

「寝る前30分」で仕事力・人間力を高める

●手帳を見ながら翌日のシミュレーションを行う

「寝る前の30分」で、翌日のスケジュールの重要なイベントを確認しながらシミュレーションを行うことも有効でしょう。得意先との商談、会議でのプレゼンテーション、上司への説明等のシミュレーションを行いつつ、不足している情報について補うなどの準備ができます。睡眠中、意識しないうちに夢の中でリハーサルする効果も期待できそうです。「事前の準備は万全だ」と思うことができれば、本番でもストレスなく、心の平静を保てるでしょう。


●「寝る前30分」で瞑想し、ポジティブな感情だけを残す

「寝る前の30分」は人間力を高める時間として活用することもできます。
その30分の間に1日の出来事を振り返りながら瞑想し、「人に喜ばれたこと」「だれかに感謝したいこと」など、人間関係をめぐるポジティブな感情を思い浮かべます。単に「うれしかったこと」でもいいでしょう。それをごく短い文章でも構わないので、日記などに記録しておきます。「寝る前30分」に振り返ることにより、寝ている間にそのようなポジティブな感情をもたらした出来事の意味づけが脳の中で行われ、長期記憶として定着していきます。
逆にネガティブな感情をもたらした出来事に囚われていると、そればかり気になって眠れなくなることもあります。しかし、失敗から学ぶことも重要であるので、次からはこうしておけば大丈夫だという着地点を見つけるようにすれば、安心して眠れるでしょう。

1日24時間はすべての人に平等ですが、時間の使い方で大きく差が開きます。多くの時間を費やすのではなく、十分に活用されていない睡眠時間中の脳の働きを高めることにより、その能率をさらに上げていくことができるでしょう。「寝る前30分」の活用をぜひ習慣化したいものです。

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