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(情報掲載日:2014年9月10日)

いまを勝ち抜く人間力

「 NO」を上手に伝えるコツ

VOL.32

ビジネスの場面では、無理とはわかっていても、つい断りきれなくて引き受けてしまい、思うような成果を出せなくて後悔することがあります。断る意思を上手に伝え、相手も自分も嫌な気持ちにならなくて済む、円滑なコミュニケーションの取り方を紹介します。

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●NOと言えない2つの理由

人間関係の中では「それはできません」と、その場でハッキリ相手に断れない場合がよくあります。しかし、断りにくいと返事を引き延ばし、それでも結局、断ることになってしまうと、自分も苦しく、期待をしていた相手は裏切られたような気持ちになり、信頼関係にヒビが入りかねません。
私たちはなぜ、最初からハッキリ「NO」と言えないのでしょうか。その理由として2つほど挙げられます。第1に、引き受けるか断るかの間で心が揺れてしまい、その場で即断できないことがあります。第2に、断りたい気持ちはハッキリしていても、何と言って断ればいいのか、その断り方がわからないことがあります。

●損をしてしまう対応とは

断り方を間違えれば、相手を傷つけることがあり、また、断りきれずあいまいな返事をすることで、自分が損をする場合もあります。自分にとっても相手にとっても良い結果をもたらさない対応としては、次の3つを挙げることができるでしょう。

①攻撃型
「この忙しいときに、なんでそんなことを頼んでくるのか!」と、頼み事をしてきた相手を責める。怒りの感情を相手にぶつけて、コミュニケーションを台無しにしてしまう。

②受け身型
嫌なことを嫌と言えずにガマンしてしまう。無理して引き受けて、良い結果を出せずに自分が辛い思いをすると同時に、相手の期待を裏切ってしまう。

③作為型
回りくどい言い方をして、本当は嫌だという気持ちを相手に察してもらおうとする。相手を不快な気分にさせてしまう。

これらの対応を繰り返していると、やがて他人を遠ざけてしまうこともあるでしょう。攻撃型は敬遠され、受け身型は一見、頼みごとがしやすいように見えても、相手の期待に応えられない場合が多いと思われてしまい、作為型は反感を買いやすいでしょう。

アサーティブな自己表現とは

●アサーティブとは

上記の3つのタイプとは違い、相手を攻撃せず、自分を抑えるのでもなく、また、遠回しに皮肉を言って相手を心理的に操作しようとするのでもない自己表現の方法を「アサーティブな自己表現」といいます。それは、自分も相手も大切にしようとする心から発する自己表現であり、自分の気持ちを誠実に、その場にふさわしい方法で言ってみようとする態度です。利己的でもなく、自己犠牲的でもなく、自分にとっても相手にとってもハッピーな結果をもたらすことを目指すコミュニケーションの方法であり、「WIN-WINな関係」を志向する自己表現方法であると言われます。

●アサーション権とは

アサーティブな自己表現の基礎にある考え方が、アサーション権です。これは、私たちは誰もがアサーティブな自己表現をする権利を持っているという考え方で、次のような5項目から成り立っています。

アサーション権とは

1) 私たちは、誰からも尊重され、大切にしてもらう権利がある
2) 私たちは誰もが、他人の期待に応えるかどうかなど、自分の行動を決め、それを表現し、その結果について責任をもつ権利がある
3) 私たちは誰でも過ちを犯すことがあり、それに責任をもつ権利がある
4) 私たちは、支払いに見合ったものを得る権利がある
5) 私たちは、自己主張をしない権利もある

平木典子『アサーション・トレーニング』(日精研)をもとに作成

攻撃的型の人や作為型の人は、「私たちは」の部分を「相手は」と読み替えると自分の批判的な傾向を抑制することができ、受け身型の人は「私は」と読み替えると、自分の抑圧的な傾向を解き放てるかもしれません。「私たち」がお互いにアサーション権を持っていることを確認しあうことが、アサーティブな自己表現の出発点になります。

●アサーティブ度を測るチェックリスト

自分の自己表現の方法がアサーティブであるかどうか、次のチェックリストを使って試してみることができます。

アサーティブ度チェック
アサーティブ度チェック
平木典子『自己カウンセリングとアサーションのすすめ』(金子書房)をもとに作成

以上の20項目の中で、◯をつけた数が多い人ほど、アサーティブ度が高いと考えられます。アサーティブ度が低かった人は、自分も相手も大切にする自己表現を心がけ、この20項目にあるようなアサーティブな態度に変えていくように意識すると、少しずつ変化が現れてくるでしょう。これを心理学の用語で「行動変容」と言い、よく言われるように、「意識が変われば行動が変わり、行動が変われば習慣が変わり、習慣が変われば性格が変わる」という好循環が起きてくるかもしれません。
アサーションの考え方からすると、相手に対して「NO」と言うことは、「私とあなたは好み、考え方、目的、都合や置かれた状況などが違う」ということを表明しているだけであって、相手の好意を否定したり、相手の自由を侵すことにはなりません。人は誰でも「NO」と言う権利を持っています。ただ、「NO」と言うときの表現方法に配慮しなければならないでしょう。

上手に断る方法とは

●代替案を提案する

相手にとっても自分にとっても不快でない断り方として、誰でもすぐに試せる方法は、代替案の提案です。相手の提案の内容について、100%そのままでは受け入れられないとしても、時期、場所、数や量、種類、方法などを替えることによって、受け入れやすくなる場合があり、そのような方法を提案してみるとよいでしょう。たとえば、「今日は無理だけれども、来週の水曜日ならOKです」とか、「次回からは数日前に言っていただければ、なんとか調整しますよ」といった言い方はいかがでしょうか。

●相手の気持ちや立場を尊重する

相手からの依頼や頼みごとには、何らかの気持ちが含まれています。それは自分に対する期待、信頼、依頼心、好ましい感情だったり、相手の困惑、不安、自信のなさ、切羽詰まった感情だったりします。それらの気持ちや感情が自分にもわかる、共感できるといったメッセージを伝えれば、たとえ断ることになったとしても、相手は「自分の思いをわかってもらえた」と満足してくれるはずです。
また、そういった依頼や頼みごとをせざるを得ない相手の立場に対して理解を示すことにより、相手は「わかってもらえてうれしい」と言ってくれるかもしれません。コミュニケーションは一方的に伝えるだけでなく、「私はこう受けとめた」と「伝え返し」をすることで深まっていきます。
たとえば、「あなたしか頼める人がいないのでお願いしたいのだけれど、今日の夜のミーティングに私の代役で出てもらえないでしょうか」と頼まれたときに、「無理です」とキッパリ断るのではなく、「私を頼ってもらえてとてもうれしいです。急な話でなければ何とか力になりたいと思いますが、今日の夜はどうしても断れない先約があるのです。ごめんなさい」などと、気持ちのこもった返事をしてはいかがでしょうか。

●自分の気持ちを誠実に伝える

相手が趣味でたしなんでいるお稽古事の発表会に誘われたとき、「その日はたまたま都合が悪いので、また機会があったら誘って下さい」といった断り方が無難であるように思われますが、何度も誘われた場合はどうすればいいでしょうか。もしも全く興味・関心がないのであれば、ハッキリそのように伝えたほうが、相手に期待を抱かせずに済むので、むしろ誠実な態度と言えるかもしれません。「申し訳ないけれども、私はその方面には詳しくありません。でも、あなたのことは大切に思っていますから、今度、ランチでもご一緒しませんか」というように、自分の気持ちを誠実に伝え、代替案を添えることができればなおいいでしょう。

●伝えるときは相手の反応を恐れずに伝える

ハッキリ断ることで相手に嫌われるのではないかという不安はあって当然ですが、本来、自分の思いを伝えたときに、それを相手が理解してくれるかどうかはフィフティ・フィフティであるはずです。理解してもらえなかったとしても、それは相手側の事情や価値観が自分とは異なるというだけの話であって、自分側の問題ではありません。いつも100%理解してもらえるとは限らないですが、だからといって「あの人は分からず屋だ」とか、「私は嫌われているのでどうせ無理だ」といった決めつけをせずに、理解してもらえるまで言葉を尽くして説明しようとすることが、アサーティブな態度であるといえます。

アサーションは、心理的に相手よりも優位に立つといった功利的なテクニックではなく、表現を変えることにより、相手とのコミュニケーションを円滑にする自己表現法です。その根底にあるのは、自分も相手も同じように大切にしようとする人間尊重の姿勢であると言えます。人は誰でも自分の意思や都合に反する申し出に対して「NO」という権利があります。そのときに相手にも自分にも不利益にならないようなアサーティブな言い方を工夫すれば、円満に断ることができ、人間関係が良い方向へ変わっていくのではないでしょうか。

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