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(情報掲載日:2014年7月10日)

いまを勝ち抜く人間力

自分を苦しめる思考グセを直す

VOL.30

私たちがストレスを感じるときには、「完ぺきでなければならない」といった自分を苦しめる思考グセが関係しています。思考グセにはさまざまなパターンがあり、多くの人が1つや2つは持っているものです。自分の思考グセを知り、直す方法についてご紹介します。

自分を苦しめる思考グセとは

●ネガティブな感情の背景には「思考グセ」がある

同じような出来事に直面しても、クヨクヨしないですぐに立ち直れる人もいれば、ひどく落ち込む人もいます。その差はだれもが1つや2つは持っている「思考グセ」にあると考えられます。中々消えない怒り、悲しみ、不安といったネガティブな感情の背景には、その人特有の思考グセが隠されています。
例えば、横断歩道の向こう側から歩いてきた知人に挨拶したのに気づかれなかった場合に、「目が合ったような気がしたが、無視されたのではないか。あの人は私のことを嫌っているのだろうか」と悩む人もいれば、「たまたま気づかなかっただけだろう」と思い、すぐに気持ちを切り換えられる人もいます。悩んでしまう人は、「無視された」という一点にとらわれ、「相手は横断歩道を渡る途中であった」「先を急いでいたようだ」「何か考え事をしていて周囲に気を配れない事情があったのかもしれない」といったさまざまな可能性を検討することなく、「私は嫌われている」とか「過去に何か相手の気に障ることをしてしまったに違いない」などと考え、自分を苦しめる方向に思考を進めてしまうのです。

●「思考グセ」がネガティブな感情をもたらす メカニズム

私たちはある状況に置かれたときに、いろいろなことを考え、その考えが感情や身体の状態、行動パターンに影響します。こうした考えの中には、自分を苦しめるような「思考グセ」があります。①状況、②思考グセ、③反応(感情、身体、行動)の三者の関係は次のような図で表すことができます。

思考グセがネガティブな感情をもたらすメカニズム
思考グセがネガティブな感情をもたらすメカニズム

例えば、企画書を提出する期限が迫っている状況で、期限に間に合いそうにない場合、焦りや不安が高まり、かえって仕事に手がつかなくなることがあります。その場合は、「こんな大変な仕事は、私には無理だったのだ」という思考グセが入り込んでいるのかもしれません。また、人によっては怒りの感情が湧き、仕事を投げ出したくなります。その場合は、「上司は私には合わない仕事を無理に割り振ったのだ」という思考グセがあると考えられます。

代表的な思考グセのパターン

●9つの代表的な思考グセ

気持ちが動揺したときに頭の中に浮かんでくる思考グセには人によってさまざまなものがありますが、心理療法として知られている認知療法では9つの代表的なパターンに分類しています。

①根拠のない決めつけ

確たる証拠がないのに否定的な思いつきを信じ込んでしまう思考グセです。

例)自分の意に添わない発言をする相手に対して、「この人は私と相性が悪いので、何を言ってもムダだ」と決めつけてしまう。

②白黒思考

あいまいなグレーゾーンに耐えられず、ものごとを白か黒かという極端な考え方でわりきろうとする思考グセです。

例)他の人から見れば十分にできているように見えても、「まだダメだ。100%完ぺきにできなければ、部下に示しが付かない。私は上司失格だ」と思ってしまう。

③部分的焦点づけ

自分が着目していることだけに目を向け、短絡的に結論づける思考グセです。

例)毎日挨拶をしている友人に、たまたま今朝、挨拶をしたのに気づいてもらえなかったことが気になって、嫌われているのかもしれないと思い込んでしまう。

④過大評価・過小評価

自分が気にしていることは悪いほうへ過大に解釈し、反対に自分の考えや予想に合わないことは過小に解釈して、考えるのを止めてしまう思考グセです。

例)自分は口ベタだと思っているために、「前にもうまく話せなくて失敗した。今回もまた同じ失敗を繰り返した。もう今後はなるべく人前では話さないようにしよう」と思い込み、人前でうまく話せたことも皆無ではないのに、そのことは考えようとしない。

⑤べき思考

「こうすべきだった」「あのようにすべきではなかった」と過去のことをあれこれ掘り出して悔やみ、自分を責めたり、他人に対しては批判的・攻撃的・報復的な気持ちや行動を引き起こす思考グセです。

自分に向かう例)「私は新人に対してつい厳しく言い過ぎてしまうので、私は新人に話しかけないようにすべきだ」と決めつける。
他人に向かう例)「部下が会議のときに私に反論した。どんなときでも部下は上司に反論すべきではない」と批判的な気持ちになる。

⑥極端な一般化(部分の全体化)

小さな事柄を取り上げて、すべてが同様の結果になるだろうと結論づける思考グセです。

例)ささいなミスが気になって、「こういうときにはいつもミスしてしまう」と結論づけてしまう。

⑦自己関連づけ

何か悪いことが起きると、自分のせいで起こったのだと決めつけて自分をひたすら責め続ける思考グセです。

例)自分には責任がないにもかかわらず、自分を責め、「私がチームのお荷物になっている」と思い込んでしまう。

⑧情緒的な理由づけ

そのときの自分の感情の揺れに影響されて、現実をありのままに判断できず、歪んだ解釈をしてしまう思考グセです。

例)新しい部署に移ったばかりで不安なときに、「初めての仕事だから不安なんだ」と思わずに、「こんなに不安なのは自分には合わない部署だからに違いない」と思い込んでしまう。

⑨自分で実現してしまう予言(自己成就的予言)

否定的な予測を信じ込み、悪循環を起こしてしまう思考グセです。

例)面接試験で緊張してしまい、うまく話せないのではないかと心配しすぎた結果、予測どおりにうまく話せず、試験に落ちてしまう。

「思考グセ」を直すには

●自分の思考グセに気づく

心に余裕のあるときは上記の9つのパターンの思考グセにとらわれることはなく、「いつもそうとは限らない」「それは単なる思い込みに過ぎない」と思えることでしょう。しかし、ストレスを感じているときは冷静な判断をする心の余裕を失ってしまっています。そのため、つい、思い詰めてしまい、人によっては他人に対して怒りの感情が湧いたり、あるいは悲観的な気持ちが強くなって付き合いを避けたりすることがあります。思考グセがもたらすこのような行動を避けるためには、自分の思考グセに気づき、修正することが必要です。

●「思考グセ」を修正する5段階のプロセス

思考グセは、本人が意識しないうちに自動的、反射的に湧き起こってくるものであるので、認知療法では「自動思考」と呼んでいます。怒り、悲しみ、憂うつ、憎しみ、不安などのネガティブな感情が湧き起こってきたときには、そこには思考グセが入り込んでいると疑い、その思考グセが何であるかを意識的に考えてみることが必要です。
思考グセを直す第1のステップは、決めつけていないか、白黒思考になっていないかなど、上記の9つのパターンにあてはめてみます。
第2に、思考グセは客観的な根拠のない自分勝手な思い込みである場合がほとんどなので、「そのように考える根拠は何だろうか」と自分に問いかけてみます。
第3に、思考グセに対して反論してみます。「他にはこういう考え方もできるのではないか」「必ずしもそうとばかりは限らないのではないか」等々、他の選択肢を挙げてみたり、柔軟な考え方をするようにします。
第4に、以上の思考プロセスを踏まえ、思考グセの極端な部分を調整して、現実的な着地点を考えてみます。
最後に、この着地点に到達したときの自分の感情を味わってみて、最初に感じたネガティブな感情がどの程度減っているかをつかめたとき、効果を実感できます。最悪の状態を100%としたとき、最初の感情がそれぞれ何%ずつかを数値化し、最後にそれらの感情がどの程度まで減ったかを表すとわかりやすいでしょう。

思考グセを修正する5段階のプロセス
思考グセを修正する5段階のプロセス

●ノートに書きながら「思考グセ」を修正する

以上の5つのプロセスを頭の中でイメージするだけでなく、下記のようにノートに書きながら考えていくとわかりやすいでしょう。例えば、人事異動で移った新しい部署で仕事をしていてわからないことが出てきたときに、周りの人に質問しようと思ったが、みんなが忙しそうにしているのでつい聞きそびれ、時期が経つのに何もできない自分に無力感や悔しさを感じた場合、次のようにノートに書いてみます。

思考グセをノートに書きながら修正していく例
思考グセをノートに書きながら修正していく例

●思考グセに対する「反証」のヒント

以上の5つのステップのうち、少々コツがいるのが「反証」です。先に挙げた9つの思考グセのパターンそれぞれについて、反証のヒントをご紹介します。

思考グセに対する「反証」のヒント
思考グセに対する「反証」のヒント

以上、認知療法の考え方を参考にして、誰でも持っている思考グセを修正する方法をご紹介しました。ストレスを感じているときは、思考グセがジャマをして誰でも本当の自分を見失ってしまいがちです。「もうダメだ」とか「どうにもならない」という否定的な気持ちから抜け出せそうにないときにも、思考グセを修正すれば、きっと現実的な着地点が見えてくるはずです。ただ、慣れないうちはトレーニングが必要かもしれません。ノートに書いて繰り返し試すうちに、思考グセにとらわれず、いろいろな角度からものごとを捉え直すことができるでしょう。自分を追い詰めたり、周囲の人を傷つけたりすることなく、自分自身や他人と折り合いをつけていけるようになりたいものです。

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