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(情報掲載日:2014年3月20日)

いまを勝ち抜く人間力

「スマホ留学」できるMOOCとは

VOL.27

米国で誕生した大規模公開オンライン講座「MOOC」が世界中で人気を集めています。名門大学の有名教授の講座をだれでも無料で受講でき、科目によっては修了証が企業から評価されてキャリアアップにつながるとも言われています。4月から日本語で学べるMOOCも始まります。MOOCで学んでビジネスに役立てる活用術をご紹介します。

MOOCとは

●2012年に米国で始まったオープンオンライン講座

MOOCは「ムーク」と読み、Massive Open Online Courseの頭文字からとった造語です。その意味は、 大規模で(massive)、誰にでも無料で公開されており(open)、ウェブにアクセスできれば(online) 、世界中から受講できる講座(course)というものです。
2012年4月に米国でスタンフォード大学の教員が立ち上げたMOOCの提供機関としては最大規模のコーセラ(Coursera)(※1)が第1号であり、翌5月にはマサチューセッツ工科大学(MIT)とハーバード大学が共同でエデックス(edX)(※2)を開設しました。スタンフォード大学教員で人工知能学者のセバスチャン・スラン氏らが設立したベンチャー企業が提供するユダシティー(Udacity)(※3)は、コンピュータサイエンス系の科目が多いMOOCです。大学教授ばかりでなく企業人も講義を提供しており、IT業界でのキャリアアップを希望する人が多数受講しています。
日本では日本版MOOCのサイトであるガッコ(gacco)(※4)が創設され、2014年2月から受講生の募集が始まりました。
MOOCは米国をはじめ世界の主要大学の教授による質の高い講義がウェブ上で受講できるとあって世界中に人気が広がり、現在の登録者数は約1,000万人を超えると見られています。

●MOOCがはじまった背景

大学がMOOCに無料の講義を提供するようになった背景には、米国の私立大学の授業料の高さがあるようです。中には年間4万ドル以上が必要な名門大学もあり、一部の富裕層を除いて気軽に通えなくなりつつあります。そんな中で、「だれもが一流の大学の一流の講義を受けられるようにして、才能と意欲と努力によって成功がもたらされるようにしたい」というMOOC創業者の働きかけに多くの大学が突き動かされたと言われています。
MOOCには数万人の受講者のテストを自動採点するといったデータ処理技術が投入されており、全受講者の受講履歴、テストの採点結果、講義の満足度のアンケート等のビッグデータを解析することにより、学習効果の高い講義とその運営手法を開発しようという目的も掲げられています。

※1 コーセラ(Coursera)ホームページ
https://www.coursera.org/

※2 エデックス(edX)ホームページ
https://www.edx.org/

※3 ユダシティー(Udacity)ホームページ
https://www.udacity.com/

※4 ガッコ(gacco)ホームページ
http://gacco.org/

MOOCの魅力

●入試も学費も不要でオンライン講義を受けられる

MOOCを受講するにはメールアドレスなどの個人情報を登録し、好きな講義を選んで申し込むだけで、入試も学費も不要です。学歴や資格は問われず、経済的事情などで高等教育を受けるチャンスが無かった人も受講が可能です。 モンゴル在住の15歳の少年がMOOCの「電子回路」の講義で満点を取り、それがきっかけとなって米国の名門大学に入学した例もあります。その「電子回路」の講義には、14〜74歳の受講生15万5, 000人もの人が世界中からが参加しました。(※5)

●さまざまな大学のさまざまな講義がある

MOOCには多くの大学が参加し、講義を提供しています。コーセラには2014年3月現在で世界の98大学が参加し、600以上の講義を提供しており、日本からは東京大学が参加しています。使用されている言語は英語のほか中国語、フランス語、スペイン語、ロシア語など全12言語ありますが、日本語の講義はありません。
講義のジャンルはコンピュータサイエンスが人工知能、セキュリティ、ソフトウェア工学などに細分化されて科目数が最も多く、他には機械工学、物理学、数学、建築、経済、経営、医学、栄養学、音楽、芸術、人文科学など多岐にわたります。開講日や期間は講義によって異なり、短いものは4週間で完結します。実際の大学の講義に比べるとミニサイズで、週に1回ずつ配信されるビデオ講義は10分程度となっており、毎回、課題が提出されます。
エデックスは、2014年3月現在で世界の32大学が参加し、151コースが公開されています。設立者のMITおよびハーバード大学という米国を代表する名門大学が多数講座を提供しています。日本でもよく知られているハーバード大学のマイケル・サンデル教授の”Justice”をオンラインで受講でき、修了試験に合格すれば教授のサインが入った修了証明を取得できます。日本からは東京大学と京都大学の2校が参加しており、2014年4月には京大・上杉志成教授の“The Chemistry of Life”と題する講義が配信予定です。
ガッコでは、4月開講の「日本の中世の自由と平等」(東京大学・本郷和人教授)、5月開講の「インターネット」(慶応義塾大学・村井純教授)、6月開講の「国際安全保障論」(早稲田大学・栗崎周平准教授)というように、日本人の講師が担当する講義を中心に、幅広い分野の講義が用意されています。2014年夏以降は「経営(マネジメント)入門」、「化学生命工学が作る未来」、「統計学・データ分析」といったビジネスや先端技術に関連した講義も予定されています。

世界の有名大学が提供するオンライン講義の例
世界の有名大学が提供するオンライン講義の例

●いつでもどこでも学べる「スマホ留学」

留学をしたいと思っても仕事やお金のことを考えると中々実現できないという人にとって、MOOCは日常生活の中で小さな留学のような気分を味わわせてくれることから、「スマホ留学」と呼ばれています。お金と時間をかけて外国まで行かなくても、世界中の仲間とともに学ぶことができます。講義内容は随時更新されており、気に入ったものを選んで、いつからでも始められます。時間の有効活用という側面では、インターネット技術のおかげで、すき間時間を利用していつでもどこでも学べるメリットがあります。スマホートフォンからMOOCのサイトにアクセスし、通勤電車の中で視聴している人もいます。

※5 金成隆一著『ルポMOOC革命 無料オンライン授業の衝撃』(岩波書店)

MOOCを活かしたキャリアアップ

●英語の上達に活用できる

コーセラやエデックスなどの海外のMOOCでは英語の講義が主体ですが、ビデオ講義だから聞き取れるまで何度でも繰り返し再生でき、中には英語の字幕がついているものもあります。英語があまり得意でなかった人でも、「これなら自分にもできそう」という気持ちが出て来るかもしれません。
中には「ビートルズの音楽」といった、趣味の延長で受講できそうな講義もあります。英語が苦手でも、自分の好きな分野のことであれば分かる部分が多いので、少しずつ英語に対する苦手意識を克服できるでしょう。苦手意識がなくなれば、「次はもっと仕事に役立ちそうな内容を学んでみよう」という意欲が湧いてくるかもしれません。

●世界中の仲間と切磋琢磨する

MOOCでは、同じ内容のビデオ講義で学んだ世界中の仲間たちをインターネットを通じて結びつけます。世界中の知識旺盛な人々とディスカッションし、切磋琢磨する中で自分の中の新しい可能性に気づき、大学進学、希望の転職の実現、昇格といったキャリアアップへとつなげられるかもしれません。その後の人生観や仕事観が変わるほどのインパクトを受ける人もいるでしょう。

●自主的な「学習会」に参加して情報交換する

MOOCには受講生同士が知り合える掲示板の機能があるため、近くに住んでいる人に呼びかけて学習会を開くことも可能です。日本でもそうしたMOOCの勉強会が開かれているようです。英語のネイティブ・スピーカーには質問しにくいことも、日本人同士であれば聞きやすいでしょう。最後まで学んで修了証を得るにはテストや課題をクリアしなければならないため、多くの人がこうした仲間同士の情報交換や助け合いを行っているようです。

●MOOCの履修証明がキャリアアップにつながる可能性も

グローバル企業ではMOOCの修了証を評価する動きが見られます。非英語圏の人がMOOCでビジネスに関する講義を英語で受講し、その修了証を採用面接時にアピールし、グローバル企業への転職に成功した例があります。また、ビッグデータ解析のような最先端のコンピュータサイエンスの講義の修了証を上司に見せて、新規事業の立ち上げを起案し、採用されたという例もあります。
日本版MOOCのガッコでは、修了証をキャリアの証明などに活用できるよう、提供機関が企業や大学に対して働きかけるとのことです。また、ASEANを始めとするアジア諸国においてもMOOCの講義を提供し、日本企業への就職希望者に対して有効な学習機会を提供するという方針を打ち出しています。(終了証は有料の場合もあります)

MOOCの登場によって、生涯学習のチャンスが大きく開かれました。MOOCは気軽に始めることができますが、レポート提出などの課題や試験があり、最後まで努力した人だけが修了証を手にすることができます。大学と違って単位や学位の認定はないものの、修了証が社会的評価につながるように、MOOC機関が企業等に働きかけています。今後、提供される内容がビジネスの現場や技術開発の現場で役立つ知識やスキルに直結することも予想され、MOOCが優秀な人材を育成し、到達能力を認証する人材育成機関としての存在感を増していくかもしれません。思い立ったが吉日で、まずは挑戦してみるのもよさそうです。

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