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(情報掲載日:2013年11月20日)

いまを勝ち抜く人間力

自分らしい生き方を探るダブルキャリア

VOL.23

ITの普及に伴い、個人が、インターネットを通じて様々な情報収集やサービス提供をすることが可能な時代になり、これまで副業に縁のなかった人にもその機会が増えました。一方で、社員の「やりたいこと」を重視し、本業以外の多彩な能力を評価する企業も現れてきました。人生をより充実させる「ダブルキャリア」の考え方についてご紹介します。

副業解禁の時代がやって来る?

●会社が副業を禁止する理由とは

「副業で稼ぐ」ことをテーマにした記事が、しばしば雑誌の表紙を飾り、多くの人の目を惹きつけています。ちょっとした小遣いを稼ぐことができれば、誰でもうれしいものですが、実際には会社員が副業を持つことはいろいろな面で難しいようです。
多くの会社は副業を禁止しています。その主な理由は、「本業に支障をきたすから」です。従業員は会社に対し、労務提供義務と職務専念義務を負います。労務の対価として賃金を払う会社が従業員に義務の履行を求めるのは当然と言えるでしょう。
もしも副業によって欠勤や遅刻が常習化するといったことが続けば、会社側もなんらかの厳しい処置を取らざるを得なくなります。最初のうちは注意やけん責処分にとどまったとしても、勤務態度が良好ではないということで評価が下がったり、職場に居づらい雰囲気になるかもしれません。
他方、受注減などで会社の業績が厳しくなった場合などに社員が事前に届け出れば、臨時的処置として副業を認める会社もあります。その場合、会社が下表のような内容のガイドラインを提示しているケースがあります。

副業についてのガイドラインの例

・同業種での副業は禁止する(競業避止義務違反)
・公序良俗に違反しない
・会社や取引先の情報を漏らさない

上記のように常識的なことであってもガイドラインとして社内に公表することで、「この程度なら許されるだろう」といった社員の勝手な思い込みをなくし、副業をめぐるトラブルを未然に防げるでしょう。

●「副業力」の価値を認める会社もある

副業を禁止あるいは制限する会社が「本業に支障をきたす」というネガティブな側面に焦点を当てているのに対し、副業のポジティブな価値を認める会社も出てきました。会社で与えられる仕事に加え、別の領域の仕事の可能性を広げていく「副業力」の価値を認めているようです。インターネットビジネスのように、個人の企画力や専門知識・スキルが売上の増大に直結している新しい業態に多く見られる考え方です。また、社内起業を支援する仕組みを持っている会社においても、個人の多様な「副業力」の価値を認めていると考えられます。

会社が「副業力」の価値を認める理由

・副業で得た情報や経験、人脈が新規事業のビジネスチャンスにつながる可能性がある
・会社の中の仕事だけでは育たない能力が副業で開花し、それを本業に生かす可能性がある
・副業を通じて得た自信、達成感が本業にプラスに作用する

「副業力」が高く評価される理由は、「タレント・マネジメント」と呼ばれる考え方に通ずるものがあります。「タレント」とは、個人の才能や将来の可能性を表す言葉であり、「タレント・マネジメント」は、個々の人材がもつさまざまな能力や知識、今後のキャリアプランについて上司やキャリアカウンセラーなどが面談でヒヤリングしたうえで記述・分類して「見える化」し、その情報に基づき適材適所の人材配置や適切な研修を実施するものです。そのねらいは、(1)人材のもつ多様な能力を生かす、(2)意欲を引き出す、(3)離職を防ぐ、の3点です。
自分のやりたい仕事や異動先を申告する「自己申告制」や、会社で必要としているポストを広く社内に募る「社内公募制」なども、「タレント・マネジメント」の方策の1つです。
従来の人事制度は一般的に、役職や職務ごとに期待される姿を描き、その理想像に合わせることを社員に求める内容になっています。しかし、職務の内容が社員の適性に合わないために本来の能力を生かせなかったり、個々人が描くキャリア観と一致しないために不満を持ち、メンタルヘルスが損なわれたり、離職の原因になるという弊害も出てきています。
あるIT会社の社長は、副業を認める理由として、社員の「やりたい」という意欲の引き出し効果を第1に挙げています。消費者のニーズをうまくすくい上げて新しいビジネスにつなげていくには、従来のように上司が「これをやれ」という仕事のやり方だけでは無理で、社員の「やりたい」という気持ちを大切にして、自発的かつ情熱的に動けるようにしないと実現できないのではないかと語っています。
働く人の視点から見れば、「ただ、言われたことだけをやる」という仕事のやり方は、副業に通じるような多彩な能力をもつ人ほどストレスがたまり、仕事のやりがいを実感することが難しくなるかもしれません。一方、「やりたいことをやる」という仕事のやり方は、夢中になってのめりこむことができ、生きがいへと発展する可能性があります。

人生を充実させるダブルキャリアとは

●経験者が語る「ダブルキャリアが人生を充実させる理由」

最近では、副業ではなく「ダブルキャリア」という言葉が使われるようになってきました。「銀行員にして小説家」、「IT企業のSE兼漫画家」、「そば屋チェーンの社長にして作詞家」、「医師兼小説家」といった華々しい成功例が雑誌やテレビで取り上げられています。
こうした人たちに共通しているのは、複数の仕事をかけ持ちして多忙でも、スケールメリットのようなものもあって、何かひとつの職業に絞るよりはむしろ兼業のほうがバランスがとれているということのようです。小遣い稼ぎやお金儲けが一番の動機ではなく、人生の充実につながるという意味で、「ダブルキャリア」という言葉が使われています。ダブルキャリアが人生の充実につながる理由として、経験者は次のような点を挙げています。

経験者が語る「ダブルキャリアが人生の充実につながる理由」

・定収入が得られる本業があるからこそ、副業では妥協をせずに自分でやりたいことを押し通して、仕事のクオリティを向上させることに集中できる
・本業ではつらいことでも義務として果たしているので、副業では思い切り好きなことをやろうという気持ちになれる
・好きなことを副業にしているから、遊びのつもりでできる。嫌になったらいったん止めて、時期を変更して再開することも躊躇なくできる
・副業はお金目当てではないので、欲に縛られずにできる。欲がないから、周囲の反感やねたみを持たれることがない
・一方の仕事でうまくいかないことがあっても、他方の仕事でストレスを解消したり、気持ちの切り替えができる

●ダブルキャリアで自己実現をする

ダブルキャリアの経験者たちは、本業と副業の相乗効果あるいは一方が他方にないものを補う相補効果によって自己実現を果たしているので、人生に充実感を感じていると言うことができそうです。自己実現とは、経営学にも通じた心理学者であるマズローの五段階欲求説において頂点に位置づけられている欲求です。第一段階の生理的欲求(食べたい、寝たい)、第二段階の安全欲求(安全・安心な暮らしがしたい)といった低次の欲求が満たされると、人は第三段階の所属欲求(家族がほしい、仲間がほしい)という欲求が出てきます。ここまでは自分の周囲の外的欲求であり、これらが満たされて初めて内面の充実を求めるようになり、それが第四段階の尊厳欲求(他者から認められたい、尊重されたい、他者を尊重したい)であり、第五段階の自己実現欲求(自分の能力を生かして創造的な活動や問題解決型の行動をして、達成感や生きがいを得たい)です。
例えば、本業によって「生理的欲求・安全欲求・所属欲求」を満たし、副業によって「尊厳欲求」を満たすことで、最終的な自己実現欲求を満たす、という人もいるでしょう。

マズローの欲求五段階説
マズローの欲求五段階説

趣味や特技を生かしてダブルキャリアにつなげる

●趣味やボランティア活動も「キャリア」のうち

キャリアというと職業的キャリアを思い浮かべがちですが、家族の中の役割、趣味の活動、市民としての地域貢献活動、学生としての学びの活動、現役引退後のセカンドライフにおける活動もキャリアであり、それぞれは中断や再開があっても全体として生涯にわたり形成されるという学説があります。
人は「ダブルキャリア」のみならず、トリプルかそれ以上のキャリアを重ねて人生を支え、充実させていると考えられます。趣味やボランティアも「ダブルキャリア」であり、本業の職業的キャリアとは異なる自己実現を達成することにより、人生をより豊かにすることができそうです。
とくにお金を目的としない趣味やボランティアの地域貢献活動であれば、誰でも始めやすいでしょう。経験を積み重ねることにより、社会的評価を得て、やりがいや満足感につながるかもしれません。例えば、イラスト、漫画、デザイン、手芸品、料理のレシピと写真といった「作品」をインターネットのブログ等で発表し続け、それが評価されて商品として販売されることになったという例も珍しくありません。
ボランティアの中には、弁護士、コンサルタント、メーカーの技術者、営業職などの職業上の知識やスキルを生して「プロボノ」として活躍する人々もいます。NPOを拠点とするプロジェクトチームに参加し、休日や終業後の時間を利用しており、寄付金や協賛金を得て有償で活動する場合もあります。

趣味と本業を分けて考えている人が多いでしょう。しかし、本業でなかなか成果が出ない場合に、その解決の糸口が趣味やボランティアを通して見つかる場合もあります。仕事だけで精一杯という状態のときも、仕事とは全く異なる活動の場に参加することで、息抜きや気晴らしができ、新たな気づきや仲間との出会いがありそうです。
会社という組織に所属する限り、課せられたルールは守らなくてはなりませんが、「本業に支障が出るダブルキャリア」ではなく、「本業でより成果を出すためのダブルキャリア」というポジティブな視点でいまいちど本業以外の活動をとらえ直してみると、何かのヒントが得られるかもしれません。

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