配信申込

(情報掲載日:2021年6月7日)


次世代へと引き継いでいきたい価値を持つ建物、遺跡や自然として、ユネスコが認定したものが世界遺産です。旅に出ることが難しい昨今だからこそ、代わりに世界遺産についての情報に触れてみませんか。頭の中で旅を楽しめるだけでなく、知的好奇心が刺激されて幅広い学びにもつながります。

●世界で1000件以上が登録

世界遺産は、1975年にユネスコ総会で発効された「世界遺産条約」(正式名称「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」)に基づき生まれました(※1)。条約に則って作成される「世界遺産一覧表」に記載された物件を指します。世界遺産は、地球と人類の歴史によって生み出されてきた、未来へと伝えていくべきかけがえのない宝物と言えます。

世界遺産条約の目的は、人類全体の遺産として、文化遺産や自然遺産を損傷や破壊などの脅威から保護・保存していくために国際的に協力・援助体制を確立することにあります。
締約国は194か国、世界遺産の登録は1121件にのぼります。登録件数を国別に見ると、イタリアと中国がそれぞれ55件と一番多く、次いで、スペイン48件、ドイツ46件、フランス45件という状況です(2020年7月現在)。
日本は1992年に締結し、翌年に初めて登録されたのが、法隆寺地域の仏教建造物(奈良県)、姫路城(兵庫県)の2件でした。現在の登録件数は23件、国別では12番目に多いことになります。

●きっかけは「アブ・シンベル神殿」

世界遺産という概念が生まれたきっかけは、世界最長として知られるエジプト・ナイル川に建設が計画されたダム工事です。これにより「アブ・シンベル神殿」をはじめとする遺跡群が水没の危機にさらされることになったため、ユネスコが救済活動を始め、人類に共通する遺産を国際的に保護しようという考え方が広がっていきました。水没からの救済には多くの国々が賛同し、各国の支援によって移築が決まったのです。


▲アブ・シンベル神殿

アブ・シンベル神殿は、ギザのピラミッドと並ぶエジプトの至宝と呼ばれており、紀元前1300年ごろに岩山をくり抜いて造られた神殿です。大小二つの神殿からなり、大神殿は、高さ33メートル、幅38メートル、奥行き63メートルと巨大で、神殿の入り口には高さ20メートルを超えた、最も有名な古代エジプト王・ラムセス2世の像4体が鎮座しています。内部の壁や天井には古代エジプトの象形文字や、当時の様子が刻まれたレリーフがあり、奥には年2回朝日に照らされるように設計された神像が4体祀られています。
この神殿を1000個以上のブロックに分割して解体し、高い場所に移して組み直すという一大移築工事が、1963年から約5年をかけて行われました。その後、アブ・シンベル神殿を含む「アブ・シンベルからフィラエまでのヌビア遺跡群」は、世界遺産に認定されます。もともと建っていた場所は、現在はダム湖の底となりました。

1: ユネスコ=国際連合教育科学文化機関。諸国民の教育、科学、文化の協力と交流を通じて、国際平和と人類の福祉の促進を目的とした国際連合の専門機関の一つ。

●21か国からなる委員会で毎年審議

世界遺産一覧表に記載する遺産は、各国からの推薦を経て21か国からなる「世界遺産委員会」で毎年審議されます。コロナ禍により昨年の委員会は延期されたため、2021年の夏には2年分の審議が行われる予定です。
世界遺産とは「顕著な普遍的価値」を有するものと世界遺産条約に規定されており、具体的な登録基準も定められています。次の表の10項目のうち1つ以上に合致することが必要で、さらに遺産の保有国による適切な保護管理体制も求められます。自国だけで保護ができない場合は、世界遺産基金による国際的援助を申請できます。

世界遺産の登録基準(※2)


●文化遺産・自然遺産・複合遺産

世界遺産には、人類が作り上げた歴史的・美術的・科学的に貴重な建造物や遺跡などを対象とする「文化遺産」、地球の歴史や動植物の進化を伝える特徴的な自然や地域などを対象とする「自然遺産」、文化遺産と自然遺産の両方の要素を兼ね備える「複合遺産」の3種類があります。上の表の1~6のいずれかに合致したものが文化遺産、7~10のいずれかに合致したものが自然遺産です。
世界遺産の中でも、後世に残すことが困難になっている、またはその懸念があるものは「危機にさらされている世界遺産」、2か国以上で保有しているものは「国境を越える世界遺産」、戦争・人種差別など、繰り返してはならない人類の犯した過ちを示しているものは「負の世界遺産」と呼ばれています。

このように、世界遺産と認定された物件は、歴史的背景、文化的側面、生物学的意義など、さまざまな価値を持っています。世界遺産について知ることは、それぞれの持つ世界的に意味のある価値の習得、発見、気づきにも結びついていくのです。さらには、リベラルアーツ(専門分野に限定せずに幅広く学び、新たな思考や実行を促す力を育む知識)の一つとしても役立つと考えられます(※3)。

2: 公益社団法人日本ユネスコ協会連盟のサイトより抜粋・加工
https://www.unesco.or.jp/activities/isan/decides/新しいウィンドウが開きます
3: 人材マネジメントライブラリ「ビジネスの視点を変えるリベラルアーツ」 https://www.tempstaff.co.jp/magazine/manage/vol44.html

世界遺産を実際に訪ねることはコロナ禍では困難ですが、ユネスコのサイトの他、詳細な情報や写真、オンラインツアー、紹介動画などには、インターネットを介して手軽にアクセできます。ここでは、ほんの一部を簡単に紹介します。


▲グレート・バリア・リーフ


▲フィレンチェ歴史地区


▲マチュ・ピチュの歴史保護区

海外の世界遺産


日本の世界遺産



▲屋久島


▲日光の社寺

世界遺産に登録されている建造物や自然には世界的な価値が認められており、それぞれに大切な意義や重要な背景があります。世界遺産を楽しむことは、そのような価値の学びにも通じます。グローバル化の中で世界を多角的に見つめるためにも、注目してみませんか。

配信申込

“旬”なテーマで人材活用やビジネスに関するお役立ち情報をお届けします。メールマガジンの定期配信をお申込みのお客様は左のボタンからお気軽にどうぞ。

このページのトップへ