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(情報掲載日:2020年10月12日)


結婚や介護など個人のライフステージの変化に加えて、仕事内容や会社組織など働く環境の変化も多い時代になってきました。先行きの予測が難しく不確かであったとしても、自分自身を見失わないようにキャリアを積み重ねていくことは大切です。そのために役立つ「キャリアデザイン」という考え方を意識してみませんか。

●キャリアデザインの意味・背景

キャリアというと一般的には職業や職歴がイメージされますが、英語の Careerという単語は生涯や経歴も意味します。同じように、「キャリアデザイン」という言葉の指すキャリアは広い範囲に及び、長い人生における働き方、考え方、スキル、ライフスタイルなどを含みます。
キャリアデザインとは、「どんな仕事をしたいか」「どのような働き方や家庭生活を送りたいか」といった人生の理想を描いて、その実現に向けた計画を設計することであり、理想的なキャリアを組み立てていくための方法を自ら考えていこう、というポジティブな概念です。

「キャリアパス」「キャリア開発」という似た言葉もありますが、前者は主に、企業内において目指すポジションに就くために必要な知識・スキル・経験などのプロセスを指します。後者は主に、従業員が企業内でキャリアを築いていくための企業によるキャリア構築の支援を指します。ともに、企業という範囲内でのキャリアを対象とした考え方である点が、キャリアデザインとは異なります。

キャリアデザインが注目される背景には、「働き方改革」「人生100年時代」「終身雇用と年功序列の崩壊」など大きな変化があることが考えられています。これらの変化によって、スタンダードな働き方や生き方というものがなくなりつつあります。一方、雇用形態や勤務時間、働く場所などは多様化し、求人情報は容易に収集できるようになり、選択肢は広がりました。
そのような環境下では、自分自身がどのタイミングで何を選ぶか、という判断が必要になります。そこで、判断の元となるキャリアデザインが重要視されているのです。

●一人ひとりのメリット、企業のメリット

キャリアデザインを描くと、日々なんとなく働くのではなく、将来の目標を見据えて目の前の仕事に向き合えるため、前向きな気持ちになりモチベーションも高まります。自分のありたい姿や自分らしい働き方という「大きな軸」を心の中に持っているため、職場や職種などの変化があったとしても「小さな変化」として柔軟に受け止めることができ、不安や困惑の気持ちが軽減されて新しい環境に順応しやすくなります。
また、主体的にキャリアデザインを描くスタンスが身に付くと、「変化をチャンス」と受け止められるようになり、より高い目標や新しい生き方へとバージョンアップするきっかけを創り出せるようにもなります。

企業にとっても、一人ひとりがキャリアデザインを描くことにはメリットがあります。従業員が前向きにモチベーション高く働くことは、生産性の向上・企業競争力の強化・組織の活性化につながるためです。自己申告制度や社内公募制度など、従業員のキャリアデザインを支援する取り組みが広がりつつある理由とも考えられます。
キャリアデザインの支援を通じて生まれる企業と従業員間のコミュニケーションは、従業員エンゲージメント(企業理念への共感や自発的に貢献する意欲)や従業員満足度(仕事内容や待遇、環境に対する満足度)に好影響を与えます。また、従業員の希望に沿った配置や能力向上に適した異動にも活かせます。

●自分の見つめ直し(過去から現在)

キャリアデザインを描くにあたっては、キャリアを「知識・スキル」「行動特性・思考特性」「マインド・価値観」の3つの要素に分けてみると進めやすくなります。3要素は仕事(ワーク)に限定せず、プライベートの時間での活動(ライフ)も含めて考えるようにしてください。



まずは自分の過去を3要素それぞれについて振り返ります。例えば、「知識・スキル」に関しては、携わった仕事や趣味、出した成果や継続してきた活動、習得したテクニックや学びを書き出します。「行動特性・思考特性」「マインド・価値観」に関しては、問題やトラブルが発生したときに取った行動、やりがいや面白さを感じた瞬間、充実していた業務や過ごし方、辛い時の乗り越え方、などを書き出してみます。

次に、現在の3要素を同じように書き出します。現在の自分を客観的に見つめるためには、上司や同僚や家族からの言葉・アドバイスや、適性検査などの結果も参考になります。

過去と現在の3要素を並べてみると、自分の成長や、性格の傾向・特徴が把握しやすくなり、自己理解が深まっていきます。

●自分を描く(現在から未来)

過去と現在の3要素を見つめ直した後は、未来の3要素です。将来の目標は何か、なりたい自分とはどんな姿なのか、と未来のゴール(目標)を考えながらそれぞれを書き出します。そして、次の図のように「未来のゴールのイメージに対して、今の自分の状態を比較した時に不足しているものは何か」→「その不足をなくすために、今の自分が取るべきアクションは何か」とまとめていきます。



このプロセスによって具体化された幾つかの「今、取るべきアクション」は、短期・中期・長期に分ける、時間を要するものは分解してすぐに取りかかれる身近なことから始める、優先順位をつける、といった工夫を加えると実行しやすくなります。また、アクションを考える際には、ライフイベントもイメージしてメリハリをつけておくと、より計画的にゴールに近づけます。

アクションを実行し始めた後は、実行状況を定期的にチェックし、振り返りと行動修正を行うことが重要です。今のアクションが、将来の目標やなりたい自分に一歩一歩近づいている、という確かな感覚が得られます。そのためにも、数値を用いてアクションの達成度を表すなど、チェックしやすい指標を作っておくとよいでしょう。


●Will、Can、Must

未来のゴールがぼんやりしていて明確に浮かばない場合は、「Will」「Can」「Must」という3つのキーワードを元にイメージを描きます。

「Will」とは、「自分がやりたいこと」を指します。「自分はどんなことが好きなのか」「どんなことに憧れを感じるのか」「どんなことに興味があるのか」と自分自身に問いかけてみます。または、過去の「充実や喜びを感じた瞬間」「時間を忘れて取り組んだ場面」を思い起こしてください。

「Can」とは、「自分にできること」を指します。「自分はどんなことが得意か」「どんな分野に自信があるか」「上達したのはどんなことか」と振り返ってみます。または、「褒められたことは何か」「よく頼まれることは何か」と、周囲の人から掛けられた言葉を思い出してください。

「Must」とは、「自分がやるべきこと」を指します。「周囲の人たちからどんなことを求められているか」「社会の大きな流れの中でどんな貢献ができるか」「どんなことに使命感を覚えるか」と自分自身を見つめ直してみます。今の職場や家庭といった範囲にこだわらずに、外の世界も視野に入れるようにしてください。

抽象的なことでも、些細なことでも、とにかく書き出してみると、共通項や方向性がつかめます。



●自分らしさを探す

無意識の自分の行動に注目してみることも、未来のゴールの設定には有効です。例えば、幼少期に夢中になっていたこと、飽きずに打ち込んでいたこと、自然に上達したことを思い浮かべてみます。無理なくできた、いつの間にか熱中していた、という行動の中には、自分らしさが潜んでいます。

嫌いなこと、避けてきたことを思い浮かべてみると、消去法によって自分らしさを見つけることもできます。ストレスを強く感じる瞬間、我慢できない状況、二度とやりたくない役割などを挙げると、自分の価値観や適性はそれ以外のところにあると考えられます。
いずれにしても、未来のゴールを探す際には、肩の力を抜いて自分に素直に向き合う姿勢が大切です。

自らの意志で後悔なく働いていくためにも、納得できる人生を歩んでいくためにも、キャリアデザインは役立ちます。「なりたい自分」「理想の生き方・働き方」に近づくために、最初の一歩を踏み出してみませんか。

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