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(情報掲載日:2020年5月18日)


国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」として17の目標が掲げられました。その一つに示されているように、プラスチックごみ問題は世界が取り組むべき大きな課題として意識されています。今後の企業の事業や活動を考える際のテーマにも上るようになってきました。そんなプラスチックごみの現状や取り組みについてご紹介します。

●世界的な利用の拡大

プラスチックは、石油を主な原料として作られた素材です。軽い、変質しにくい、加工しやすい、耐水性や耐熱性が高いなど、優れた特徴があります。そのために、プラスチックの用途が拡大し、世界中でさまざまな製品に使われています(※1)。世界のプラスチックの年間生産量は過去50年間ほどで約20倍に拡大していると、2016年の世界経済フォーラム(ダボス会議)では報告されました。20年後にはさらに倍増することが予測されています。

産業別のプラスチック生産量(2015年)は、容器包装用のプラスチック生産量が最も多く全体の36%です(※2)。これらペットボトル、ストロー、レジ袋、食品トレーというのは、使われた後すぐに捨てられるため、プラスチックごみの増加に大きく影響していると考えられます。
容器包装用のプラスチックが、ポイ捨てされたり屋外に放置されたりすると、雨や風によって行き着く先は海です。
世界で年間約800万トンものプラスチックが、ごみとして海に流れ込み、2050年には海洋中のプラスチックごみの重量が魚の重量を超えるという試算も出されています(※3)。太平洋の真ん中には、潮の流れに乗って吹き溜まりのように8万トンのゴミが浮かんでいるという、フランス国土の約3倍にあたる海域が見つかりました。日本近海にも、マイクロプラスチックが漂う海域があると言われています。


主なプラスチックの種類とその用途(※1)


※2:環境省「プラスチックを取り巻く国内外の状況」
http://www.env.go.jp/council/03recycle/y0312-04/y031204-s1.pdf
※3:環境省「令和元年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」
https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r01/html/hj19010301.html

●海の生き物への影響

プラスチックごみが海へ流れ出たことにより、海岸に打ち上げられたクジラの胃の中から100枚近いポリ袋が見つかったり、海面に浮遊しているプラスチックを食べた海鳥が息をつまらせたりするなど、誤飲・誤食による海洋生物の被害がこれまでに多数報告されています。他にも、アザラシやクジラが網やポリ袋に絡まって身動きが取れなくなる、ウミガメが鼻にストローを詰まらせて呼吸困難になる、といった事態も起こっています。

海に流れ込んだプラスチックごみは、波や紫外線の影響を受けて砕けていきます。5ミリ以下になったプラスチックの粒子をマイクロプラスチックと呼びます。自然に分解されずに半永久的に残る可能性が高いと言われており、魚や貝が食べたマイクロプラスチックは体内に蓄積され、やがて食物連鎖を通じて人体に蓄積していくことが懸念されています。

このような問題に対して、国連では「持続可能な開発目標(SDGs)」の一つに「海の豊かさを守ろう」という目標を掲げています(※4)。「持続可能な開発のために海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」ため、「2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する」ことを示しています。

※4:外務省「JAPAN SDGs Action Platform」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/index.html

●使用後の国内での処理

日本1人あたりのプラスチック容器包装の廃棄量(2014年)はアメリカに次いで世界2位です(※2)。ところが、廃棄されるプラスチックごみの量に対して、リサイクルや焼却処理、埋め立て処理の能力が追い付いていない、という現状があります。
自治体や企業による分別回収などによるリサイクル活動が全国的に盛んになってきましたが、「新たな製品に生まれ変わらせる」という形でのリサイクルが実現できているのは、回収された全体の2割程度です(※2)。約6割がサーマルリサイクルにあたり、「ごみを燃焼することにより発生する熱をエネルギーとして再利用する」という形のリサイクルとなっています。サーマルリサイクルは、燃焼時に二酸化炭素が発生するため、地球温暖化対策の視点からは決して望ましいとは言えません。
残りの2割弱は、回収されてもそのまま焼却されるか埋め立てられます。ただし、国内の最終処分場の残余年数は約20年と報告されており、この数字は減らす必要があります(※5)。

●アジア諸国への輸出

日本や欧米諸国で発生した廃棄プラスチックは、国内で処理するだけは対応しきれないために、資源リサイクル用として主にアジア諸国に輸出されてきました。中でも、世界の約7割を輸入し、日本の輸出量の半分を受け入れてきたのが中国です。ところが、環境面での負荷が社会問題化し、2018年から輸入をストップさせました。 中国の輸入量を代わりに担うことになったアジア諸国の処理能力は不十分で、ごみが何メートルも山積する、プラスチックの燃焼によって発生するガスによって周辺住民に被害をもたらす、という状況が増えました。そのまま海に流されるようなケースも生じています。

国境を越えた有害廃棄物の移動や処分による環境汚染などを防ぐことを目的とした「バーゼル条約」があります。2019年の改正によって、リサイクルに適していないような汚れたプラスチックごみも対象に加えられ、輸出規制が強化されました。 アジア諸国に多量の廃棄プラスチックを輸出していた国々は、国内での処理やリサイクル、そして、プラスチックの使い方や使用料の削減について、改めて見直しを進めています。

※5:環境省「一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成29年度)について」
https://www.env.go.jp/press/files/jp/press/1dtgw29.pdf

●世界の動き

レジ袋や使い捨てプラスチックに対する規制強化の動きは、世界各国で加速しており、「大量に生産・消費・廃棄する社会システム」から「資源循環型社会」への転換に向けた議論も進展しています。レジ袋、使い捨てのプラスチック製カップや皿の使用禁止や、ゴミ袋の有料化は欧州をはじめ各国で採用されつつあります。
企業の間でも、外食チェーン店でのストロー廃止や容器の素材変更、アパレルメーカーでの包装素材の変更や簡素化・有料化、各メーカーでのリサイクル素材を使った製品の開発、食品メーカーでの製品パッケージの素材の切り替えなど、プラスチックの使用を減らすための取り組みが盛んです。

2019年に開催された大阪サミットでは、プラスチックごみも重要な議題になりました。世界共通のビジョン「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が示され、海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2050年までにゼロに削減することを目指し、各国が海洋プラスチックごみの削減に向けた自主的な対策を実施し、それぞれの取り組みを継続的に報告・共有することが合意されています。
日本からも、世界全体で効果的な海洋プラスチックごみ対策が進められるように、後進国のインフラ整備や人材育成などに協力していくことが表明されました。

●国内の動き

政府は「プラスチック資源循環戦略」を策定し、3R(Reduce、Reuse、Recycle)+Renewableを基本原則に挙げています。ゴミを減らす(Reduce)、何度も使う(Reuse)、資源に戻す(Recycle)、再生可能資源に代替させる(Renewable)ための行動を促進し、2030年までに、使い捨てプラスチックの排出量を25%抑える、容器包装の6割をリユース化する、リサイクルを倍増する、などの目標を置いています。

5月30日(ごみゼロの日)から6月5日(環境の日)を経た6月8日(世界海洋デー)までの期間を「海ごみゼロウィーク」と称し、海洋ごみ削減に向けた清掃活動を、環境省は後押ししています。
2020年7月からは、全国一律にプラスチック製買物袋の有料化がスタートすることが経済産業省から発表されました。
環境省の「プラスチック・スマート」キャンペーンサイトでは、企業や各種団体が実行しているアイデアや取り組みが発信されており、キーワードで絞り込んで調べることができます(※6)。

ペットボトル、食品の容器、歯ブラシ、パソコンなど、プラスチック製品は日常生活の中にあふれています。それらを全く使わないようにするのは困難ですが、必要以上の使用を控えることは、一人一人が今すぐにでも始められます。身の回りのプラスチックに目を向けてみて、プラスチックごみを少しでも減らすために、毎日の行動をシフトさせていきませんか。
※6:環境省「プラスチック・スマート」
http://plastics-smart.env.go.jp/

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