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(情報掲載日:2020年4月13日)


創造性や高い生産性を発揮する人には、必ず物事に「没頭」する時間が存在するといわれます。加えて、人は没頭すると幸福を感じるという研究報告もあります。社員が「一つのことに熱中する力=没頭力」を発揮することは、企業にとって大きなメリットがあります。どうすれば社員が仕事に没頭できるようになるのか。その方策について解説します。

●没頭力は創造性を生み、幸福感をもたらす

没頭とは「他の事をかえりみず、一つの事だけに熱中すること(大辞林)」です。創造的な仕事には没頭するプロセスが不可欠で、仕事の生産性を高めるうえでも没頭する時間を持つことは重要です。人は、特に未知なことや好きだと思えることに取り組むときに没頭状態になりやすいといわれます。「いい仕事ができた」「仕事が楽しかった」「いつもより早く仕事が終わった」と感じたときには、その過程で仕事に没頭する時間を持てていたといえるでしょう。

また、没頭する行為には幸福を感じる効果があるといわれています。「ポジティブ心理学」の創設者である米国の心理学者マーティン・セリグマン氏によれば、人が幸福を感じるための要素は「没頭」「快楽」「意義(自分の仕事が誰かに貢献し、意義を感じられていること)」であると述べています。ベストセラーになった『幸せがずっと続く12の行動習慣』の著者である米国・カリフォルニア州立大学教授のソニア・リュボミアスキー氏は、幸福が続く行動習慣として「自分が没頭できる活動を増やすこと」を挙げています。没頭によって幸福を感じられるということは、行為そのものが喜びだといえます。仕事への没頭力を持つことは、仕事を推進させ、仕事の質を向上させることにつながるのです。

●没頭するときに起こる8つの状態

米国の心理学者ミハイ・チクセントミハイ氏は、人が物事に没頭した状態を「フロー状態」と呼び、それがどのような状況下で起こるのかについて研究を行っています。人が没頭するときには次のような特徴的な状態があり、このうちいくつかが組み合わされることで没頭する状態に入る、としています。

人が没頭するときの8つの状態

(M.チクセントミハイ『フロー体験とグッドビジネス――仕事と生きがい』世界思想社を参考に作成)

これらを見ると、仕事が挑戦しがいのある内容で、その仕事を自分自身でコントロールできる状態にあり、リアルタイムに進展を把握できるようなときに没頭が起こるといえます。まさに、自分が大事なスポーツの試合に臨んでいるような感覚こそが、没頭している状態なのです。だからこそ、組織そして職場において、仕事の現場をこうした状況下に近づけることこそが、社員の「没頭」状態を生むことにつながるのです。

●仕事の内容や時間に対する「線引き」が必要

仕事に没頭できるようにするには、没頭したい仕事を見極めて、没頭できる時間を確保する必要があります。そのためには「人が没頭する8つの状態」に則した、仕事内容や時間への「線引き」をしなければなりません。そのための支援策の例には次のようなものがあります。組織の中では、仕事に「没頭する状態」になることを事前に認めてもらっておく必要があります。個人ごとに挑戦しがいのある明確な仕事の目標を立て、個人個人がその仕事に没頭できるように、互いを尊重していくことが重要になるといえるでしょう。

没頭できる状態をつくるための支援例



●スポーツにおける「集中」のノウハウを参考にする

スポーツの場面で気持ちを集中させる方法としては、試合前やプレー前のルーティン、アタマの中で理想のプレーを描くイメージトレーニングがよく知られています。ほかにも、セルフトーク(自分への言い聞かせ:ワクワクする言葉をかけるなど)、意識の集中動作(自分で決めた動作を行う:深呼吸する、笑う、上を向くなど)などがあります。自信が持てないときには、以前にうまくいったときと同じ状況をつくったり、仲間同士で褒め合うことも有効です。これらのノウハウも仕事に没頭する状況づくりの参考にして、個人に合った手法を見つけましょう。

人が物事に没頭する行為はごく個人的なものといえますが、企業における仕事に関しては、社員が没頭できる状況をつくるには、周囲の事前確認や支援が必要になります。社員個々が組織の中で何をやりたいのかを決めて発表し、互いを認め合う関係づくりが重要です。そうした社員同士の関係づくりが没頭できる状況を生み、「没頭力」を引き出すことにつながるでしょう。

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