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(情報掲載日:2019年8月19日)


海外のリーダーたちは部下に失敗談を語ります。失敗を恐れず勇気を持って挑戦してほしいと思うからです。失敗談ほど効果的にビジネスを学べる素材はありません。失敗をどのように捉え、どのように伝えていくべきなのか。失敗談を軸とした人材育成について考えます。

●人が話に興味を持つ4つのFとは何か

人はどのような話に興味を持つでしょうか。人は他人の成功話よりも失敗話や苦労話に共感します。認定スピーチコーチであるリップシャッツ信元夏代氏は、人が興味を持つ話には以下の4つのFが含まれていると述べています。これら「失敗」「欠点」「フラストレーション」「初めての体験」は失敗談に多く含まれる要素といえます。

人が話に興味を持つ4つのF

ailures(失敗、過ち)
laws(欠点)
rustrations(フラストレーション、不満、苦悩、落胆など)
irsts(初めての体験)


人は完璧な人には近寄りがたく感じます。お互いに何かが足りないと思えるからこそひかれ合う部分が生まれます。失敗談を聞くと相手に親近感が湧き、「自分にもできるかも」「自分もやってみよう」と思うようになるのです。

●企業リーダーたちが語る失敗談

海外のリーダーたちもよく失敗について語っています。米国のIT起業家であるスティーブ・ジョブズ氏はスタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチで、これから何をやりたいのかわからずに大学を中退したこと、自ら立ち上げた企業から追われてしまった経験を語りました。同じくIT起業家であるビル・ゲイツ氏は最初に世に送り出したシステムのサービスが、プレゼンテーション時に動かず恥をかいた経験を語っています。中国の起業家であるジャック・マー氏は現在の企業が成功するまでに40社以上を起業して失敗した経験を語っています。

通販企業を立ち上げたジェフ・ベゾス氏は、後輩の起業家に向けた講演で「私たちは常に失敗について話をしている。大きな変化をもたらすには大きな失敗が必要」と述べています。成功の裏には必ず失敗や苦悩があります。そこにある人間らしさ、失敗を恐れない強さに人はひかれます。

●明確な原因があるから失敗は起こる

そもそも仕事における失敗はどうして起きてしまうでしょうか。失敗学を提唱する畑村洋太郎氏は10の原因に分類しています。失敗に関わる要素は知識、判断、変化への対応、周囲との連携などであり、原因も一つだけとは限りません。失敗の原因を追究する際にはさまざまな角度から事柄を振り返る必要があります。

失敗が起こってしまう10の原因

(畑村洋太郎『最新図解 失敗学』ナツメ社を参考に作成)

●失敗を前向きに振り返る5ステップ

失敗談を人に話すには、経緯や原因の分析、そこで得られた学びについて振り返る必要があります。しかし、ひたすら原因を追究するやり方では辛くなってしまいます。経営コンサルタントの佐々木繁範氏は、前向きに失敗を振り返るやり方として、目的を軸にする手法を薦めています。「本当は何がしたかったのか」とやろうとした目的を確認しておくことで、では「目的に対してどうすればよかった」のかと前向きに行動を振り返ることができます。以下の10の質問に答えていくことで、失敗を自身のリソースとし、今後の学びに転換していくことが可能になります。

目的を軸に失敗を振り返る5つのステップ
(佐々木繁範『なぜ、優れたリーダーは「失敗」を語るのか』PHP研究所を参考に作成)

●大切にしたい価値観を問い、次の挑戦につなげる

失敗は次の挑戦の仕方を見直すチャンスといえます。しかし、ここで失敗にめげず挑戦意欲を失わないためにも、希望を軸に見直しを図ることが重要になります。自分がこれまで大切にしてきた価値観を確認し、それが実現した「未来の姿=自身の希望」を思い描いてみます。その地点に立って現在の状況を眺めることで、今何が足りないのかに気付き、未来への希望を抱くことが可能になります。前述の佐々木氏は、「大切な価値観は何か」「それが実現した未来はどうなっているか」と希望を軸に失敗を乗り越えるステップを紹介しています。事業成功者は失敗しても希望を忘れないパワーを持つ人が多いといえますが、誰もがそのようになれるものではありません。失敗を契機に、自分が目指すものは何なのかを問い直すことは、成功への近道となります。

希望を軸に次の挑戦を思考するための4ステップ

(佐々木繁範『なぜ、優れたリーダーは「失敗」を語るのか』PHP研究所を参考に作成)

●最後に、失敗談はどのように話すべきか

失敗談を話すときに重要なことは、話す相手が誰なのかを考えて、相手のためになるように話すことです。どの部分がもっとも教訓になるのかを考えて、話を構成し直す必要があります。話に慣れていない人であれば、話す内容の項目を付せんに書き出して、順番を考えてみるとよいでしょう。時間があれば一度話を録音して聞いてみると自分の欠点がわかります。話すときに気を付けたいのは、決して自慢話やお説教にならないようにすることです。そして、話が暗くならないよう笑顔とユーモアも意識しておきたいものです。

失敗について語ることは、行為そのものが失敗を乗り越えることにつながるといえます。そして、周囲に失敗を伝えることは、失敗を恐れず挑戦していく風土づくりに直結していきます。人には誰でも他者に語れる失敗があるものです。その貴重な経験を語ることでプラスの資産に変えていく姿勢が組織では求められています。

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