メールマガジンの定期配信をご希望のお客さまは以下のボタンからお申込みください。

配信申込⁄停止

(情報掲載日:2012年9月20日)

人材マネジメントライブラリ

「研修」の新しい流れと手法

〜対話型・体験型へ

VOL.9

企業の研修において、「レクチャーを中心とした座学型研修」ではなく「対話や体験を重視した研修」を取り入れるケースが増えています。「対話型・体験型研修」が増えてきた背景と研修の内容、実施する際の留意点などについてご紹介します。



「対話型・体験型研修」とは何か?

●「対話型・体験型研修」と「座学型研修」の違い

「対話型・体験型研修」は、参加者が身体を使って体験をしたり、ワークショップ(協同作業)を通じて行う研修です。その際、講師はファシリテーター(進行役)という位置づけとなり、参加者同士の対話や体験による双方向のやり取りを通じて、参加者の学習を支援します。そのため「対話型・体験型研修」では、必ずしも答えは一つとは限りません。いろいろな意見が出てくる中、講師だけでなく参加者も自ら意見を言いながら、さまざまな考え方を共有していきます。
つまり、講師から教えてもらうというよりも、参加者同士が教え合い学び合うことで、自分なりの答えを探求し、情報を共有していくといった「集団学習」の場であることが、「対話型・体験型研修」の大きな特徴です。

一方、従来から行われている「座学型研修」は、講義などレクチャー形式の研修が中心となり、講師が参加者に対して一方向で情報を提供するスタイルが一般的です。「座学型研修」においては、講師の持っている情報や知識を参加者が獲得することを主目的としているからです。ここでの情報・知識のやり取りは、講師と受講者個々の間が中心となるので、基本的に受講者による「個人学習」であると言えます。


●「対話型・体験型研修」が増加してきた背景

企業内教育の中で「対話型・体験型研修」が増えてきた背景には、以下のようなことが影響していると考えられます。

・組織内のつながりが薄れてきた中で、研修を通して従業員同士のコミュニケーションを密にしていきたいという企業が増えてきたこと
・与えられた情報や知識を習得するだけでなく、自らテーマや課題を見つけられる自立(自律)型人材を育成していきたいと考える企業が増えてきたこと
・座学型の研修では集中力の続かない社員が増えてきたこと


●「対話型・体験型研修」のメリット・デメリット

「対話型・体験型研修」の特徴は、参加者が能動的に学習するという点にあります。この研修方法は、参加者自身が動き、体験し、考え、話し合わなければ研修は進みません。そのため、参加者は主体的に研修に参加せざるを得なくなります。こうした研修への積極的な関わりが、研修内容に対する理解を深めることにつながります。さらに、身体を使った体験やワークショップ、話し合いを通じて、参加者同士の結び付きが深まることによって、組織の一員としてのモチベーションが高まるというメリットもあります。

一方で、「座学型研修」と比べると、伝えることのできる情報・知識の量が少ないという点がデメリットと言えます。「対話型・体験型研修」では参加者自身が考える時間、話し合う時間を重視します。結果的に一つのテーマにかかる時間が長くなり、伝えられる量そのものが少なくなる傾向があります。また、話すということを重要視するので、時間配分が予定をオーバーしたり、予期せぬ方向へと展開していったりするなど、研修運営をコントロールしづらい点があります。

近年、話題となった「対話型・体験型研修」の例

●農業・林業研修

<参加者の声>
「自然の中でのハードな作業を通じて、自然とかかわる一次産業が自分たちの生活を支えていることを実感しました。改めて、自然を大切にすることの重要性を知りました。」
「木を切ることは悪いことだと思っていましたが、伐採作業をすることにより、地面に太陽光が行き渡り、森林が健康に育つことを初めて知りました。」
「実際の作業を通してその難しさを知り、森林を守る仕事の大変さと価値を感じました。」


●サバイバル研修

<参加者の声>
「サバイバル研修に参加したことで、少々のことではへこたれない自信がつきました。」
「極限状態の中で新しい自分を発見でき、やればできるという自信が湧きました。」
「一緒に苦行を共にした仲間たちとの絆が強まりました。」


●ボランティア

<参加者の声>
「ボランティア活動の現場ではいろいろな立場の人がいて、そこでは会社とは違う論理で物事が進んでおり、他の人の多様な考え方や価値観を知ることができました。」
「普段の仕事では得ることのできない経験をすることができ、地域の問題や広く社会のことを考える大きなきっかけとなりました。」
「今、日本で大きな問題となっている被災地復興について、自分なりに考える時間が多く持てたところがとても良かったです。」


●ワールドカフェ(コーヒーブレイクの時間に行われる会話のあり方を用いた手法)

<参加者の声>
「自分以外の人たちが、どのようなことを考えて仕事をしているのか、またどのような問題意識を持っているのか、そして、どのような方向に向かっていきたいのかが、とてもよく理解することができました。」
「組織が縦割りになっていることもあり、風通しの良い会社とは言えませんでしたが、こうして皆で話し合う機会を持つことによって、日常のしがらみや組織の壁を取り払うきっかけとなりました。」
「終了後、いくつかのテーマや課題について共通認識や共通理解を持てたことが、とても良かったです。」


●その他の体感型研修

<参加者の声>
「最初は、体を動かす研修はやりたくないと思っていました。しかし、同僚と汗を流してスポーツをやった経験を通して、頭で考えるだけでなく、体を使うことで理解し合えるものがあることを知りました。」
「終わった後、自分の中で湧き起こってきた感情はワクワク感でした。短い時間だったにもかかわらず、心の距離が飛躍的に縮まりました。」
「仕事をする環境の中では遠慮していた部分や壁がありましたが、これからは思ったことを素直に言えそうな気がします。」


このような「対話型・体験型研修」では、参加者全員にそこでの経験を通じて気づきを促すことを第一に置いています。その気づきを参加者全員で共有し、話し合いをしながら自分なりの「答え」や「目標」を見つけていきます。上から押し付けられたものではなく、自分自身の中から出てきた言葉なので納得感があり、行動へと結び付いていくようです。


●研修の構成

一般的に、「対話型・体験型研修」は「導入」「本編」「結び」の3つから構成されます。

①導入
ここで行うべきことは、参加者の緊張感の緩和と参加意欲の向上です。「対話型・体験型研修」は参加者同士の話し合いや作業が多くなります。その際、お互いをよく知らないと話が弾まないため、参加者同士の緊張感を緩和する必要があります。そこで必要となるのが、アイスブレイクです。具体的には、参加者同士の自己紹介や簡単なゲームなどを行うことが多いようです。
さらに、研修に主体的・能動的に関わってもらうために、参加意欲を高める工夫が必要です。参加者は座学型研修に慣れているためか、「黙って聞いていればいい」という心持ちで参加している場合が少なくありません。あるいは、「なぜ、こんなことをやらなくてはいけないのか」と不満を抱いている人もいます。これらを払拭するために、例えば講師から、「今回の研修では、さまざまな体験や話し合いを通して、自分自身の経験を整理したり、新しい発見をするような研修にしていきたいと考えています。ですから、講師の私の話を一方的に聞くのではなく、皆さんに実際に参加してもらい、積極的に対話をしていくような研修となります」といったように、「対話型・参加型研修」の特徴と開催目的の説明を行い、参加への動機づけを図るとよいでしょう。

②本編
「対話型・体験型研修」にはさまざまな内容がありますが、参加者にとって「やったことのない体験」もあります。その時、参加者に起こっているのが「試行錯誤」です。
何が問題なのか、どうしたらいいのか、問題を把握しながら仮説を立てたり、検証したりしていきます。そして、それらは自分ひとりで行うのではなく、周囲の人たちと協同しながら行っていきます(協同作業)。さらに、自分自身を省みて、さまざまに考えを巡らせていきます(自己省察)。試行錯誤を繰り返す中で、他者との協同作業と自己省察によって、参加者の学びを深めていきます。
参加者の学びを深めていくために、研修の内容について自社なりの展開やストーリーを考え、協同作業、自己省察へと結び付いていく運営の仕方を工夫する必要があります。

③結び
「対話型・体験型研修」が参加者にとって深い学びにつながるかどうかのカギは、最後の結びにあります。体験した内容を振り返り、そこから何が学べたのか、仕事にどう活かせるのかを考えることが、「対話型・体験型研修」を効果的なものにするために必要です。Plan−Do−Seeにおいて、Seeが重要であることと同じです。
なお、振り返りは結びの部分だけでなく、本編の中で何度かに分けて行ってもよいでしょう。大事なのは、何かを行った後、最後に必ず振り返る機会を持つことです。


●「対話型・体験型研修」を実施する際の留意点

①ファシリテーターの姿勢
「対話型・体験型研修」では、参加者同士の話し合いが重要な要素となります。そのため、参加者同士が話しやすい雰囲気をファシリテーターが作っていく必要があります。そこで重要となるのが、ファシリテーターの傾聴する姿勢です。
ファシリテーターがどんな意見も尊重し、受け入れる傾聴の姿勢を持つことで、参加者は自分の意見を言いやすくなります。また、正解は一つではないという「対話型・体験型研修」の考え方を伝えることにより、参加者もより意見を言いやすくなるでしょう。

②少人数から大人数の順で話し合う
参加する人数にもよりますが、話し合いの順番は、「グループ」→「全体」の順で行うのが効果的です。多くの参加者にとって、大勢の前でいきなり自分の意見を言うのはためらいがあるものです。また、いきなり全体に意見を求めても、意見は出づらいでしょう。
そのため、まずは個人で考える時間を取り、次に少人数のグループで話し合い、最後に全体で意見を共有するという形にすると、スムーズに進んでいきます。

「対話型・体験型研修」では、各人の気づきを促すことを主目的とすることが多いので、研修の前と後とでどのような発見があったのか、印象に残ったことは何か、今後どのように自分自身の仕事に生かしていきたいと思っているのかなどについて、ヒアリングしていくことが大切です。方法としては、事後アンケートやメールでの確認のほかに、メーリングリストなどを使って参加者同士による意見交換を行うとより効果的です。

配信申込⁄停止

“旬”なテーマで人材活用やビジネスに関するお役立ち情報をお届けします。メールマガジンの定期配信をお申込みのお客様は左のボタンからお気軽にどうぞ。

このページのトップへ

人材マネジメントライブラリ 一覧へ