(情報掲載日:2019年3月11日)


忙しく働くなかで、言いたいことが相手に伝わらずに、ストレスを感じるケースは少なくありません。自分の言いたいことを相手に聞いてもらうには、1分程度に短くまとめて論理的に伝える手段が有効です。どうすれば大事なことをわかりやすく簡潔に伝えられるのか。短い時間で相手を説得する話し方について解説します。

●短く説明できないと相手に聞いてもらえない

業務報告やプレゼンテーションの場で、言いたいことが伝わらずに困った経験はないでしょうか。どんなに忙しくても相手に確実に話を聞いてもらい、判断を仰ぎ、行動に移してもらえなければ仕事は進みません。短い時間で説明できれば、相手がその場で話を理解し、行動に移してくれる確率も高まります。ただし、短い時間内で相手を説得するにはさまざまなノウハウが必要です。

短い時間での説得が行われる場面として、よく知られているのは米国シリコンバレーのエレベータートークです。これは同じエレベーターに乗り合わせた際に話せる程度の、ごく短い時間で、相手に伝えたい内容を理解させ、相手を説得するプレゼンテーションのことを指します。日本のビジネスにおいても、こうした短い時間での説明・説得のスキルが求められています。

●短く効率的に話を伝える手段=「1分で話す」

ほとんどの話の要点は1分もあれば伝えることができます。逆に言えば1分で話せない内容であれば、まだ話がまとまっていないといえます。1分なら忙しい人でも話を聞いてくれるでしょう。そして1分で話すことのメリットには、必要のない情報を削ぎ落し、伝えるべき情報の本質を明らかにするという効果もあります。

1分で話せるのは400字程度、原稿用紙1枚分といわれます。そこで求められる話し方は、余分な言葉を削ぎ落し、内容を論理的に伝え、相手に印象を残すことです。そしてプレゼンテーションであれば、最終的に相手に「賛成してもらう」または「行動してもらう」ことが目標になります。短い時間で聞き手にこちらのメッセージをどこまで理解してもらえるかが問われることになります。

●伝える前に整理すべきこと

相手が忙しくて話す時間も取れないようなときは、1分で説明を終わらせる1分プレゼンテーションが効果的です。ではこの1分で何を話せばよいのか。IT企業で企業内大学の学長を務め、『1分で話せ』の著書がある伊藤羊一氏は、伝えることを考える前にまず情報を整理すべきと指摘しています。整理の基本は「誰に、何を、どうしてもらいたいのか」を明確にすることです。聞き手をイメージし、そのイメージに沿って、伝える内容を整理していきます。

伝える前に整理すべきこと

■伝える相手はどんな人か
 ・相手はどんな立場にあるか?
 ・相手が興味を持つことは何か?
 ・自分に求められていることは何か?
 ・伝えるテーマについて相手が理解していることは何か?
 ・相手は何に対してネガティブなのか?
■ゴールは何か
 ・目指すべきゴールは何か? 相手にどのような行動を取ってほしいのか?

(伊藤羊一『1分で話せ』SBクリエイティブを参考に作成)

●話のコツは「ロジカルな1分のストーリーをつくること」

では、短く話し、相手を説得するコツとは何か。話の中身はスッキリ簡潔に、わかりやすく、印象深く伝えることが求められます。短く話し、相手を説得するコツとして伊藤氏があげたのが以下のポイントです。まとめると「ロジカルな1分のストーリーをつくること」であり、「きれいに話す」のではなく、あくまでも「相手を動かす」ことを第一に考えていきます。

短く話して伝えるコツ

(伊藤羊一『1分で話せ』SBクリエイティブを参考に作成)

3段ピラミッドづくりでは、話の要素を付せんに書き、要素を入れ替えたりしながらよりよいものをつくりましょう。一言キーワードは話のキャッチフレーズのようなものです。フレーズのアタマに「要するに」「早い話が」と付けてスムーズに読めるかをみると、その言葉が的確なのかどうかがわかります。また、可能であればプレゼンテーション本番の前に誰かに実際に話してみて、「内容がよく理解できたか」「強調すべき点は伝わったか」「演出すべき点はなかったか」など修正点がないかをチェックしてもらうとよいでしょう。

●「ノー」と言う相手を「イエス」に変えるには

説得で苦労するのは、反対している相手を賛成へと導く作業です。『伝え方が9割』の著者である佐々木圭一氏は、相手のノーをイエスに変えるステップとして「@自分のアタマの中をそのまま言葉にしない A相手のアタマの中を想像する B相手のメリットと一致する依頼内容をつくる」をあげています。要するに、相手がメリットと思う要素を軸にして依頼内容を考えてみるということです。また、相手がイエスと思える、協力したいと思える状況をつくるには、自身の本気さを伝えることも重要な要素となります。「なぜ自分は本気でそう思うのか」を突き詰めて考えていけば、相手の説得材料がみえてくるでしょう。

●他にもある「短く伝え、説得力を増すノウハウ」

1分プレゼンテーションで相手を説得するには、他にも細かなノウハウがあります。声のトーン、リズム、言葉遣い、身体の使い方といったものすべてが、説得に関わってきます。実際に行ってみて、相手の反応をみながら修正していきましょう。

短く伝え、説得力を増すノウハウ

・声は大きく、語尾まではっきりと話す(自信を話し方で示す)
・相手に主張したいポイントは内容を強調して話し、相手に決断を促す
・「えー」「あのー」「そのー」「ですから」は使わない(話のリズムを悪くする)
・「しかし」「でも」といった逆説の言葉はできるだけ使わない(ネガティブな印象を与えてしまう)
・断定の「べきです」、可能性を示す「思います」は効果的に使う
・身振り手振りで強調すべき点や流れを演出する
・相手にイメージしてもらうために、必要があればビジュアルを活用する



●具体的なプレゼンテーション訓練が効果的

「短く伝え、説得する力」を強化するには、自身や他者のプレゼンテーションを観察したり、課題を指摘したりして、具体的にプレゼンテーションについて研究することが有効な方法といえます。他にもニュースなどを見ながらコメンテーターのように即座にコメントを考えてみたり、名文を朗読してみるなど、身体を使って話す練習は効果があります。

さまざまな「短く伝え、説得する力」を強化する手法

・自身のプレゼンテーションをビデオにとって、話す内容や話し方を研究する
・周囲の人に自身のプレゼンテーションを聞いてもらい、質問してもらったり課題を指摘してもらう
・他者のプレゼンテーションを聞いて、どんな課題があるかをチェックしてみる(プレゼンテーションを客観的に捉えてみる)
・ニュースや情報番組を見ながら、コメンテーターのようにコメントを考えてみる(短時間で言葉を考える練習になる)
・体験談や事例、ニュースなど、話に使えるような情報を日々集めておく
・名文といわれる文章を朗読し、話し方を練習する(文章のリズムや間の取り方、抑揚の付け方を学ぶ)

前述したように1分で話すことのメリットには、伝えるべき情報の本質を明らかにするという効果があります。職場のスタッフが「短く伝え、説得する力」を身に付ければ、常に言いたいことが的確に伝え合えている、コミュニケーションレベルの高い組織に変わることができます。皆さんの職場でも1分プレゼンテーションを取り入れてみませんか。

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