(情報掲載日:2019年2月12日)


数学的思考とは、数学の考え方を活用しながら論理的に物事を捉える思考法です。仕事に活用すれば、物事の本質を見抜く能力が身に付き、効率的な仕事の手法をマスターできます。数学的思考のポイントは何か、どうすれば身に付くのかについて解説します。

●仕事に最適な思考法

数学的思考にはさまざまな捉え方がありますが、総じていえば「数学の考え方を活用しながら論理的に物事を捉える思考法」といえます。数学には「物事を順序立てて考える」「物事を分割して考える」「抽象化して重要な要素を取り出す」といった特性があり、これらの考え方は効率や成果が求められる仕事の現場でも必要とされるものです。例えば、数学で使う「計算、確率、グラフ、証明」といった要素は、仕事の中でも活用されています。

数学的思考には「自身の考えや行動を数字でサポートできる」「人に考え方をうまく伝えられる」「論理的に正しい考え方に自らを導ける」「自身の考え方を整理できる」「新たな視点を開発しやすい」などの特性があり、そのメリットは仕事現場におけるさまざまな場面で使える点です。

●仕事で使う数字は2種類

数学と聞くと難しいと思いがちですが、ビジネス数学の専門家である深沢真太郎氏は「仕事の現場で使われる数字はほぼ2種類しかない」と語っています。それは、ヒト・モノ・カネといったものの量を表す「実数」と、その実数の良し悪しを表す「割合」です。皆さんも自分で扱っている数字のことを考えてみてください。ほとんどがここに当てはまるはずです。よほど専門的な業務でなければ、高度および複雑な数学や数字はまず扱うことがありません。その意味からいえば必要な計算スキルは加減乗除レベルであり、それでほぼ対応可能といえます。

●言葉の文脈でも使われている数学的思考

言葉の文脈の中でも数学的思考は使われています。深沢氏は次のような言葉を数学的な言葉として挙げています。これを見ると誰もが普段話のなかで数学的思考を使っていることがわかります。逆に言えば、これらの言葉を意識的に使うことが数学的思考を高めることにつながっていきます。


会話の中で使っている数学的な言葉
(深沢真太郎『入社1年目からの数字の使い方』日本実業出版社を参考に作成)

●仮説を立て答えを想定し、関連する数字を集める

仕事で数学的思考を行ううえでは、数字が重要なツールとなります。自分の考えを、数字を使ってまとめるためには、次のようなステップが必要です。設定した問題に対し、解決に向けて有効な数字を集め、それを比較しながら解決策を導き出し、わかりやすい形で対象者に説明します。いかに有用な数字を見つけるかがポイントとなります。

数字を問題解決に活用するためのステップ

(柏原崇宏『「数字で考える」が簡単にできるようになる本』総合法令出版を参考に作成)

●仕事の数値化でPDCAサイクルを回す

仕事の工程に数値目標を取り入れることでPDCAサイクルを回すことが可能になります。仕事の数値化に関する著書がある実業家の三木雄信氏は、仕事を数値化しPDCAを回す際のポイントとして次のような点を挙げています。いかに前向きに取り組める数値目標を設定できるかがポイントです。ただし、仕事の数値化で間違いやすい設定として、「数字の単位、定義、解釈が曖昧な設定」「ゴールに結びつかない数字の設定」「取りやすい数字ばかりの設定」「相反する数字の設定」を挙げています。

仕事に数値目標を設定し、PDCAを回すときのポイント

(三木雄信『孫社長にたたきこまれたすごい「数値化」仕事術』PHP研究所を参考に作成)

●数字に親しみ、状況を数字で捉えてみる

数学的思考では情報を整理し、さまざまな視点から物事を考え、出てきた考えを具体化・抽象化することが求められます。そのため、数学的思考を身に付けるには、普段から数学や数字に親しみ、幅広く数字に接することが近道となります。なかでも有効な作業は、状況を数字で捉えて、その関係性を把握していくことです。考えることが数学の世界だからといって、必要になるのは論理ばかりではありません。見えていない数字があれば、自分で予測してつくっていく創造性も求められます。だからこそ数字への前向きな取り組みが必要になるのです。

数学的思考を鍛える方法

・社会の基本となる数字(例:GDP、人口、国の予算、世帯数など)や自社および業界の数字(例:売上、利益、社員数、市場規模、成長率など)をアタマに入れておく
・身近なことを定量化して、変化をみる
・普段明確でない出来事に対し、「どれくらいか」と数字を想像する
・新聞や雑誌のグラフや表の数字から言えることを予測する
・普段の会話に数字を入れて話す
・数字を用いて何らかの物事を定点観測してみる
・一部の数字から全体を推測してみる
・物事の構成要素を書き出し、関係性の数式をつくる


●データの扱いに慣れておくことも必要

数学的思考を仕事に活かすうえで重要なことは、データの扱いに慣れておくことです。データは数字の羅列ではなく、そのまとまりには流れや個性があります。データの扱いには次のような注意点があります。なかでも相関関係(一方が変われば他方も変わるといった関係)と因果関係(原因と結果の関係)は勘違いしやすいので注意が必要です。なかには相関関係はあっても因果関係はないデータもあります。普段からデータを加工したり分析したりして、データの扱いに慣れておきましょう。

データを扱うときの注意点

・時系列でデータを見るときは、トレンド(傾向)、パターン(サイクル)、変化(構造的変化)がないかをみる
・平均値、中央値、最頻値をチェックして、データの個性を見る
・異なる内容について比較するときには比率を使う
・相関関係と因果関係の違いに注意する
・異常値を計算に加えないように注意する

このように、数学的思考を身に付けるといっても決して専門知識や特別なスキルが必要になるというものではありません。数学スキルは小・中学校のレベルで十分です。数学的思考を身に付けることは物事を論理的に捉える習慣づけにもつながります。皆さんの職場でも数字的思考への取り組みを始めてみませんか。

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