(情報掲載日:2018年5月10日)


360度評価は、上司や部下、同僚など対象者と立場が異なる人が対象者の人物像を多面的に評価する手法です。広く知られるようになった手法ですが、なかには「導入したが、うまく使えない」という声も聞こえます。失敗する要因とは何か、どうすれば成果を上げることができるのかについて解説します。

●360度評価とは何か

360度評価とは、対象者と立場や関係性が異なる複数の人が対象者の行動を観察し、人物像を多面的に評価して対象者に伝える手法です。評価者は上司、部下、同僚、関係者(組織内・外)、斜め(関連部署の人)などであり、対象者は自己評価と比較しながらその相違を確認します。もともとは管理職のリーダーシップ強化を目的に始まった手法ですが、現状把握、人材育成、人事評価、組織づくりの他、具体的な人事テーマ(働き方改革、研修効果の改善など)のために活用するケースも見られます。


360度評価を行う目的



●360度評価のメリットとデメリット

360度評価のメリットとしては、対象者を見る視点が増えるため、角度を変えてより深く観察ができ、対象者を多面的に知ることができるようになります。また、最近は時短やリモートワークの推進、プレイングマネジャーの増加などで、上司と部下の会話が減ることもありますが、そのような状況下でも360度評価であれば多くの情報を得ることができます。
デメリットとしては、評価者が増えることで評価内容にバラツキが出たり、人間関係に問題が起こる危険性もあります。例えば、ある個人に対して低評価を下した人がわかってしまったり、評価内容に偏見が含まれていることが判明したりすると、人間関係がギクシャクしてしまいます。実施者にはデメリットを生まないような慎重な運用が求められます。

360度評価のメリットとデメリット

●コミュニケーション不足が失敗を招く

360度評価はうまく導入できれば個々でよいアドバイスが得られ、人間関係の向上にもつながりますが、運用の仕方を誤ると弊害が生じやすくなります。全般的にはコミュニケーション不足から起こる問題が多く、360度評価の導入でどのような事態が起こるのかが予想されていないことがその大きな要因といえます。


360度評価で失敗する要因


●いかに信頼を担保しながら実施できるか

360度評価の効果を上げるポイントには以下のようなものがあります。制度を実施する企業側が社員の信頼を得ながら行える環境をつくり、上司や人事がフィードバックを行う場合においても信頼を損なわないことを心がける必要があります。360度評価を行うことはコミュニケーションの一手段であり、関係者を正しい状況判断へと導き、前向きな変化へと進む関係性を築くことが目的です。上司や人事は評価を通して、組織および周囲が対象者にどのような行動を期待しているかを伝えます。また、対象者は自身がとった行動の根拠や考え方について現場の情報・声も含めて説明し、対話の中で「ベストな行動は何だったか」を共に考えることが重要になります。

360度評価の効果を上げるポイント


360度評価は使い方を工夫すれば、より幅広い成果を得ることも可能になります。例えば、これまで360度評価は個人をどうするかを対象としてきましたが、新たな使い方として組織開発に着目した利用が考えられます。例えばリーダークラスを対象者とし、ビジョンの共有やチームワーク、リーダーシップ、組織内コミュニケーションの状況などについて360度評価を行えば、本人と周囲の回答から組織を診断することができます。また、360度評価を単独で使うのではなく、従業員満足度調査やメンタルチェック、若手の離職防止など他の施策と連動させれば、より高い効果が狙えます。研修やOJTに連動させることを前提に360度評価のフィードバックを行うようにすれば、新たな育成手法の策定につなぐこともできます。

360度評価は、実体として捉えにくい組織や個人のコミュニケーションの姿を“見える化”する手法の一つといえます。普段言葉にしていない個々のコミュケーションをひとつひとつ言語化して共有することで、現況を互いに確認し、その改善策を考えられるよい機会になります。そこで行われる評価は信頼を前提としたものでなければならず、事前に運用ルールをきちんと検討し、実施前と実施後の対応を適切に行うことが求められます。

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