(情報掲載日:2018年1月10日)


パフォーマンス・デベロップメントとは、定期的に上司が部下に対して仕事や行動についてフィードバックを行い、成長を支援していくマネジメント手法です。部下の育成と同時に、顧客への最大限の貢献を引き出すことができることから、企業の注目が集まっています。パフォーマンス・デベロップメントの概要と効果、また、パフォーマンス・デベロップメントで活用される面談手法「1on1ミーティング」について解説します。

●部下の能力開発を中心に考えるパフォーマンス・デベロップメント

パフォーマンス・デベロップメントは、年1回や半年に1回といった長い間隔ではなく、より頻繁に上司と部下が日々の仕事の進捗やキャリアの方向性について話し合い、部下の成長を支援していくマネジメント手法です。近年、米国の総合電機メーカーが導入を決め、広く注目を集めています。

これまで多くの企業は目標管理制度を採用し、目標によって部下を管理してきましたが、この制度による弊害も出ています。特に目標の管理と評価で上司に多大な負担(評価のための部下面談や評価会議への出席など)がかかること、目標を持つことで部下のモチベーションやチームワークが阻害される可能性があること、変化の激しい時代に年1回や半年に1回といった頻度では変化に対応できないといったことが指摘されています。


目標管理制度の問題点

・個人の行動が目標にしばられ、モチベーションが上がらない
・個々の目標達成ですべてが評価されると、チームメンバーへの協力が疎かになり、
 チームワークが阻害される
・ビジネス状況の変化が激しいと、目標達成までの間に目標が実勢にそぐわないものになってしまい、
 目標設定がうまくいかない
・目標設定と評価に時間と手間がかかる
・フィードバックの頻度が長期になると、ビジネスや顧客の状況の変化に追いつけない



そもそも評価の最終目的は企業の成果の最大化につなげることです。そのため企業では「人材を評価する」ことから、「人材の育成を顧客への貢献につなげ、より大きな成果を得る」ことへの転換が図られています。そこで注目された手法がパフォーマンス・デベロップメントです。上司は、部下が顧客の望むことに対して、現時点でどれだけのことが実現できているかを確認し、より高い貢献に向けた方策を共に考え、経験を元にアドバイスします。上司と部下の頻繁なコミュニケーションが部下の成長を促し、上司は常に現場のリアルな情報が得られることで、業務の軌道修正も的確に行うことができます。

パフォーマンス・デベロップメントのメリットには以下のようなものがあります。そのすべてにコミュニケーションが関わっており、上司が部下を積極的に理解し関わっていくことで、チームとしてのまとまりも生まれ、それが個人および部署の成長につながります。

パフォーマンス・デベロップメントのメリット

・上司は部下の状況や部署の現状を把握できる
・上司がタイムリーなフィードバックが行える
・上司が部下と対話することで、部下の学びを深め、成長を促進できる
・部下は相談や評価をタイムリーに受けることができる
・上司と部下のコミュニケーションを円滑にし、互いの信頼関係を深められる
・企業は現場の情報を常に得ることで、事業にも好影響が期待できる


パフォーマンス・デベロップメントを始めると、普段のフィードバックの内容が部下の評価に加わるようになります。そこでは「顧客が喜ぶような仕事をしたか」「会社にどれだけ貢献したか」「他者を巻き込んだうえで成果を出したか」といった事業の拡大に関わる項目が重視されるようになります。

●コーチング、ティーチング、フィードバックを行う

パフォーマンス・デベロップメントでは上司と部下の面談が重要な要素となりますが、その場面で活用されているのが1on1ミーティングです。これは上司が部下の育成のために定期的に行う1対1のミーティングで、日本でも採用する企業が多くみられています。

上司が1on1ミーティングで行う働きかけにはコーチング、ティーチング、フィードバックの3種類があります。この面談で基本となるのは、部下がそれまでの業務で起きた事実を振り返り、その中から今後の仕事に活かせる気付きを得ていく経験学習です。部下は仕事を通して経験した「うまくいったこと」「失敗したこと」「仕事での悩み」などを上司に伝え、上司はその内容についてフィードバックします。部下は上司の言葉から教訓を得て、それを自身の成長に活かしていきます。

1on1ミーティングで上司が行う働きかけ


●面談前に行うべきこと

パフォーマンス・デベロップメントを行ううえでもっとも重要になるのは、上司と部下の信頼関係です。前提として信頼関係がなければ部下は正直に話をしてくれません。この点は普段から気を付けながら部下と接しておく必要があります。そして、なぜ面談を行うのか、その目的を共有し、そのうえで適切な頻度と所要時間を設定します。頻度が高過ぎると負担になり、面談を行って効果が感じられなければ部下は積極的に取り組んでくれません。この点は行いながら調整していく必要があるでしょう。

●部下から話を引き出す問いかけ

パフォーマンス・デベロップメントの面談時間は、一般的には30〜90分程度です。その中で部下から話を引き出し、仕事をより有意義に、やりがいを持って取り組めるようなヒントを見つけなければなりません。実際に行われる部下への問いかけには、以下のようなものがあります。部下の今後の可能性や希望を考慮しながら、今の仕事で最大限に力を発揮できるよう考えていきます。

部下への問いかけの例

・最近、仕事でうまくいったことはあるか
・最近、仕事で何か困っていることはあるか
・上司や同僚にサポートしてほしいことはあるか
・任されている業務に対して関心を持てているか
・自分の成長のために挑戦したい仕事はあるか
・企業全体や部署において何か気になっていることはあるか
・個人的に悩んでいることはあるか など


●面談で上司が心がけること

面談では部下が主役になりますが、毎回の面談を意味のあるものにするために、上司には以下のような心がけが必要です。面談を重ねながら、互いの信頼を深め、より本音で話し合えるような雰囲気をつくっていくことが求められます。


面談で上司が注意すべき点


パフォーマンス・デベロップメントにおける面談は、顧客への貢献と部下の成長を同時に達成するものであり、そこには難しさもあります。面談を日々よりよいものにしていく手法として、部下に上司が行う面談について評価してもらい、結果を上司にフィードバックしていく方法があります。また、人事が面談に長けた上司にそのやり方を聞いてノウハウを広めたり、その人に社内で上司へのコーチ役となってもらったりするという手法も有効です。

パフォーマンス・デベロップメントの効果を最大化するには、上司と部下が成果を第一に考えて、本音で話し合うことが求められます。いかに顧客に貢献するかについて、真剣に話すことで、顧客への最大限の貢献が引き出され、同時により実践的な人材育成が行われることになります。企業は、パフォーマンス・デベロップメントを繰り返し行うことで顧客のベストパートナーとなり、その関係性から人材がより高度に育成されるという好循環を得ることができるのです。

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