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(情報掲載日:2017年9月11日)

人材マネジメントライブラリ

ビジネス統計力を身に付ける

vol.68


ビジネス領域にITが導入され、さまざまなデータが得られるようになり、仕事の現場ではデータを使いこなすビジネス統計力が求められつつあります。現場の数字を把握し管理することで、売上を伸ばしたり、業務効率の向上につながります。ビジネス統計とはどのようなものなのか、数字の管理でどのようなことが可能になるのかについて解説し、実際の企業事例をご紹介します。

ビジネス統計とは何か

●最適な答えを導き出すビジネス統計

統計分析とは現象を調査することによって数量で把握し、得られたデータを一つひとつの要素や成分に分け、その構成などを明らかにする作業です。統計分析を行うことで対象の事柄の全体像をつかみ、将来どうなるのかを予測し、これから行うべき最適な答えを探ることができます。この統計分析の手法をビジネスに用いたものがビジネス統計です。ビジネス統計とは、それらの中でビジネスにおける状況や動向を調査によって数字で表したしたものを指します。ビジネス統計力とはそれらの数字を集計し分析して、数字の背景を探り、業務上の成果が得られるようにする力のことです。

ビジネス領域でITが広く導入されたことでさまざまなデータが扱われるようになり、それらをコントロールすることで、業績を伸ばしたり、業務の効率化を図ったり、適正な人員配置などができるようになっています。そのひとつがビッグデータです。人々がインターネットやIT技術を使うことで生まれる大容量かつ多様なデータが、ビジネスにおける予測に役立てられています。これからは誰でも「データを扱う基本的な力=データリテラシー」が求められる時代です。近年、ビジネス統計を専門に行う職種としてデータサイエンティスト、データアナリストと呼ばれる仕事も生まれています。


●統計分析の基本的な考え方

ビジネス統計力を身に付けるためには、まず統計分析そのものについて学ぶ必要があります。統計分析には基本となる考え方があります。「変化をみる」「比べる」「分けて考える」の3点です。時系列での変化をみたり、他のデータと比べたり、対象を分けて考えたりしながら、データの中にどのような特徴、法則があるのかをみていきます。そして、データを分析するときのアプローチには、仮説をてて分析する仮説ドリブンとデータを統計手法によって分析するデータドリブンがあります。これらを使い分けながら、データの中に特徴をみつけ、そのような特徴が生まれたストーリーを考えていきます。

データ分析のアプローチ
データ分析のアプローチ


ビジネス統計の基本と失敗パターン


●ビジネスに関わるデータ分析の重要な要素

次に、ビジネスに関わるデータにおける分析の重要な要素についてみていきます。ビジネスに関わるデータには自社の業績や状況を示すもの、顧客情報など、さまざまなデータがあります。『統計が最強の学問である』の著者で統計家である西内啓氏は、次の図のようにビジネスに関わるデータ分析を行ううえで重視すべき3つの要素をあげています。

最も重要なのは事業の利益に直結し、管理すべき数字となる「アウトカム(成果指標)」です。例をあげると売上、コスト、客単価、生産性などが該当します。2つ目はアウトカムを比較するときの単位となる「解析単位」です。顧客や従業員、店舗、期間などがその対象となります。3つ目は解析単位ごとのアウトカムに影響を与える要因となる「説明変数」です。属性、行動、心理特性などが該当します。これらの要素に従ってデータを集め、分析し、例えば、どうなったときに利益が最大化するか、どうなると最も業務効率がよいのかなどを探っていきます。


西内啓氏が指摘するデータ分析時の重要な3つの要素
          西内啓氏が指摘するデータ分析時の重要な3つの要素

ここで具体例として、食品メーカーが売上(アウトカム)を最大化するケースを考えてみます。まず、売上をどのような切り口で比較するかを考えて、解析単位を決めます。例えば、「商品」ならば定番商品と新商品、「顧客」ならば若者や主婦、「期間」であれば商品がよく売れる期間と売れない期間、「店舗」ならば売上が高い店と低い店、「従業員」ならばある商品をよく売るスタッフと普通のスタッフといった具合です。ここで「店舗」を選択したら、仮説を立てながら要因(説明変数)の違いで店舗の売上にどんな変化が生まれるかをみていきます。例えば、商圏に住む人の属性の違い、駅や学校などエリアの中心となる施設の規模の違い、交通条件の違いなどです。これらのデータをつくり、どのような条件が重なったときに売上が最大となるのかを分析していきます。

●多くの場面に対応する3つの分析手法

それでは実際に分析作業を行う際には、どのような手法が用いられているのでしょうか。データ分析と聞くと複雑な作業が必要と考えてしまいがちですが、実はビジネスの多くは以下の3つの手法で分析できるといわれています。まず、回帰分析は相関関係や因果関係から2つの要素の関係を予測式で見いだす手法です。次に、クラスター分析は似たものを集めてグループ化して分類する手法。そして決定木分析はある事象が発生する確率に対して、それに影響する要因は何かを順にたどっていく手法です。自分が求めるゴールは何か、そのために何を知りたいのかを考えて、適した分析手法を選びます。


主な分析手法
主な分析手法

●ビジネス統計によくある失敗パターン

統計分析は人がデータから事柄の関係性や法則を見いだすものであり、そこに人の判断が入ることで誤った結論を出してしまうことがあります。売上アップや、人件費の削減など、はじめに目的があると、人はそれを裏付けるようにデータを操作してしまうことがあります。偏った考えにならずに、いかに冷静にデータを見つめられるかが問われます。


ビジネス統計によくある失敗パターン
ビジネス統計によくある失敗パターン


企業事例にみるビジネス統計の活用


●企業はマーケティング、業務効率化などに活用

それでは企業は実践において、ビジネス統計をどのように活かしているのでしょうか。企業事例をみると、これまでは人の感覚に頼っていた領域にビジネス統計が活かされていることがわかります。ビジネスの現場を数値で捉えるツールを使って、起きたことをデータ化し、どんな条件が揃ったときが効率的か、といったことを判断しています。また、EC(電子商取引)サイトでは人の行動を細かくとらえ、どんなときに売上につながるのかが研究されています。特にデザインや機能などを2パターン用意して試すA/Bテストは、効果が得やすいことから広く利用されています。

ビジネス統計を活用した企業事例
ビジネス統計を活用した企業事例

さまざまなことがデータとして把握できるようになり、ビジネス統計によってわかる事実が増えてきました。仕事現場でビジネス統計を活用し、業務の改善を図ろうとする人に求められるのは、実態を捉えたデータを収集し、「これからどうすべきか」といった行動の判断に使えるレベルで分析を行うことです。データをどう捉えて、どのように判断するのか。それを決めるのは機械ではなく人です。間違いのない判断をするためにも、普段から数字に触れ、データと現実のつながりをよく認識しておくことが求められています。

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