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(情報掲載日:2017年5月10日)

人材マネジメントライブラリ

部下を成長へと導くフィードバックの技術

VOL.64


企業の管理職は常に多忙であり、部下育成に十分な時間を割けていないといわれることがあります。時間がないなかで部下を育てるには、よりよい改善策を共に考えるフィードバックの技術が必要です。どのような手順で行うとよいのか、そこで注意すべきことは何か。部下育成に役立つフィードバックの技術について解説します。

フィードバックとは何か

●人材育成におけるフィードバックとは

フィードバック(Feedback)とは「情報や質問を受ける側からの反応や意見」という意味です。人材育成におけるフィードバックとは、対象となる人の成長やチームとしてのパフォーマンス向上を目的に、対象者の行動およびその結果について、客観的な事実を相手に伝えることです。決して、相手を批判したり、性格について指摘したりするといったことではありません。あくまでも相手と職場をよりよくするために行っているという認識を持つことが重要になります。

管理職からの部下に対するフィードバックでは、部下がとった行動や結果が周囲からどう見えているのかを伝え、その行動の振り返りから反省すべき点があれば、これからどう改善していくのかを一緒に考えていきます。ここで的確なフィードバックができないと「部下が育たない→部下が辞める→忙しいなかで何度も育成に時間や手間をとられる→自分が疲弊していく」といった悪循環のサイクルにおちいることになります。

●部下の育成を阻害する職場環境の変化

近年、企業の管理職は部下の十分な育成ができないことが多いといわれています。その背景にあるのは管理職の疲弊です。東京大学 大学総合教育研究センター准教授の中原淳氏は、管理職が疲弊している原因として以下の5つの職場環境の変化をあげています。それは「二重化」「多様化」「煩雑化」「若年化」「突然化」です。マネジメントスキルがなく管理職になり、なってみるとマネジメントに割く時間がないことがあります。忙しさに追われて疲弊してしまうと、部下の育成にかける意欲もなくしてしまいます。そのような状況において確実に部下を育成するには、「部下のパフォーマンスに対する、仕事としての結果や周囲の反応を本人に通知する」「行動を振り返らせ、共に改善策を考える」といった2つの行動が必要になります。フィードバックの作業にはこの2つの行動が含まれており、部下の育成においては有効な方法といえます。


近年の職場環境の変化
近年の職場環境の変化
(中原淳著『フィードバック入門』PHP研究所を参考に作成)


フィードバックに必要なプロセス


●部下に伝えるべき3つの要素

フィードバック時に伝えるべき内容としては、以下のような「感謝」「指導」「評価」の3つの要素が必要です。どれが欠けても有効なフィードバックにはなりません。「感謝」が欠けるとやる気に影響し、「指導」が欠けると部下に聞き入れられない場合もあります。そして「評価」が欠けると、部下の物事を判断する材料が提供されず、部下に何を期待しているかが伝わりません。


フィードバック時に伝えるべき3要素
フィードバック時に伝えるべき3要素
(ダグラス・ストーン、シーラ・ヒーン著『ハーバード あなたを成長させるフィードバックの授業』東洋経済新報社を参考に作成)


●フィードバックのプロセス

ではこれら3つの要素について、具体的にどのように伝えればよいのでしょうか。一般的なプロセスは以下のようになります。ここで重要なことは、部下の成長を第一に考えていることを示して信頼を得ながら話を進めること。そして、あくまでも事実をベースにロジカルに話をすること。そして解決策は基本的に部下本人に考えてもらうことです。そのうえで組織としての期待を伝え、部下のやる気を引き出します。


フィードバックのプロセス
フィードバックのプロセス

●ほめるときに意識すべきこととは

フィードバックでは、ほめることも大切です。しかし、むやみにほめると今の自分を肯定して行動を変えようとしなくなる場合があるため、内容を確認したうえでポイントを絞ってほめる必要があります。ここで意識すべきポイントの一つ目は「行動の中で今後も心がけてほしい内容」について具体的にほめることです。二つ目は、成果よりもプロセスや努力したことについてほめること。三つ目は、部下に「どうなってもらいたいのか」を念頭に置きながらほめることです。部下をほめるときも客観性を意識し、部下に「何を期待しているか」が伝わるように言葉をかけます。

フィードバックの効果をあげるコツとは

●どうすれば効果が最大化されるのかを考える

フィードバックは日常の会話とは異なり、その後の相手を変えようとする効果を第一に考えなければならないため、以下のようなコツがあります。人材育成に効果の高いタイミングを逃さず、実施前には必ずアタマの中で予行演習を行い、部下に嫌われることも覚悟のうえで話をします。また、一度自身がフィードバックを経験しておくと、フィードバックを受ける部下の気持ちがよくわかります。

フィードバックの場は、働くことに対して真剣に意見を交わす場です。どれだけ上司が真剣に臨んでいるのかは部下にも伝わります。どうすればフィードバックの効果が最大化されるのかを、部下の身になって本気で考えながら話すことが重要になります。


フィードバックの効果をあげるコツ
フィードバックの効果をあげるコツ
(中原淳著『フィードバック入門』PHP研究所を参考に作成)

複数回フィードバックを行っても、効果が出ないような場合には、次のような対処法があります。一つ目は人事に状況を説明し、部下や自分に対してアドバイスをもらうことです。二つ目は、第三者に同席してもらって、再度フィードバックを行うことです。フィードバックの場に第三者がいることで、部下は管理職から一方的に話をされるといった不安な気持ちがやわらぎます。また、その第三者にはどんなことが話されたかがわかる証人役にもなってもらえます。フィードバックの場に当事者以外の視点を入れることが現状の打破にもつながります。

フィードバックの場は互いが真剣に向かい合う場であり、それだけに緊張も伴います。上司がフィードバックを行うと、部下に「どれだけ真剣に向き合ってくれたか」「どれだけ自分の育成について親身に考えてくれたか」といったことが伝わります。そして、管理職は普段の気づきを「部下の育成につなげることかできたかどうか」を自覚することになります。フィードバックで感じた気づきを今後のマネジメントにどれだけ活かせるか、管理職の力量が問われるでしょう。

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