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(情報掲載日:2016年11月10日)

人材マネジメントライブラリ

社員と職場に勇気をもたらす「アドラー心理学」

vol.58


近年、アドラー心理学に関する書籍が多く刊行されています。アドラー心理学は勇気の心理学とも言われ、その特徴は「人の悩みはすべてが対人関係」「過去は関係なく、これからの目的を変えることで誰もが変われる」など、変わる勇気を持つことの大切さを説いています。アドラー心理学の特徴、それを社員の育成や職場のコミュニケーションに活かす手法について解説します。

なぜいまアドラー心理学が注目されるのか

●アドラーとフロイト、ユングの考え方の違いとは

アドラー心理学は、心理学者アルフレッド・アドラーが提唱した心理学です。「人の悩みはすべてが対人関係である」「過去は関係なく、人は目的を変えることで誰もが変われる」といった現代社会に通じる明快でわかりやすい考え方が、近年支持を集めています。

アルフレッド・アドラーは1870年、オーストリアに生まれ、日本でいうと明治初期から昭和初期にかけて活動した心理学者です。ほぼ同時期に活躍したフロイト(1856〜1939年)、その弟子のユング(1875〜1961年)と共に「心理学の三大巨頭」と呼ばれています。3人はフロイトが主宰する心理学の研究グループ「水曜会」に所属していましたが、のちに考え方の違いから各々の道へと分かれています。

フロイト、ユング、そしてアドラーの考えは、「人は意識と無意識に分けられるのか」「人の行動は何に影響を受けるのか」といった点において異なります。過去がいまの行動に影響するというフロイトやユングの主張は、もう変えることができない過去が前提となるため、行動を変えるには困難が伴うとされていました。それに対してアドラーは、人の行動は過去ではなく、その未来となる「目的」に従って決定されると主張し、適切な目的を見つけることで新たな行動が決められると主張しました。こういったアドラーの考えは、後に『7つの習慣』で知られるスティーブン・R・コヴィーや『人を動かす』の著者であるデール・カーネギーなどにも影響を与えています。違いをまとめると以下のようになります。

フロイト、ユング、アドラーの考えの違い
フロイト、ユング、アドラーの考えの違い


●いま日本で注目される理由

2013年に刊行された書籍で、哲学者と青年の対話形式でアドラーの考えを説いた『嫌われる勇気』(岸見一郎、古賀史健著、ダイヤモンド社)は、日販とAmazon各々の2015年ビジネス書ランキングで1位となり、2016年に累計部数100万部を突破しています。この本を契機にその後関連書籍が次々刊行され、一大アドラーブームとなりました。その勢いは日本にとどまらず、隣国の韓国でも大ブームとなっています。

日本人がアドラー心理学に魅かれた理由の一つには、生き方や働き方が多様化した日本において、人間関係に閉塞感を持つ人が増えたことが背景にあります。その結果、日本人は「人と同じでなければならない」「人に嫌われてはいけない」といったことを無意識に考えるようになり、その影響により行動などを抑える結果となったと考えられます。加えて、先行きが不透明な日本社会の中で「過去に捉われず、目的を変えることで自分を変えられる」といったアドラーの考えに魅力を感じる人が多かったといえます。


アドラー心理学が日本で注目された理由
アドラー心理学が日本で注目された理由



アドラー心理学の基本

●アドラー心理学のポイント

アドラー心理学は「勇気の心理学」とも呼ばれ、幸福になるために自らが変わると勇気を持って決断し、自ら行動を起こす姿勢が基本となります。自らがどのように考えていくのか、その思考のポイントが以下になります。その内容は非常に明快でわかりやすく、学んだ人がすぐに取り組みやすい点が特徴です。

アドラー心理学を理解する7つのポイント
アドラー心理学を理解する7つのポイント



アドラー心理学で人や職場を変える

●人材育成に活用する

アドラー心理学は「使用の心理学」と言われ、アドラーは「人は何を持って生まれたかではなく、与えられたものをどう使いこなすかが重要である」と述べています。このように現状を認め、そこから変わっていこうとする姿勢は、ビジネス現場での活用につながることが期待されます。人材育成の場面では、他人と比較をせずに本人がどうありたいのかを整理し、それを意識させることがポイントです。


人材を成長へと導くポイント
人材を成長へと導くポイント


●マネジメントに活用する

アドラーは人が変われない理由として、「人は置かれた環境で変われないのではなく、自らの意思で変わらないでおこうと決心している」と述べています。アドラー心理学では、上司がメンバーから相談を受けるときは、問題そのものを探るのではなく、「今後それをどうしたいのか」を考えながら、変わる勇気を持たせる指導を行います。そのうえでストレスにつながるような「変えられないもの」を区別し、変えられるものから解決策を考えていきます。


●職場環境の改善や改革に活用する

アドラー心理学では、対人関係において立場の上下がある「縦の関係」を否定し、立場がフラットな「横の関係」を持つことを基本としています。そのような関係から生まれる共同体と個人の関係について、アドラーは「人は自身が共同体にとって有益だと思えたときに、自分の価値を実感できる」と述べています。職場環境の改善を図る際には、メンバーに共同体に自ら貢献することが、自身の幸福につながることを伝え、「まずは自分が変わることから組織を変える」という前向きなスタンスを醸成することがポイントとなります。

アドラー心理学における人の基本姿勢は、他者を鏡として行動を起こすのではなく、どうすれば自分が思う価値観を得られるかと自発的に考えることにあります。自分を向上させるために意識して行動することが、周囲によい影響を及ぼし、それがまた自身の存在価値を高めることにつながります。そのサイクルの第一歩となるのが「自身を変える勇気」を持つことです。未来を変える一手法として、アドラー心理学を学んでみてはいかがでしょうか。

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