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(情報掲載日:2016年8月16日)

人材マネジメントライブラリ

ビジネス法則に学ぶA 人間心理編

vol.55


ビジネスの現場で人は常に冷静な判断をしようとするものですが、思い込みや印象による影響を受けて正しい判断ができないことが往々にあります。人間心理に影響を与えるビジネス法則にはどのようなものがあるのか。「ビジネス法則に学ぶ」の2回シリーズ、第2回は「人間心理編」をお送りします。

思い込みに関するビジネス法則

ビジネス法則には、人の思い込みに関わる経験則が数多く存在します。その中で代表的なものをご紹介します。

●確証バイアス

・概要

確証バイアスとは、自分が信じていることに合致する意見や情報ばかりを重視してしまう傾向のことです。人はいったん思い込むと、それを支持する情報ばかりが目に付き、当初の思い込みを強化する傾向があります。それによって客観的な事実の検証や中立的な価値判断ができなくなってしまいます。


「人は無意識に、自分に都合のいい情報ばかりに目が向く」
営業職における確証バイアス(例:新製品の売り込み時)

・法則が使える場面
自分の意見が中立的な判断を元にしているか不安なとき、意見を通そうとする自分に焦りを感じるとき、扱っている情報に偏りを感じるとき、部下や他者の意見に偏りを感じるとき、など

・活用のポイント
確証バイアスに陥っていないかを確認するには、自分と異なる意見や反対意見を積極的に聞くことです。中立のポジションから意見ができていると確認することは、自身の意見を強化することにつながります。また、一つの情報が正しいかどうかを確認するときは、先に「この情報はうそである」といった真逆の情報について調べたほうが効率的です。自分や他人に対し「こういう人」というレッテルを貼ることも確証バイアスであり、正しい判断を妨げます。それを避けるには、自分と意見や考えが似ていない人、自分が知らない分野の人と意見交換するなど、積極的に交流することが有効です。


●ハロー効果

・概要

米国の心理学者であるエドワード・ソーンダイクによって、「halo=後光がさす」の意から命名された効果で、特定の項目や要素に関する評価が全体の評価に影響を及ぼす状態を指します。プラス面だけでなく、マイナス面の情報が全体に影響することもあります。広告宣伝にもハロー効果は使われており、例えば、有名人を使った宣伝はその人のイメージを押し出すことで、製品や企業イメージを上げる効果を狙っています。

「人物評価の際に顕著な特徴に引きずられてしまう」

「人物評価の際に顕著な特徴に引きずられてしまう」


・法則が使える場面
面接を受けるとき、人事考課が正しく行われているかを見るとき、企業が提携しコラボレーションで事業を行うとき、など

・活用のポイント
ハロー効果は対人面において意図的に活用することができます。短時間で人物が評価される面接では、この効果を利用して、面接を受ける人が自分の意図するイメージへと導くことも可能です。営業で交渉相手に初めて会う場面では、最初によい印象を与えられると、その後まで印象が続いて欠点を隠してくれることもあります。その逆で、自分が相手のハロー効果から逃れるには、冷静に情報を集めたり、自分以外の第三者に意見を聞くなど、地道な確認作業が必要です。


●サンクコスト効果

・概要

すでに投資して取り戻せない費用であるサンクコスト(埋没費用)にとらわれ、合理的な意思決定ができないことを、サンクコスト効果と呼びます。最近では建設費用が大幅に膨らみ、設計見直しとなった新国立競技場がこの例であり、支払済み費用の59億円をどう捉えるかが問題となりました。人は一旦先行投資してしまうと、その先がマイナスとなるとわかっていても追加投資しようとする傾向があります。

「サンクコストによって心に迷いが生じてしまう」
「サンクコストによって心に迷いが生じてしまう」


・法則が使える場面
すでに投資が行われ何らかの理由で計画見直しが求められるとき、事業遂行の過程で周辺環境や条件の変更などが起きたとき、など

・活用のポイント
サンクコストはすでに確定し、取り戻すことができない費用であり、本来ならば意思決定には関わらないはずです。これを「もったいない」と考えてしまうと、合理的な判断ができません。小規模なプロジェクトであっても、一度動き出したものを止めるのは勇気がいりますが、サンクコストは分けて考え、未来を向いた判断を行うことが大切です。


印象に関するビジネス法則

ビジネス法則には、人の印象の捉え方に関わる経験則が数多く存在します。その中から代表的なものをご紹介します。


●メラビアンの法則

・概要

米国の心理学者アルバート・メラビアンが提唱した、人が対面で話をする際にどんな要素が印象を決めているか示す法則です。アルバート・メラビアンの研究によれば、その影響は「視覚55%、聴覚38%、言語7%」であり、話し相手からは言葉そのものものの意味よりも、身振りや手振りといった非言語的要素に大きな影響を受けています。欧米人は日本人と比べると身振り手振りの表現が豊富ですが、それには大きな意味があることがわかります。

「対面では93%が見た目や話し方で判断される」
「仕事量が満たされるまで官僚の数は増え続ける」


・法則が使える場面
人に対面するとき、サービスや製品を売り込むとき、プレゼンテーションでより説得力をもたせたいとき、など

・活用のポイント
この法則が当てはまるのは人が対面で話をするときです。プレゼンテーションや講演といった長く話をする場では、当然話す内容が問われます。しかし、そのような場においても、語調で喜怒哀楽を示すなどメリハリをつければ、その気持ちはより的確に伝わりますし、そこに身振りを加えればさらに明確に思いを伝えることができます。逆に自分が聞き手のときには、演出に惑わされずに冷静に話の内容を聞いて判断することが求められます。



●SUCCESsの法則

・概要

米国スタンフォード大学ビジネススクール教授のチップ・ハース、米国デューク大学社会起業アドバンスメント・センターのシニアフェローであるダン・ハースのハース兄弟が提唱した、人の記憶に残るメッセージに共通する法則です。「単純明快、意外性、具体的、信頼性、感情に訴える、物語性」の6要素がポイントで、活用例として米国のジョン・F・ケネディ米大統領の「人類を月へ」の演説や、ソニー創業者の井深大の「ポケットに入るラジオ」というコンセプトを挙げています。人はどのような言葉の要素に魅かれるのかが良くわかる法則です。

「人の記憶に残るメッセージに共通する要素」
「人の記憶に残るメッセージに共通する要素」


・法則が使える場面
人に対して印象に残る話をしたいとき、プレゼンテーションの良し悪しを判断したいとき、部下に影響を与える話をしたいとき、など

・活用のポイント
印象的で効果的なプレゼンテーションをするためには、これら6つの要素を盛り込むことが重要です。すべて盛り込めない場合は、盛り込める要素一つひとつについて、しっかり丁寧に説明すると効果的でしょう。また、話をする相手のことをできるだけ詳細に想像し、一言一言に対してその人がどのような反応をするかをイメージしながら内容を考えると、より印象の強い内容になります。プライベートも含め自分の経験の中で記憶に残るメッセージを探し、それがなぜ印象深いのかを考えてみることもよい訓練になります。


●ピーク・エンドの法則

・概要

米国の経済学者ダニエル・カーネマンが提唱した法則で、一つの出来事が起こったときにその出来事の印象を決定づけるのは、ピークとエンドの情報であるというものです。人はすべての情報を等しく判断しているわけではなく、ピーク時にどうだったか、どう終わったかで印象が左右されます。全体的に平坦な印象だった物事よりも、ピークとエンドに盛り上がりがある物事のほうが強い印象を残します。

「人はピークとエンドの印象が強く残る」
「人はピークとエンドの印象が強く残る」


・法則が使える場面
プレゼンテーションの構成を考えるとき、初めて外部の人に会うとき、サービスや商品の利用法について考えるとき、など

・活用のポイント
人に話をするときやプレゼンテーション時に、相手に強い印象を残すには、ピークにどんな話題をもってくるか、終わりをどう締めるかを考えなければなりません。この法則は人の満足度にも関わり、顧客サービスの流れなどについて考えるときも参考になります。サプライズ的な要素を準備し、意図的に配置するといった手法も有効です。また、人と会うときは別れ際が重要で、急いで立ち去らずに帰り際に堂々と振る舞うだけで印象は強くなります。


自分流のビジネス法則を見つける

●自分の周辺に法則を見つける方法

ビジネス法則は決して特別なものでなく、自分の仕事や職場といった周辺から見つけることができます。自分流の法則を持つことで、仕事の成功の確率を上げられるだけでなく、仕事の性質をより深く知ることにもつながります。法則を見つける手法には以下のようなものがあります。

自分流のビジネス法則を見つける方法
自分流のビジネス法則を見つける方法


●マーフィーの法則にみる、人と法則の関係

1993年に書籍から日本でもブームになった「マーフィーの法則」は、米空軍における経験則から始まったと言われています。「失敗する余地があるなら失敗する」「落としたトーストがバターを塗った面を下にして着地する確率は、カーペットの値段に比例する」など、ユーモアも含みつつ、人生の先輩たちの失敗に学ぶという内容は多くの日本人に支持されました。共感を呼んだ内容から見えてくるのは、人の心にある失敗への不安です。ここで紹介したビジネス法則が生まれた背景にも、過去の失敗に学ぼうとする姿勢があったことがうかがえます。いかに失敗を味方に付けるかが法則探しのコツといえます。

ビジネス法則が成立する背景には、人はさまざまな場面で同じような判断をしがちであるという事実があります。これは、人が物事をより速く、効率的に判断しようと考えることから生まれる一つの傾向です。また、ビジネス法則を通じて人の特性を知ることは、人への興味へとつながり、それによって相手のことがよく分かり、人と仕事がしやすくなります。人への興味を高める入り口として、ビジネス法則を活用してはいかがでしょうか。

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