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(情報掲載日:2015年10月13日)

人材マネジメントライブラリ

「最適化、習慣化」で研修効果を上げる

VOL.45


変化の激しい経営環境に合わせて、社内で求められる人材も多様化しつつあります。企業が望む人材像に合わせて、いかに研修を最適化させるかは人事にとって重要な問題です。また、最近は研修後の習慣化をサポートする外部サービスが生まれるなど、習慣化に悩む企業も少なくありません。今回は研修効果を上げるための最適化と習慣化の手法について紹介します。

研修の現状における課題

●人材育成における研修のポジション

企業研修とは、企業が社員に対し、業務で必要となるスキルや知識を学ばせる教育訓練であり、日本企業では新入社員時の教育から広く育成手法として導入されています。東京大学 大学総合教育研究センター准教授である中原淳氏の著作『研修開発入門』では、人材育成には「研修」「OJT」「自己啓発」の3つのカテゴリーがあり、その中で研修は、一定期間、職場・仕事から離れた場で行われる教育訓練であると定義されています。研修は、仕事の中で学習するOJTに対しOff-JTとも呼ばれます。自己啓発とは、企業に強制されるのではなく自発的に学習することを指します。

中でもOJTは仕事をしながら学べるため広く用いられますが、実務の中で学ぶため、満足にできない部分もあります。OJTの学習効果や教育のクオリティは現場のマネジャーに依存することになりますし、一般にOJTでは現場のマネジャーの能力範囲を超えることを学べない点も指摘されています。このようにOJTは教える人によって教育内容に差が出てしまうといった難点がありますが、研修は人事が直接介入できるため質が確保でき、その場で受講者に十分な学びが得られたかといった評価を行うことも可能になります。これはどちらがいいということではなく、学習テーマや仕事環境などによって使い分けることが求められます。

●研修予算を増やす企業の意図

産労総合研究所の調査(※1)によれば、2014年度は前年比で研修予算を増加させた企業が55%と過半数となり、教育投資意欲は高まりを見せています。予算を増加させるとした企業の研修予算の平均増加率は28.7%と約3割も増加しています。研修の中身を見ると、階層別で実施率が高いものは新入社員研修93.5%、新入社員フォロー研修77.2%、内定者教育57.7%と新人対象が多くなっています。また、職種別・目的別でみると、実施率が4割を超えるのはOJT指導員教育43.9%、選抜型幹部候補教育40.7%、コミュニケーションスキル教育40.7%となっています。今後、新卒人材が減り、就労人口が減少していくことが予想される中、企業は確保した人材を十分な戦力とするしかありません。企業では貴重な社員に望む働きをしてもらおうと、近年は研修内容の見直しに注力しています。

●ムダな研修を生み出すギャップの存在

研修では「学びが仕事に反映されない」「変化は最初だけで元に戻ってしまった」という声も人事からよく聞かれます。組織変革の専門家である福嶋覚氏の著作『ムダな研修』では、研修の設計や実施で生まれやすいギャップについて指摘しています。受講者と人事の研修担当者、受講者と経営層という構図における、情報収集およびコミュニケーションの不足がギャップの原因です。ギャップがあることで、研修内容が最適化されず、結果、習慣化も図られていないという現実があります。受講者、講師の時間を割いて研修に投資をしているにもかかわらず、貴重な研修内容が業務に反映されないのは企業にとって痛手です。ムダのない研修を行うためにも、これらギャップに注目する必要があります。

研修の障害になりやすいギャップ
(福嶋覚『ムダな研修』日本実業出版社を参考に作成)

※1:産労総合研究所「2014年度教育研修費用の実態調査」
http://www.e-sanro.net/jinji/j_research/j_research05/pr_1410-3/

いかに研修の最適化を行うか

●研修でこそ解決できる内容を選ぶ

どうすれば企業ニーズに合った、最適な研修がつくれるのか。研修開発では受身になるのではなく、下のようなニーズを積極的に拾い集めることが求められます。前述の中原氏は「問題解決のプロセスは一般に『問題設定(何が問題か)』と『問題解決(その問題をどう解決するか)』から成立するが、より重要なことは『問題設定』である」と語っています。それらの問題の中で「研修でこそ解決できるもの」を選び取り、研修に落とし込む、あるいは他の人材マネジメント施策と組み合わせて解決を図ります。また、ニーズが失われたような研修は止めることも必要になります。研修を毎年行うことに意識が向き、実施することが目的になってしまうと、市場の変化など外部環境の変化に対応できていない研修になってしまいます。そのような意識になっていないか、よく自覚しておく必要があります。

人事が研修開発のために探索すべきニーズ
(中原淳著『研修開発入門』ダイヤモンド社より作成)

●学びが仕事につながる環境をつくる

研修は学習内容が業務に活かされることが最終の目標ですが、学びが仕事に活かされるまでには、下のようにいくつも障害が存在します。研修で得られるスキルが周囲に求められているか、学んだ人材の受け入れ体制が整っているかが大きなポイントです。

学びを仕事に活かす際の障害

●研修に「企業らしさ」を生み出す創意工夫

研修の形式は、座学・講義型、対話・体験型、eラーニングといったものがポピュラーですが、最近は、その企業らしさを生み出す独自の研修開発も盛んになっています。企業の社風に合う人材を育成する研修は、それ自体が企業の主張であり、研修が企業PRや採用活動に使われることも少なくありません。

特徴的な研修事例

いかに研修の学びを習慣化するか

●学びが実践されない3つの理由

研修において、人事からは「その後の行動に活かされない」「学んだことをすぐ忘れてしまう」といった声がよく聞かれます。研修の学びを習慣化することは、人事とって大きな課題です。習慣化コンサルタントの古川武士氏は、学びが実践されない理由を3点上げています。一つは研修後に何をするのか、具体的に落とし込めていない。二つ目は本人が内容をすぐ忘れてしまう。三つ目は業務に追われて実践する時間がないことです。

そこで古川氏は、企業研修の最終日に「習慣化の研修」を行い、研修後に何をするかを具現化し、それを習慣化につなげるサポートを行っています。実際に習慣化するには、以下のように行動習慣で1ヵ月、身体習慣で3ヵ月、思考習慣で6ヵ月の時間が必要です。企業研修での行動の学びを習慣化するとしたら、最低1ヵ月は必要になります。

習慣における3つのレベル
(古川武士『30日で人生を変える「続ける」習慣』日本実業出版社より作成)

●できるアクションプラン、リマインドの仕組みをつくる

行動の習慣化でまず行うべきは、アクションプランを具現化し、自分が行動しやすい内容に翻訳することです。行動内容が抽象的、曖昧になっていると人は行動できません。例えば「信頼関係を構築する」→「訪問後はその日中にお礼のメールを送る」、「上司を巻き込んで営業する」→「大事な顧客の訪問前後に、上司に打ち合わせ時間をつくってもらう」と、自分が行動しやすい内容に変えていきます。

次に行動を忘れないために、リマインドの仕組みをつくることも大切です。「カードに行動内容を書いて持ち歩く」「実施予定時間に携帯電話のアラームを鳴らす」「上司に行動のフィードバックを依頼する」「メンバーに行動を宣言する」など、自らに行動を促す方法を考えます。

●今の心境に合った対策を行い、必ず継続させる

行動の習慣化までの1ヵ月の間も心境に変化が生まれ、順番に反発期、不安定期、倦怠期がやってきます。習慣化は自発的、能動的でないと成功しないため、その段階に合った対策を行い、少しずつでも毎日続けることが求められます。心理的にも「今日もできた」と思えることが行動を継続させうる原動力になります。

行動の習慣化までのステップ(1ヵ月の場合)
(古川武士『30日で人生を変える「続ける」習慣』日本実業出版社より作成)

研修は、人に学ばせ、影響を与えることが目的だからこそ、「なぜできないのか」といった人の負の面について考えることが非常に有効となります。人事が研修を最適化するために積極的に改善する姿勢を持ち、受講者の気持ちになって考えることが、よりよい研修開発につながります。

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