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(情報掲載日:2015年7月10日)

人材マネジメントライブラリ

残業を削減する「タイムマネジメント」

VOL.42


厚生労働省の統計によれば、日本企業における正社員の年間残業時間は2014年には173時間と過去最長になっています。日本企業は残業が削減できないという課題を長年抱えながらも、なかなか解決への糸口を見出すことができません。最近は、朝時間を活用した残業削減策がニュースになるなど、削減に向けた動きが注目を集めつつあります。残業削減が進まない原因は何か、成功企業はどのような手法を取っているのか、などについて解説します。

なぜ残業は減らないのか

●日本における残業の現状

毎月勤労統計の2014年データによれば、正社員の年間残業時間は173時間であり、統計をさかのぼれる1993年以来最長となっています(※1)。また、「日本の生産性の動向 2014 年版」(※2)によると、日本の就業1時間当たりの労働生産性は41.3ドル。OECD加盟34ヵ国の中では20位、主要7か国の中では20年連続で最下位となっています。残業時間は減るどころか増加し、なおかつ労働生産性も世界的にみて低い状態となっています。
政府は日本の長時間労働解決の旗振り役となるため、まずは国家公務員がそのための施策を実行する予定で、今年7、8月には始業時間を早めることになっています。テレビなどを通じて行う広報活動や、今後発表される実施状況などから、民間企業や地方自治体へ波及も期待されます。

●仕事現場で残業が減らない原因

日本能率協会総合研究所の広田薫氏は、残業が減らない原因について以下のように分析しています(※3)。また、これらは単独ではなく、複数の原因が重なって残業習慣となっているケースがほとんどです。企業と社員が本気で、残業を減らすという強い意志をもって取り組まなければ減らすことは難しいでしょう。


残業が減らない原因
広田薫 労政時報記事「実務視点から見た時間外労働削減に向けたアプローチ」をもとに作成

※1:厚生労働省「毎月勤労統計調査」平成26年分結果確報 第5表 就業形態別月間労働時間及び出勤日数(一般労働者:調査産業計より)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/26/26r/26r.html

※2:日本生産性本部「日本の生産性の動向 2014年版」
http://activity.jpc-net.jp/detail/01.data/activity001429/attached.pdf

※3:労政時報記事 広田薫「実務視点から見た時間外労働削減に向けたアプローチ」
https://www.jmar.co.jp/job/employment/data/3837.pdf

残業削減への取り組み状況

●企業の残業削減への取り組み状況

前述のような課題に対し、企業ではさまざまな残業削減への取り組みが実施されています。厚生労働省「時間外労働削減のための取り組みに関するアンケート」(※4)によれば、企業の時間外労働削減のための取り組み状況は以下のようになっています。
「従業員間の労働時間の平準化」「残業を事前に承認する制度」「従業員の能力開発の実施や自己啓発の支援」の3点は、8 割近い事業場が実施し、「年次有給休暇取得促進の取組」も7割を超える事業場が実施しています。



時間外労働削減のための取組と実労働時間の関係を見ると、労働時間削減のための取組を実施している事業場と、実施していない事業場の1ヵ月の実労働時間を比較したときに差が見られます。特に「ノー残業デーやノー残業ウィークの設置」「労働時間適正化に関する従業員向けの教育の実施」では、実施したときに「160時間未満」の比率が大きく増えており、効果が出ていると考えられます。



「ノー残業デーやノー残業ウィークの設置」「労働時間適正化に関する従業員向けの教育の実施」で効果が見られる要因としては、企業が本気で残業削減に取り組んでいると感じられること、社員同士も残業削減に取り組んでいる意志を互いに感じることができ、気兼ねせず早く帰れていることがあげられます。


※4:厚生労働省「時間外労働削減の好事例集」時間外労働削減の取組に関するアンケート
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kinrou/120703_01.html

なぜ残業削減策は失敗するのか

●「残業は仕方ない」と思ってしまう背景

長時間労働に関するアンケート(※5)によれば、時間外労働が生じる理由を複数回答で質問したところ、「取引先からの要求に応えるため」(58.0%)、「季節的な業務があるから」(53.6%)、「事業活動の繁閑の差が大きいから」(32.0%)、「自社でコントロールしにくい突発的な業務が発生するから」(24.8%)が上位に並んでいます。これらの理由を見ると、残業は外的要因によって発生すると思われており、「残業は仕方がない」と思ってしまう環境にあることがうかがえます。


事業場での時間外労働が生じる理由(主なもの)
厚生労働省「中小企業主に役立つ時間外労働削減の事例集」より


●残業削減策がうまくいかない理由

残業削減策を打ち出したものの、なかなかうまくいかず結果が出ない理由としては、以下のようなものがあげられます。その背景に共通しているのは、残業削減に企業と社員が一丸となって取り組めておらず、また残業削減の目的や意義を社内で共有化できていないということです。ここでは社内に「残業削減を仕事の生産性向上および質の向上、そして業績アップにつなげる」といった意志の醸成が求められます。


残業削減策がうまくいかない理由

※5:厚生労働省「中小企業主に役立つ時間外労働削減の事例集」
https://kokoro.mhlw.go.jp/brochure/worker/files/110803_01a.pdf

残業削減に成功した企業事例

●残業削減に成功した企業事例

多くの企業が残業削減で思うような成果を出せていない現状ですが、中には成功している企業もあります。成功事例からは、企業、社員、顧客といった仕事の当事者たちが、互いに残業を意識する目を持ち、よりよく業務改善につないでいこうとする意識を持つことが重要だということがわかります。


残業削減の企業事例(1)(※4)
厚生労働省「時間外労働削減の好事例集」※4をもとに作成

●他にもある残業削減の手法

残業削減と個々のモチベーションおよび業績の維持・向上を図るため、既存の規則や手法に工夫を加え実践している企業もあります。


残業削減の企業事例(2)

●社員個々の働き方を「客観視」し、ムダを省く手法

企業での残業削減アイデアが紹介された本『3人で5人分の成果を上げる仕事術』(日本経済新聞社)の著者である小室淑恵氏は、社員個々の働き方を客観的に見直す手法として「朝メール」と「夜メール」を活用しています。「朝メール」は始業前に自分で、その日に行う仕事を15分〜30分に区切り、上司と同僚すべてにスケジュールをメールして共有するものです。「夜メール」は、朝メール通りに実行できたかどうかを検証し、できていないことがあれば、それはなぜかを振り返って、その原因をメールに書き、再度全員に送信します。こうすることで、自分の優先順位の付け方や取り組み方を冷静に見ることができ、どこに甘えがあるのかがわかります。「朝・夜メール」は自分発で仕事のやり方が変えられる手法と言えます。

朝メールの例(営業)

<本日の予定>
9:30−9:45【全般】朝メールを送信、メンバースケジュール確認
9:45-10:00【メール】メールをチェック
10:00-11:00【会議】営業チームでの戦略会議
11:00-12:00【資料】A社プレゼン資料の最終仕上げ
12:00-13:00【昼食】近隣で食事
13:00-13:30【移動】新宿へ移動
13:30-15:00【営業】A社にてプレゼンを行う
15:00-15:30【移動】会社に戻る
15:30-15:45【メール】メールをチェック
15:45-17:00【事務】交通費申請作業

日本で残業削減が進まない理由の一つとして、残業しないことを引け目に思うような風潮の存在が考えられます。残業削減は、今後日本で労働人口が減少する中、企業が社員の意欲向上や定着、人材確保、生産性の向上を図るための「経営戦略」であり、企業が今後も成長していくために実践すべきものです。企業は、その強い意志を社員にしっかり広報したうえで、残業削減に取り組むことが大切です。

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