メールマガジンの定期配信をご希望のお客さまは以下のボタンからお申込みください。

配信申込⁄停止

(情報掲載日:2015年5月11日)

人材マネジメントライブラリ

企業の成長につながる「表彰制度」

VOL.40


これまで企業が行ってきた表彰制度には、正しい社員像を示すという役割がありましたが、最近はそのあり方や位置づけが変わりつつあります。社員の成果やプロセス、努力を企業が把握し、会社の方向性と照らし合わせて、合致した行動や成果に対して表彰を行うようになってきました。人を褒め、会社の成長につなげる表彰制度が増えています。

表彰制度の概要と変化

●企業の表彰制度とは

表彰制度とは、企業が褒めるべき善行・功績などを規定し、それを行った社員を社内で明らかにして褒め称える制度です。制度を設ける場合には、必ず就業規則に定めるよう労働基準法89条によって規定されています。記載内容に決まりはなく、表彰の基準や方法、手続きなどが書かれています。


●「社員のお手本を示すこと」が目的だった表彰制度

これまでの表彰制度には下表のように、社員のお手本となるような個人やチーム・部署を称えるものが多くありました。その目的は組織としてまとまるために「正しい社員像」を示すことであり、社員のやる気を喚起する材料としては、より高い給与や新たなポストがありました。


これまでの表彰制度

●「よく見て、褒めて」やる気を出させる表彰制度へ

現状で社員のやる気を上げるには、ただ給与やポストを与えるだけでなく、より効果の高い喚起材料が必要です。社員の本当の欲求に応えることが、より高い会社の成長につながります。人間の欲求に関する理論で知られる、米国の心理学者マズロー氏の「欲求階層説」を見ると、欲求の変化が理解できます。

この理論では、人は図のように、下位の欲求が満たされて、初めて上位の欲求に向かうと言われています。これまで、給与を得ることで、生理的欲求や安全・安定の欲求が満たされましたが、経済的に豊かになった日本ではそれらの欲求はほぼ満たされてしまっています。それ以上のやる気を起こすには、給与を上げるだけでは不可能でしょう。これから企業は、より上位の欲求である「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現の欲求」に応えていく必要があります。そこで有効となるのが、個人にやる気を出させることを目的に「褒める、表彰する」という手法です。


マズローの欲求階層説

社員を褒めるためには、企業はより詳しく社員の成果やプロセス、努力を観察する必要があります。その上で、企業が望む成長の方向性と照らし合わせ、それに合った行動や成果に対して表彰を行います。社員を褒め、より高度なやりがいのある仕事への挑戦へとステップアップさせることで、会社も成長していくことができます。


●近年の表彰制度におけるタイプ

近年見られる表彰制度は、社員の行動や成果のどの部分に注目するかによって、いくつかのタイプに分かれます。


近年の表彰制度におけるタイプ
太田肇著『表彰制度』東洋経済新報社をもとに作成


近年の特徴的な表彰事例

●「現場」での行動、情報収集が重視される傾向

近年実施されている企業の表彰制度を見ると、社員個々の普段見えにくい行動をクローズアップしたり、社員が現場で感じたことを事業や行動に活かすことを目的としたものが増えていることがわかります。加えて、工夫して制度化された表彰制度を、企業の価値観や社風を示す材料として、社外への宣伝広報や人材募集といった場面で活用するケースも増えています。


近年の特徴的な表彰(褒賞・提案)事例


表彰制度を企業成長につなげるポイント

●組織ナレッジにつながる表彰を行う

表彰制度を成功させ、その後の人材育成や企業の成長につなぐポイントは以下の通りです。


企業成長につなげるポイント

●「失敗から学ぶ」表彰を企業の成長につなぐ方法

社内事業コンテストを10年間行ってきたIT企業で、結果として目新しい事業が生まれずに、制度内容を変えた例があります。代表者のコメントによれば、失敗した理由は3点ありました。1つは年に1度のイベントとしたことで、事業化へのタイミングが合わなくなってしまったこと。2つ目は応募内容が審査員の方向を向いてしまい、コンテスト向きのプランばかりになってしまったこと。3つ目はイベントに注力してしまい、その後の事業化までの道筋を明確に決めていなかったことです。
そこでその反省を活かし、イベント形式をやめて提案はいつ出してもよいという制度に変更しました。提案を受け付ける窓口には人事部の上役が就任。提案があれば、毎週、経営会議で審査するようにしました。結果、すぐに数件が事業化されています。事業化の行程をきちんと立てた上で、そこに募集、審査を合わせていくことが成功への近道といえます。
また、この他の事業化ポイントとしては、「失敗を容認し、挑戦を促す風土をつくる」「大きな失敗にならないよう、防護策を立てておく」「失敗の要因を分析し、次回の挑戦に活かす仕組みをつくる」といった点も大切になります。

表彰制度を考える上で大切なことは、あくまでも人を中心に考えるということです。個人やチーム、部署の取った行動が、周囲の人から褒められるべき内容であると認知され、周囲から目に見える形で褒められる。こういった良い循環を意識した運営を行うことが、表彰制度の成功、ひいては会社の成長につながります。

配信申込⁄停止

“旬”なテーマで人材活用やビジネスに関するお役立ち情報をお届けします。メールマガジンの定期配信をお申込みのお客様は左のボタンからお気軽にどうぞ。

このページのトップへ

人材マネジメントライブラリ 一覧へ