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(情報掲載日:2015年2月10日)

人材マネジメントライブラリ

いま企業に求められる福利厚生

VOL.37


現在は、社会保険料の増額で企業負担も増え、企業が任意に行う社員向け福利厚生である「法定外福利費」が抑制される状況にあります。しかし、少ない予算の中で、ワークライフバランスの実現や育児・介護などの支援、他社との差別化といった役割が求められつつあることも事実です。福利厚生の現状と新たな動きについてご紹介します。

社会保険の負担増で変わる福利厚生

●「ハコもの」から「人」へ

高度成長期における大企業の福利厚生は、独身寮や社宅、保養所、運動施設といった、いわゆる「ハコもの」施策が中心でした。それがバブル崩壊でより「人」寄りに変化しています。また、中小企業にも福利厚生制度が広まるとともに、表(※1)のように施策の種類も広がっていきました。内容は社員の生活および資産形成を支援し、一部では個人的なキャリア支援も行うといったものが中心となっています。


福利厚生施策の主な種類
福利厚生施策の主な種類

※1 厚生労働省「平成19年就労条件総合調査」における分類より
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/07/3c.html


●「支援が必要な人を助ける」「効果の最大化」を軸に制度設計

人事や総務といった福利厚生制度を担当する部署では、限られた予算で最大限の効果をあげるために、以下のようなポイントを重視して運営してきました。

  • 「よく利用する人」と「利用しない人」といった差が出ないような制度にする
  • 働くにあたり支援が必要な人ほど、制度で手厚くサポートする
  • 社員に新たな課題が生まれていないかを常にリサーチし、制度に反映させる

福利厚生の基本姿勢は、制度が当てはまる人がより多くなるようにして、支援が必要な人ほど手厚くサポートが受けられるようにすることです。より支援が必要な人には直接的に補助金を出すという手法もあります。例えば、育児メニューに補助金を加えるといったものです。また、全国展開している企業では、都心部と地方拠点で利用できる施設数やその規模に差が生まれることもあり、その点では平準化させる配慮も必要です。

福利厚生制度を運営するには、福利厚生のアウトソーシングサービスを利用する方法もあります。所定の福利厚生予算をポイントという形で付与する「カフェテリアプラン」を用いることで、メニュー内容やポイントの比重を操作しながら、公平性を保ちやすいという利点があります。


●社会保険増額で膨れる法定福利費

福利厚生費を見ると、近年では変化が起きています。その要因は社会保険料の増加です。福利厚生費とは「法定福利費」と「法定外福利費」を合計したものをいいます。「法定福利費」は社会保険料等における企業負担分のことで、「法定外福利費」は企業が任意に行う社員等向けの福祉施策の費用です。

企業の福利厚生費調査(※2)によれば、2013 年度に企業が負担した福利厚生費(社員1人1ヶ月当たり)は10万6265 円で前年度比1.9%増。過去最高額となっています。福利厚生費のうち「法定福利費」は8万1258 円(同2.9%増)となり、調査開始以来、初めて8万円を超えました。企業の社会保険料の負担増が総額を押し上げています。

その影響で「法定外福利費」は抑制傾向が続き、2万5007 円(同1.1%減)と5年連続で2万5千円台となっています。


福利厚生費の推移
福利厚生費の推移

法定外福利費には「住宅関連」「医療・健康」「ライフサポート」「慶弔関係」「文化・体育・レクリエーション」「共済会」「福利厚生代行サービス費」などが含まれます。内訳の変化を見ると、大幅に増加しているものは「ライフサポート費用」の、「介護」が前年度比10.0%増、「育児関連」が48.1%増となっています。介護や育児といった家庭的事情を持つ社員に対する支援が拡充される傾向にあることがうかがえます。

また、「文化・体育・レクリエーション費用」のうち、「活動への補助」は前年度比で1.1%増加しているものの、「施設・運営」が10.2%減少しており、ハード面からソフト面への支援に重点が移っている傾向がうかがえます。

※2 日本経済団体連合会「2013年度福利厚生費調査」
https://www.keidanren.or.jp/policy/2014/106.pdf

福利厚生に期待される新たな役割

●社員満足度を上げる

賃金と福利厚生の大きな違いは、賃金は現金支給でありその使い道を制限することはできませんが、福利厚生は企業側が狙った用途で社員に使わせることが可能です。その意味では、福利厚生は賃金では代替えできない価値を社員にもたらすことができます。また、賃金指数を見ると、このところ減少が続いており(※3)、収入を増やして社員のやる気を出させることは難しくなっています。一方、福利厚生は、制度や用途を工夫することで、社員の満足度を上げ、やる気を出させる手段になり得ると言えるでしょう。


賃金指数の推移
賃金指数の推移

※3 厚生労働省「毎月勤労統計調査 平成25年分結果確報」時系列第1表 賃金指数
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/25/25r/25r.html


●「働き方・生活」の多様性を実現

近年、企業には多様な働き方をするための支援が求められています。具体的には、仕事と生活を共存させるワークライフバランス(WLB)の推進や、さまざまな違いを尊重するダイバーシティの実現です。特に政府は女性活用を推進しており、育児支援および出産後の職場復帰の支援が求められています。また社会の高齢化が進むことで、介護の時間を必要とする社員も増えています。

福利厚生は多様な働き方をするための支援でもあり、それによって社員に働く意欲や働き方を自ら創造する意欲を引き出し、人的資源を最大化することができます。また、働き方の多様性を実現することで、職場のコミュニケーションの活性化や自己啓発、健康増進といった効果の広がりも期待できます。


●離職率が激減、事例に見る福利厚生の力

福利厚生によって社員の勤務意欲が活性化すれば、企業のビジネスそのものにも大きな影響を与えます。ここに福利厚生の改革が、企業の発展へとつながった代表的な例をご紹介します。

あるIT企業では、2005年に離職率が28%と危機的な状況にありました。そこで離職を止めるため、退社理由を一つひとつ調べ、それを社内制度に反映していきました。これら制度はすべてにおいて選択制であり、個々の自由は尊重されています。

離職率低下のため実行された施策

  • 選択型人事制度(「ライフ重視型」「ワークライフバランス型」「ワーク重視型」の3つの働き方から年に1度選択。残業あり・なし、短時間勤務、週3日勤務などの選択が可能)
  • 時間・場所の制約をなくした働き方(集中しやすい図書館やカフェで仕事をしたり、育児の都合に合わせ自宅で働くなど、自由に勤務場所が選べる)
  • 最長6年間の育児・介護休暇制度(男女問わず、育児休暇は小学校入学時まで取得可能)
  • 退社後の再入社(転職や留学等、環境を変えて自分を成長させるために退職する35歳以下の人が対象。最長6年間は復帰可能)
  • 副業の自由(会社に断りなく副業ができる)
  • 職場外飲食(仕事に関わる話をする場での飲食費を支給。部署をまたぐ5人以上の会が対象。一人あたり1,500円を補助)
  • 部内イベント支援(部内での飲み会等に一人あたり年間10,000円を補助)
  • イベント支援(本部をまたぐ10人以上で、業務時間外に行う単発のイベントに対し、費用の半額を一人あたり上限2,000円まで補助)

これら施策の結果、2013年には離職率は3.9%まで減少しました。さらに、社員の半数以上がエンジニアという企業ながら、女性比率が約4割という非常に珍しいIT企業へと変貌しています。また、副業の自由など働き方の多様性を認めたことで、多様な実力を持つ人材が集まり、それらの人材が、新たなビジネスモデルを生み出し、業績にも貢献しています。加えて、これらの制度が社風としてアピールされ、新卒・中途人材の採用においても好影響をもたらしています。

福利厚生で企業独自メッセージを発信

●特徴ある制度で差別化を図る

現在行われている企業の福利厚生制度を見ると、社員のリアルな声を反映させ、また個々の生活に配慮した内容が目立ちます。ネーミングも工夫され、社内の広報や運用についても考慮されています。また、このような制度の運用が会社の特徴ともなっており、社外への宣伝広報や人材募集といった場面でもアピールされています。


近年の福利厚生施策例
近年の福利厚生施策例

●社内イベントはコミュニケーション重視へ

社内イベント・社員旅行等に関する調査(※4)によれば、入社式や仕事納めなどの何らかの業務関連行事を実施する企業は96.7%で、社内運動会や社員旅行などの何らかの余暇・レクリエーション行事を実施する企業は82.0%となっています。イベント内容は社員旅行が46%と最も高く、次いでボウリング大会35%、ゴルフコンペ30%と続きます。

また、直近の10年間における余暇・レクリエーション行事の見直し状況をたずねたところ、「見直しや再編をした」が45.1%で、うち約半数は「新たな行事をはじめた」と回答しています。近年は、社内においてコミュニケーション不足を感じる企業も多く、その契機としてイベントを行う企業も増えています。

福利厚生制度は、社員の働く意欲、企業としての組織力、ビジネス力すべてにつながっており、また、その姿勢や取組みが他社との差別化につながり、企業の一つの顔にもなります。福利厚生は企業にとってより重要な施策となりつつあります。

※4 産労総合研究所「2014年社内イベント・社員旅行等に関する調査」
http://www.e-sanro.net/jinji/j_research/j_research02/pr1411/

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