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(情報掲載日:2015年1月13日)

人材マネジメントライブラリ

部下のモチベーションを上げる叱り方とは

VOL.36


かつては上司が部下を叱る場面は決して珍しいものではなかったかもしれません。しかし、「ほめて育てる」ことが注目される現在、叱ることをためらう場合もあるのではないでしょうか。部下はほめて育てるだけではなく、時に叱ることも必要です。部下のモチベーションを上げる叱り方についてご紹介します。

部下を叱ることの効用

●ほめるばかりでなく「叱る」ことも必要

「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」という山本五十六の言葉で知られるように、「ほめる」ことの効用については周知されていますが、「叱る」ことの意味や効果についてはあまり注目されていないようです。
人間はほめればほめるほど自信をつけ、難しいことにもチャレンジして、さらに上のレベルを目指すようになるという効果がある一方で、うっかりミスをしたり、周りのことを考えずにひとりよがりな行動を取ったり、重大なルールを破ってしまうこともあります。そのようなときには、人材育成上「叱る」ことが必要でしょう。


●「叱る」はいいが、「怒る」は逆効果

上司は部下の育成のために叱ったつもりでも、部下は単に「怒られた」と感じる場合があります。育成という意図が明確でも、表現方法が不適切であれば、叱る効果は薄れてしまいます。そうならないためにも、「叱る」と「怒る」の違いを知っておく必要があります。「叱る」は理性的、「怒る」は感情的という違いがあり、育成上「叱る」ことにはメリットがありますが、「怒る」ことにはデメリットがあります。「叱る」のメリットはものごとの是非を明らかにして正しい方向へ教え導けることであり、「怒る」のデメリットは部下を萎縮させモチベーションを下げたり、上司に対して不信感や反抗心をもたせることだと考えられ、部下育成上は逆効果になると言えそうです。


●「叱る」ことの効果

「叱る」ことの効果をまとめると、下記のような項目が挙げられます。

  • 小さな過誤のうちに叱っておけば、その後の重大な過誤を防げる
  • 叱ることは、部下を気に掛けているというメッセージになる
  • 自身では気づかないことを、気づかせることができる
  • きちんと理非曲直を教えれば、部下は安心して従うことができる

「叱る」ことが必要な場合もあると理解していても、実際には、叱ると部下が傷つくのではないか、部下に嫌われるのではないか、などと心配する上司もいるようです。自分自身がかつて上司から叱られた経験が少ない人ほど、叱ることをためらうのかもしれません。確かに、叱り方によっては部下に「パワハラ」と受け止められる場合もあり、注意を要します。その一方で、部下の過ちをその場で指摘し、注意を促さなければ、同じ間違いが繰り返される心配が残ります。叱るべきときには、毅然として叱ることも大切です。
また、部下によっては、叱られて傷つくダメージよりも、上司から適切な指導を受けられなかったことのダメージのほうが大きくなるかもしれません。マザー・テレサは「愛の反対は憎しみではなく無関心です」と言いました。とくに最近の若者は親や教師から手厚くケアされることに慣れているため、叱られず、放っておかれるほうが傷つくかもしれません。

部下育成につながる叱り方

●逆効果にならないように注意する

怒りの感情は、部下指導の場面では表情や態度に表さないようにする必要があります。たとえ指導内容が適切であったとしても、怒りの感情が入ると、前述のようなデメリットがあるばかりでなく、パワハラと受け止められるリスクも生じます。
叱り方がどのように受け止められるかは、部下との信頼関係ができているかどうか、部下の言い分の聞き方、上司の話し方や話す内容などによって違ってきます。


効果的な叱り方と逆効果になる叱り方の違い

●毅然とした態度で公平に叱る

相手が誰であったとしても、叱るべきときにはきちんと叱り、偏りのない対応をする上司がいれば、部下は信頼し、安心して従うことができるでしょう。過ちは過ちとして毅然とした態度で誰に対しても公平に叱ることが大切です。


●叱るタイミングを見極める

叱るときにはタイミングに配慮することが大切です。人は誰でも、頭ごなしに叱られたのではいい気がしないでしょう。その場ですぐ叱らなければならない事態か、そうでないのかの見極めが必要です。急を要する場合でなければ、時と場所を改めて、ゆっくりと教え諭すような叱り方が効果的でしょう。また、部下に話す前には、内容の整理が必要ですが、間を置き過ぎると、なぜ今頃言ってくるのかと部下が不信感を抱く可能性もあるため、なるべく早めに伝えるようにします。


●1対1で叱る

例えばほかの社員が大勢いるオフィス内などで叱ると、部下は傷ついたり、恥ずかしい思いをするかもしません。叱るときには他の人に話を聞かれることのない個室などで、上司と部下が1対1で向き合える環境が好ましいでしょう。ただし、非常に狭い部屋や、窓がなく圧迫感を感じる部屋で叱ると、パワハラとみなされることがあるため、開放的な部屋を利用する、出入り口側に部下を座らせるなどの配慮が求められます。
時間は15分〜30分程度が適当であり、話す時間、部下の育成のために聞くという目的、部下の言い分も聞きたいということ、秘密の厳守、評価に影響しないことを明確にしておくとよいでしょう。


●「ほめる」を先に「叱る」を後に

部下には、いきなり叱るのではなく、日ごろの働きぶりを労うなど部下の気持ちをほぐして「聞こう」とする姿勢ができてから叱るほうが、1語1語が部下の心に響くことでしょう。それまでの部下の行動の中で評価できる点があれば、それをきちんと認め、最初にほめるようにすれば、部下は心を開いて話を聞こうとするはずです。
叱るときは、まず質問から入ることが適切でしょう。なぜ、部下はそのような行動を取ったのか、目的、動機、きっかけといった背景説明を最初に求めます。このとき、続けざまに質問をすると部下を追い詰めてしまうことがあるので、質問に対して何らかの回答が得られたら、その内容について確認し、深める質問をしていきます。
そのやりとりの中から、部下が自分の過ちに気づき、認め、謝罪するといった変化が見られてきたら、同じ失敗を繰り返さないために、今後、どのような改善をすべきかについて部下の考えを聞き出すようにします。
経験が豊富な上司であれば、すぐに改善策を思いつくかもしれませんが、あえてそれは口に出さず、部下の口から出て来るまで待ち、さらに思考を深めるような質問をします。お互いに納得できる改善策にたどり着ければ、その叱り方は部下の育成に有効であったと言えるでしょう。話し合いの最後に、その改善策について、いつまでに、どのようなかたちで実行するのか、部下と約束を取り交わすことも大切です。

叱った後のフォローアップが重要

●改善できたかどうかを見る

いつまでに、どのように改善行動に結びつけるかという約束をしたら、「叱りっぱなし」にせず、その約束が確実に実行されたかどうかを見極めなければなりません。改善が見られれば、それは部下の成長であり、改善行動をほめることで、部下の自信につながります。改善行動ができたかどうかは部下に具体的に報告させます。時間がかかるようであれば中間報告や相談をさせるとよいでしょう。また、叱られた後の改善行動が見られなければ、再度叱ることも必要になってきます。


●メンタル面のフォローをする

叱られることに慣れていない部下の場合は、上司が適切な叱り方をしたつもりでも、大きなショックを受け、なかなか立ち直れないかもしれません。部下は高い自己イメージを持っていたのに、上司から叱られて現実の自分と理想の自分のギャップに直面させられ、自尊心が傷つくからです。
叱った後に黙り込む、表情が暗くなるなどの部下の反応に注意して、場合によっては、再度話し合いの場を設けるとよいでしょう。


●叱ることからコーチングに切り換えていく

叱った後に改善行動が見られれば、それ以降の経過観察をしなくてよいということではありません。部下は上司から見守られることで、安心して仕事に取り組むことができるでしょう。叱る必要がなくなれば、次の段階としては、さらにモチベーションを向上させるコーチングの手法へと、切り換えるようにします。コーチングでは、前述の適切な叱り方同様に、部下の話を傾聴し、掘り下げるために質問し、部下の応答を確認します。その過程で気づきがもたらされれば、そこを認め、ほめ、部下に自信をつけさせ、成果につながる行動に向けて動き出せるように励まします。

「叱る」ことは単にミスを正すだけではなく、部下の育成につながるものという信念をもち、部下の気持ちに立って指導することが必要です。部下がミスをした背景をつかみ、改善策を一緒に考え、その後の状況をフォローするサイクルを実行することで、部下のモチベーションを向上させ、部下を育成していくことにつながるでしょう。

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