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(情報掲載日:2014年7月10日)

人材マネジメントライブラリ

大学生のインターンシップ を活用するには

VOL.30


大学3年生の夏休みなどに職場体験をするインターンシップが定着してきました。インターンシップの現状、企業にとってのメリット、実施する際の留意点についてご紹介します。

インターンシップの現状

●専用サイトで約1,300社がインターンを募集した

大学生のインターンシップの募集状況に変化が現れています。就職情報を提供する企業各社では、2016年3月卒業予定の大学3年生向けのインターンシップ募集のための専用サイトを6月1日に一斉に公開しました。あるサイトでは公開時に募集企業が約1,300社にのぼり、3年前の2倍以上に増加したそうです。
ある就職情報会社の調査によると、新卒採用を実施した企業のうち2013年度にインターンシップを実施した企業は43.5%と、2012年度の39.0%より4.5ポイント増加しています(※1) 。2014年度はさらに実施率が高まるものと予測できます。

●日本におけるインターンシップとは

欧米ではインターンシップは有能な人材確保の手段として定着していますが、日本では「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」と定義され、幅広い内容の就業体験を指す概念となっています(文部科学省、厚生労働省、経済産業省「インターンシップの推進に当たっての基本的な考え方」)(※2)。
採用選考活動の早期化の自粛を呼びかけてきた日本経団連では「インターンシップの実施にあたっては、採用選考活動(広報活動・選考活動)とは一切関係ないことを明確にして行うこととする」(※3)としています。ただし、日本経団連の倫理綱領に拘束されない外資系企業の中には、インターンシップを採用選考の1つと捉え、プログラムへの参加姿勢や課題達成型ミッションの達成度を評価しているところもあります。

●大学主導のインターンシップ実施率は70%

上記のような企業主導のインターンシップのほかに、大学主導のインターンシップがあり、大学が単位認定を行う専門科目として企業の協力を得て実施しています。文部科学省が2013年2月に国公私立大学(748 校)、大学院(620 校)を対象に行った調査によると、教育実習・看護実習などの特定の資格取得に関係しないインターンシップ実施は544 校(70.5%)となっています。実施大学数は70.5%となっている一方で、大学生の参加率は62,561 人( 2.2%)と、それほど多くはありません。参加率が少ない理由としては、「参加を希望する学生に比べて受入企業の数が少ない、又は受入企業の開拓が不足」、「学生の希望先が大企業や有名企業に集中するとともに、中小企業を希望する学生が比較的少ない」といった課題があるようです (※4)。
ちなみに企業が行うインターンシップに参加した大学生の比率を見ると、2014年卒業予定者が23.9%と、2013年卒の17.4%よりも6.5ポイント増加しています (※1)。

●実施期間は 3日以上2週間以内が大半

企業主導のインターンシップの実施期間は、ある就職情報会社のアンケート調査によると2013年度実施分について3日以上1週間未満が34.2%、1週間以上2週間未満が37.2%、2週間以上1ヶ月未満が11.7%でした。1日や2日といった短期間の実施例は少なく、また、1ヶ月以上の長期にわたる実施例も希です(※1)。
受け入れ側の企業としては、現場の業務に支障のない範囲内で行い、なおかつ学生に現場の実態を知ってもらうには、1〜2週間の範囲内が適しているということでしょう。ちなみに日本経団連では「5日間以上の期間をもって実施され、学生を企業の職場に受け入れるものであること」をインターンシップの実施条件として掲げています。

●エントリーシートなどで事前に選考する

企業がインターンシップを実施する場合、事前に選考して対象者を絞り込むことが多くなっています。募集の方法としては、WEB上のインターンシップ専用ページを通じて行うほか、大学の就職部を経由する場合もあります。
企業のインターンシップ応募ページを見ると、中には1次審査、2次審査などと数段階に分けて選考を行う例もあります。審査の内容は、自己紹介書(エントリーシート)と小論文等による書類審査のほか、面接審査もあります。大学生にとっても、企業にとっても、お互いの興味・目的が合っているか確認し、マッチングの度合いを高められるというメリットがあるでしょう。また、選考という機会により、大学生の主体性・やる気を高められると期待できそうです。
受け入れ人数は、職場ごとに1〜2名といった少人数に絞り込む例や、プログラム単位で1回あたり10〜30人程度のグループで行い、これを複数回実施する例もあります。

●実施内容は職場体験型のほかに課題解決型などがある

企業主導で行われるインターンシップの内容は、①実際に学生が職場に入って業務の一部を体験する職場体験型と、②企業の研修室などに学生が集められ、新規事業の提案や新商品の広告作成といった課題を与えられる課題解決型、およびその混合型があります。職場体験型については、職場見学を行うほか、先輩社員が職場体験を語り、学生が知りたいことを先輩社員にインタビューするといったかたちでの実施が多くなっています。
実施方法としては、若手社員を大学生のメンターとしてマン・ツー・マンあるいはそれに近い形で配置し、メンターが自らの経験談を披露したり学生の相談に応じたりするほか、課題解決型のインターンシップではアドバイスや指導を行っています。課題解決型で行う企業の中には、最終日に役員などの前で大学生にプレゼンテーションさせ、その内容について評価を行い、フィードバックするところもあります。

※1 就職みらい研究所「就職白書2014 −インターンシップ編−」
http://data.recruitcareer.co.jp/research_data/hakusyo/hakusyo_2014is.pdf

※2 文部科学省、厚生労働省、経済産業省「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方
http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/intern/sanshou_kangaekata.pdf

※3 日本経済団体連合会「採用選考に関する企業の倫理憲章の理解を深めるための参考資料」
https://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2011/015sanko.html

※4 文部科学省「大学におけるインターンシップの推進について」
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2014/01/07/1343034_5.pdf

インターンシップのメリットとは

●ミスマッチの防止

インターンシップを通じて、学生にありのままの姿を伝えることにより、中には「期待していた姿とはちがっていた」という印象を受ける学生も出て来るかもしれません。
外からは分かりづらい職場の雰囲気、働いている人の表情や声、実際の仕事の進め方、部門ごとの業務の違いといったリアルな姿を体感できることに、多くの学生はメリットを感じています。イメージ先行で学生が誤解していた部分や、過剰に期待していた部分について、インターンシップを通じて修正することができ、学生と企業のミスマッチを防ぐことにつながると考えられます。実際にインターンシップを経験したことにより、その企業への応募の意欲が高まり、具体的な志望動機をもって選考にチャレンジすることができるとの声が聞かれます。

●指導にあたる若手社員の育成

多くの企業ではインターンシップのプログラムの運営を若手社員に任せ、メンターとして1対1で学生に対応させるところもあります。学生にとっては、初めての職場体験の緊張感を和らげて親しみを持ちやすいというメリットがあります。他方、学生の指導に当たる若手社員は、学生のみずみずしい感性に刺激を受けたり、あるいは学生への指導を通じて業務の理解を深めたり、自分の成長の度合いを感じることができるようです。その意味で、指導に当たる若手社員の育成にメリットがあると見る企業もあります。

●学生の配置による職場全体の活性化

メンター役の若手社員ばかりでなく、学生が配置されることにより、職場全体が活性化されるという声もあります。吸収力旺盛な学生の質問に答えて、自分の仕事の専門性や仕事のやりがいの一端を語るとき、人によっては仕事に対するプライドを良い意味で刺激され、満足感を味わうことができ、それが仕事に対する前向きな取り組み姿勢につながっていくこともあります。

インターンシップを実施するときの留意点

●採用選考に関する倫理憲章を守る

日本経団連が定める採用選考に関する企業の倫理憲章では、インターンシップを学生の就業体験の機会を提供するために実施するものであるとして、下記のような取り組みを行うことを求めています。インターンシップを実施する際には、下記について留意が必要でしょう。

インターンシップのプログラムが満たすべき条件

・募集から実施までを通して、当該活動が就業体験の提供であり、採用選考活動とは無関係である旨の周知徹底を図り、参加する学生から活動の趣旨について書面等での了解を得る。
・学生の就業体験の提供を通じた産学連携による人材育成を目的としていることが分かるよう、可能な限り詳細にプログラム内容を一般に公開する。
・インターンシップに際して取得した個人情報をその後の採用選考活動で使用しない。
・大学等のカリキュラム上、特定の年次に行う必要がある場合を除き、募集対象を学部3年/修士1年次の学生に限定しない。

日本経団連「採用選考に関する企業の倫理憲章の理解を深めるための参考資料」をもとに作成

●インターンの学生は「労働者」に該当するか

法的に見ると、インターンの学生が「労働者」に該当する場合、労働基準法のほか労働関係法令(最低賃金法、労働安全衛生法、労災保険法、男女雇用機会均等法など)の適用があり、企業としては適法な金額の賃金支払いの義務を負います。
この点については下記のような行政通達があります。

インターンの学生が「労働者」に該当するかどうかの判断基準

「一般に、インターンシップにおいての実習が、見学や体験的なものであり使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど使用従属関係が認められない場合には、労働基準法第9条に規定される労働者に該当しないものであるが、直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が当該事業場に帰属し、かつ、事業場と学生の間に使用従属関係が認められる場合には、当該学生は労働者に該当するものと考えられる」

経済産業省「産学連携によるインターンシップのあり方に関する調査報告書」をもとに作成(※5)

従って企業は、インターンシップの職場体験の内容を検討し、「労働者」に該当するか否かを判断しておく必要があります。仮に「労働者」に該当するのであれば、労基法等の法令を厳守しなければなりません。逆に「労働者」に該当しない範囲内で職場体験をさせようという方針であるならば、現場の社員が独断で学生に対して指揮命令を行うといった逸脱行為がないように予め徹底しておく必要があります。

●事故や過失に対する備えが必要

インターン生が労働者に該当しない場合も、労災保険の適用の有無にかかわらず、会社が学生に対し安全配慮義務を負う必要があり、企業内での事故に対して過失が認められれば損害賠償の責任が発生します。また、学生が企業に対して損害を与える可能性もあり、例えば機器やソフトウエアの損壊、機密漏洩等が考えられます。このような場合に備え、企業はインターンに参加する学生に対して、学研災付帯賠償責任保険(略称「学研賠」)などへの加入を呼びかけることが望ましいと考えられます。多くの大学では、インターンシップに参加する学生に対して学研賠についての情報提供を行っています。学研賠とは国内外において、学生が正課中、学校行事中、ボランティア、クラブ等での課外活動およびその活動を行うための往復中で、他人にけがをさせたり、他人の財物を損壊したことにより被る法律上の損害賠償を補償する制度です。ただし、企業秘密や個人情報の漏洩については、損害の回復は困難となることが多いので、予防策として、学生に対して「誓約書」等の提出を義務づけることが望ましいでしょう。
以上の点に関しては、厚生労働省が実施しているインターンシップ受け入れ時の手続きが参考になります。同省では大学を通じての応募を受け付けており、その際、職場体験実習に関する覚書、誓約書、保険加入証明書の提出を求めており、その書式を公開しています (※6)。覚書の中では、①インターン生の役割、②実習時間、参加経費及び事故への対応、③学生に求める遵守事項等が明らかにされています。また、誓約書には「実習中知り得た秘密については、実習中及び実習終了後、何人に対しても漏らさぬことを誓約します」という一文が含まれています。

※5 経済産業省「成長する企業のための インターンシップ活用ガイド」
http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/intern/guidebook-katsuyo.pdf

※6 平成26年度厚生労働省職場体験実習(インターンシップ)について
http://www.mhlw.go.jp/general/saiyo/internship.html

インターンシップは、大学生の職業意識の啓発やキャリア形成の支援に役立つとして、国から推奨されているとともに、企業にとってもメリットが大きいといえますが、受け入れ体制に不備があった場合は、法的な問題が発生したり、学生の期待を損なって逆効果になる場合もあります。事前にインターンシッププログラムの内容をよく検討し、運営スタッフのほかメンター役の社員や受け入れ先の社員に対しても、運営上のガイドラインを徹底するなどの準備が必要になってきます。実施後には、学生から満足度や理解度に関するアンケートを募るなどして、プログラムの内容についての評価を行うことも望ましいでしょう。インターンシップのメリットが企業、学生の双方にとって最大限に活かされるようにしていきたいものです。

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