メールマガジンの定期配信をご希望のお客さまは以下のボタンからお申込みください。

配信申込⁄停止

(情報掲載日:2014年6月10日)

人材マネジメントライブラリ

朝型勤務で生産性向上を図る

VOL.29


日の出の時刻が早くなる夏季には、1時間ほど時計の針を早めて活動するサマータイム制が話題になります。中にはサマータイム制をきっかけに朝型勤務のメリットを見出し、就業規則を変えて通年で8時始業にする例や、夜間の残業を禁止する代わりに早朝勤務を割増賃金とする例も出てきました。朝型勤務のメリットと導入の事例についてご紹介します。

朝型勤務のメリットとは

●サマータイムを通年化して朝型勤務にする理由

サマータイム制は、震災後に省エネのために採り入れる会社もありましたが、サマータイムの時期が終わっても、省エネばかりでなく業務効率化と残業時間の削減につながるとして朝型勤務を継続して通年化する会社があり、注目されています。
ある食品メーカーでは、震災後からサマータイム制を4月初旬から9月下旬まで実施し、通常の午前9時〜午後5時半までの就業時間を1時間早めて午前8時〜午後4時半としています。当初は社員の間に否定的な意見もありましたが、実施後のアンケート調査では、「朝の時間を有効活用できる」「午後4時半以降の時間を活用して、自分のやりたい勉強ができた」「時間を意識し、働き方を見直すきっかけになった」といった肯定的な意見が多くみられました。会社としては「働き方の効率化に関する意識改革について一定以上の効果があることが確認された」との結論に到り、朝型勤務を通年化することを決めたそうです。

●朝型勤務に合わせて朝型生活に変える

朝型勤務は社員にとって「朝の時間」と「夕方の時間」を有効活用できるというメリットがあります。「朝の時間」については、夏季の場合は日の出の時刻が早く、たとえば2014年6月10日の東京地方の日の出の時刻は4時25分です。朝型勤務をきっかけに早起きするようになり、朝の時間帯を有効活用できることに改めて気づいたという人が少なくないようです。
出勤時刻が1時間前倒しになった場合、それに対応して生活時間を1時間前倒ししただけであれば、それほど大きな変化は起こらないかもしれません。一方、自分も早起きして朝型の生活に切り換え、余裕をもって朝型勤務に対応しようと意識を変えて、いつもより2時間早く起きる習慣をつければ、活動時間を増やすことができます。
また、人間は朝の太陽の光を浴びることで、体内時計のリズムが調節されるため、早寝早起きの朝型生活は健康的だといえるでしょう。
詳しくは「テンプナレッジマガジン」のVol.19「いまを勝ちぬく人間力/朝活勉強法のメリットをさぐる」をご参照ください(※1)。

●朝の時間を有効活用する

朝の時間の活用方法としては、次のような声が出ています。
1) 空いている電車にゆったりと座って読書ができる
7時前に家を出れば、電車が空いているために座ることができ、読書のほか、仕事に関する資料が読める、英会話の勉強や資格試験対策などの自己啓発に取り組めます。
2) 家族との生活時間の接点が増える
5時に起きて子どもの弁当作りや家族の朝食のしたくを手伝うようになった男性がいます。また、「晴れた日は子どものキャッチボールの相手をしてから出勤する」という例もあります。残業で帰りが遅くなると、子どもは寝てしまっているためにコミュニケーションをとれないことをずっと気にしていたそうです。
3)運動で心身をスッキリさせる
帰宅後のウォーキングを、早起きして、朝するようにしたら空気が新鮮で気持ちがよく、空の青さや木々の緑をきれいだと思える心の余裕ができたという声もあります。朝の運動で心身をスッキリさせ、集中して仕事に取り組むための準備ができます。
4)朝一番のニュースをチェックして新聞を読む時間をたっぷりとれる
関東地方で一番早く始まるニュース番組は朝4時からなので、4時に起きれば誰よりも早くニュースをチェックすることができます。また、届けられたばかりの朝刊を開き、じっくり読み、インターネットで関連情報を集めることもできるでしょう。
5)時差出勤で静かな環境下で集中して仕事に取り組める
たとえば8時出勤をさらに先取りして自主的に30分早出すれば、周囲に人が少なく、得意先からの電話がかかってくることのない静かな環境下で、集中して仕事に取り組めます。朝型勤務を導入したある会社の社長は、「他の企業の始業時間前に準備をし、お客様に万全の体制で対応できる」と話しています。

●夕方の時間を有効活用する

「夕方の時間」については、夏季の場合は外がまだ明るく、退勤後の自由時間を有効活用できます。たとえば、同じく6 月10日の東京地方の日の入り時刻は18時56分となっています。スクールに通うなどの自己啓発に当てる、スポーツを楽しむ、早く帰って家族団らんの時間を長く取るといった活用のしかたがあるようです。自己啓発はキャリア形成に役立ちますし、スポーツなどの活動は心身の健康維持に役立ち、家に早く帰れればワーク・ライフ・バランスを保つことができそうです。世の中に朝型勤務の会社が増えれば、早く帰れる者同士で集まって異業種交流などの交流の時間をもつチャンスも増えるでしょう。そういった出会いがビジネスチャンスにつながることも期待できます。

※1 テンプナレッジマガジンVol.19「いまを勝ちぬく人間力/朝活勉強法のメリットをさぐる」
http://www.tempstaff.co.jp/magazine/ningenryoku/vol19.html

企業における朝型勤務の導入の事例と効果

● 導入のねらいは国際競争力の強化

ある会社ではサマータイム制を導入して始業時間・就業時間を1時間ずつ早めた結果、社員1人あたりの残業時間が平均で月に3〜4時間減少するという効果が得られました。同社では海外売上比率が4割を超え、今後、海外展開をさらに加速する必要があり、より業務効率が上がる働き方へ切り換えるため、サマータイム制で始めた朝型勤務を通年化しました。
長時間残業でコストが増えれば利益率を高めるうえで足かせになります。限られた時間で高い生産性を上げる、業務効率の高い働き方が国際競争力の強化には不可欠という判断があったということでしょう。

●夜の残業を禁止して朝型勤務に切り換える

残業時間の削減を徹底して推し進めるために、ある会社では午後8時以降の残業を原則禁止とし、10時には完全に消灯するという方策を打ち出しました。代わりに午前5時〜8時の早朝勤務時間に深夜残業と同様の50%の割増賃金をつける朝型勤務制度を2013年10月1日より試行的に実施してきましたが、単に残業時間を夜から朝へとシフトさせるだけでなく、大幅な残業時間の削減につながりました。同社が公表した資料によると、月平均の残業時間は総合職で49時間11分から45時間20分に約4時間削減され、トータルでは2,300時間の削減になり、事務職では同様に27時間3分から25時間5分に約2時間削減され、トータルでは1,050時間の削減になりました。このことにより、時間外勤務手当は約7%削減されました。この結果、経営改革に大きな効果を生むとの判断から2014年5月1日より正式に朝型勤務を導入することになりました。
早朝出勤の負担を軽くするため、バナナやヨーグルトなどの軽食を午前8時前始業社員に対し無償で提供しています。利用者が1日あたりの平均で約550名ありますが、このコストを差し引いても約4%のコスト削減効果が得られたことになります。「朝型勤務が経営改革につながる成果を出している」と同社では総括しています。
また、同社では朝型勤務は業務効率化や社員の健康の保持・増進につながるだけでなく、女性社員の活躍支援やワーク・ライフ・バランスにつながると考えているとのことです。

朝型勤務導入の際の留意点

● 社員に対する説明と同意が必要

朝型勤務導入の際には、事前に社員に対する説明と了承が必要になります。既に導入した企業の例を見ると、5月あるいは6月にサマータイム制として朝型勤務を始め、それを試験的に1年間続けたうえでアンケート調査を行って朝型勤務に対する感想を聴取して導入の適否を判断し、労働組合の同意を経て就業規則の変更を行うという手順を踏んでいます。もちろん就業規則を変更するにはあらかじめ社員に対する説明と同意が必要です。しかし、そうしたコンプライアンス上の必要性以上に、残業時間の短縮と業務の効率化という目的に対する社員の納得性と参加意識を高めるために、こうした手続きが必要であるといえるでしょう。

●顧客、関係者の理解を得る

朝型勤務を導入すると、「かえって残業時間が増えてしまう」ということも起こりえます。取引先が朝型勤務を導入していないため、終業間際に問い合わせが殺到した場合、対応に追われて結果的に帰る時間が前と同じになってしまい、残業時間が増えた例もあるようです。
このことを防ぐためには、終業時刻を繰り上げたことを取引先などにあらかじめ伝え、理解を得ておく必要がありそうです。スケジュールを顧客や関係する人たちに伝え、行き違いがないようにする配慮がいままで以上に必要になってくるでしょう。

●グループ会社も朝型勤務に切り換える

グループ会社とは、@部署によっては頻繁に連絡を取り合う必要が生じる、A労働組合間で交流がある等の理由から、同時に朝型勤務に切り換えれば仕事がしやすくなるでしょう。前述の22時以降の深夜労働を禁止して朝型勤務にした企業では、グループ内のIT企業も残業時間の削減を主目的として朝型勤務を始めました。

社員も、より効率的で生産性の高い働き方を求められる状況の中、時間を有効に使えるよう、計画しなければなりません。
マネジメント研究の第一人者であるドラッカーはこんな言葉を残しています。「私の観察によれば、成果をあげる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする。計画からもスタートしない。何に時間がとられているかを明らかにすることからスタートする。次に、時間を管理すべく自らの時間を奪おうとする非生産的な要素を退ける」。
限られた時間をどのように使うかが、朝型勤務のメリットを最大限に引き出すポイントと言えそうです。

配信申込⁄停止

“旬”なテーマで人材活用やビジネスに関するお役立ち情報をお届けします。メールマガジンの定期配信をお申込みのお客様は左のボタンからお気軽にどうぞ。

このページのトップへ

人材マネジメントライブラリ 一覧へ