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(情報掲載日:2013年6月20日)

人材マネジメントライブラリ

人材育成に関する公的助成の活用法

VOL.18


景気が悪くなると真っ先に削減される経費は、交通宿泊費、広告宣伝費、交際会議費の3つで、これを「3K経費」と呼ぶそうです。四番手に来るのは、教育研修費でしょうか。すぐに効果が出づらく、長期的な視点で人材投資をしても、そのリターンが得られるのはだいぶ先のこと。渋る役員を説得する材料に苦労している人事担当者も少なくないでしょう。そこで注目したいのが、人材育成に関する公的助成です。今回は、下表のような4種類の奨励金・助成金について、お得な活用法を紹介します。

4種類の奨励金・助成金

日本再生人材育成支援事業奨励金とは

教育研修費に対する公的助成にはさまざまな種類がありますが、中でも注目されるのが「日本再生人材育成支援事業奨励金」です。この奨励金の対象になるのは日本再生につながる成長産業と見なされる健康、環境、農林漁業分野等において雇用される労働者(非正規雇用の労働者を含む)の職業訓練や、被災地の復興のために必要な建設関係の人材育成となっています。
「奨励金」と名の付く公的助成は、「助成金」に比べると手続きが簡単で、利用しやすくなっています。

●成長産業の事業主の人材育成を支援

日本再生人材育成支援事業奨励金は、平成25年度末までの期間限定で実施される奨励金で、その内容は下記の7種類に分かれています。

◆日本再生人材育成支援事業奨励金
◆日本再生人材育成支援事業奨励金


●対象となる事業主

対象となる企業は、健康、環境、農林漁業分野等の成長分野に限定されます。この中には、医療・介護、情報通信業、建設業および製造業の一部(健康・環境・農林漁業分野の製品を扱っていることが条件)等が含まれます。企業規模に関わりなく、大企業も中小企業も利用できます。
ただし、過去に労働法違反や不正受給、事業主都合の解雇があると、奨励金や助成金を受給できない場合があります。

●正規雇用労働者育成支援奨励金は1人1コース20万円まで支給

上記7種類の中で、多くの企業にとって最も利用しやすく、メリットが大きいのは、正規労働者育成支援奨励金でしょう。限度額の範囲であれば、教育訓練にかかった費用のほぼ全額が戻ってきます。
限度額は、1訓練コース(10時間以上)につき1人20万円となっています。つまり、10人で1訓練コースを受ける場合、200万円までの教育訓練費の支給が受けられるので、資格取得コースのように、時間と費用がかかる訓練にも適用できるわけです。但し、1年度1事業所当たりの支給限度額は500万円となります。
対象者は、正規雇用すなわち「期間の定めなし」で労働契約をしている労働者であることと、雇用保険の被保険者であることが条件です。入職後の在職年数等の制限はありません。
費用助成の対象となる教育訓練については、次の3つの条件を満たすことが必要です。

◆正規労働者育成支援奨励金の対象となる職業訓練

1) 健康、環境、農林漁業等の業務に関する内容であること
(趣味や一般教養と区別のつかないものは対象外 例:一般的な接遇マナーなどは対象外)
2) 1コースの訓練時間が10時間以上のOFF-JTであること(職場外の教室等での職業訓練)
3) 複数のコースを組み合わせて実施することができ、全体として期間は原則1年間、最低6カ月以上あること

なお、上記の条件を満たしていれば、外部の研修機関等が企画・運営する教育訓練コース(事業外訓練)を受講した場合であっても、外部の研修機関等に企画・運営を依頼し、外部講師を招聘して実施した研修(事業内訓練)であっても、奨励金の支給対象になります。

◆事業外訓練と事業内訓練の特徴
◆事業外訓練と事業内訓練の特徴

ただし、いずれの場合も、社員に業務命令で訓練を受けさせる必要があり、社員が自主的に受講する訓練は助成対象にはなりません。また、教育訓練を受けている間の人件費も対象外です。

●手続きには研修開始前の受給資格認定申請と終了後の支給申請が必要

奨励金を受けるための手続きは、研修開始前の受給資格認定申請と、終了後の支給申請の2段階となっています。いずれも、管轄地域のハローワークへ提出します。
事前の受給資格認定申請手続きを行ってから認定が出るまでには1カ月以上を要しますので、研修の初日の2カ月程度前に提出するほうが安心です。

◆奨励金申請手続きの流れ
◆奨励金申請手続きの流れ

申請に必要な書式は、厚生労働省のホームページ(※1)からダウンロードできます。

◆受給資格認定申請手続きに必要な書類

1) 受給資格認定申請書(様式第2-1号) 事業所の所在地、事業内容、申請する総額などを記入
2) 職業訓練計画(全体)(様式第2-2号) 教育訓練コースの名称、初日と最終日を列挙する
3) 職業訓練計画(訓練コース)(様式第2-3号) 個別の職業訓練コースの具体的な内容と費用を記入
4) 雇用保険適用事業所設置届(写)*1
5) 登記事項証明書、会社案内、定款等の写し(健康、環境、農林漁業分野等に該当する事業を行っていることを証明する書類)

*1事業所が新規開設・開業等で雇用保険適用事業を開始したとき、または適用事業に該当するに至ったときにハローワークに申請するもの

●職業訓練計画を作成する際の注意点

教育訓練コースのカリキュラムを作成するにあたっては、(1)訓練期間、(2)訓練時間数、(3)訓練内容に関する条件を満たさなければなりません。下表のような仮のプランを使って説明します。

◆教育訓練コースの例
◆教育訓練コースの例

(1) 訓練期間
研修の初日と最終日の間は、「原則として1年以内、最低6カ月以上」という条件を満たす必要があります。
ただし、複数のコースで実施する場合は、いちばん早い研修初日と、いちばん遅い研修最終日の間が6カ月以上あればOKです。

◆訓練期間の例
◆訓練期間の例

(2) 訓練時間
訓練時間は1コースあたり合計10時間以上であることが条件となっています。時刻の設定は自由ですが、所定外労働時間に教育訓練を実施する場合は、割増賃金を上乗せした給与を支払う必要があります。休日に実施することもできますが、その場合は割増賃金を支払うか、代休を与える必要があります。

(3)訓練内容
1つの例として、上の表では「健康」のジャンルに含まれる「医療・介護」事業のうちの、高齢者対象のデイサービス(通所介護)の教育カリキュラムを作ってみました。内容は、専門性の高い科目を選びます。講師は、各専門分野で実績のある専門家に依頼します。
社内で外部講師の人選や日程調整等の依頼をすることが難しければ、専門の研修機関等に依頼しても構いません。

キャリア形成促進助成金は政策課題対応型訓練と一般型訓練型に改編

従来からあるキャリア形成促進助成金(※2)は、内容の見直しが行われました。政策課題対応型訓練、一般型訓練の2つに改編されました。対象となる労働者は正規職員のみで、非正規職員に関しては、後述のキャリアアップ助成金が新設されました。中小企業のみ利用できます。

●喫緊の政策課題に対応する職業訓練は6コースを認定

政策課題対応型訓練については、下記の表のように対象者別に6コースに分かれています。助成対象訓練時間は、認定実習併用職業訓練コースを除き20時間以上です。
助成額および助成率は、OFF-JTに関しては賃金助成が1人1時間あたり800円、講師料などの経費に対する助成率は2分の1となっています。また、Dの認定実習併用職業訓練コースについては、OJTの実施助成として1人1時間あたり600円となっています。

◆キャリア形成促進助成金における6つの政策課題対応型訓練 (いずれも雇用保険の被保険者が対象)
◆キャリア形成促進助成金における6つの政策課題対応型訓練 (いずれも雇用保険の被保険者が対象)

一般型訓練は、雇用する労働者に、職務に関連した専門的な知識および技能を習得させることを内容とする訓練を実施する事業主に対して助成金が支給されます。上記の@〜E以外の訓練に対する助成金です。
助成額および助成率は、OFF-JTに関しては賃金助成が1人1時間あたり400円、講師料などの経費に対する助成率は3分の1となっています。
支給の基本的な条件は、下記の2点となっています。
1) OFF−JTにより実施される訓練であること(事業主自ら企画・実施する訓練、または教育訓練機関が実施する訓練)
2) 助成対象訓練時間が20時間以上であること

新設の「キャリアアップ助成金」は非正規労働者が対象

「新設の「キャリアアップ助成金」(※3)は、国の重点施策である非正規労働者の処遇改善および正規雇用への転換を実現するための一助として設けられた制度です。人材育成費用の助成にとどまらず、正規雇用等転換、処遇改善、健康管理、短時間正社員制度の新設、パート労働時間の週所定労働時間の延長等に対しても助成を行う包括的な制度となっています。中小企業だけでなく、大企業も対象になります。
また、対象者が母子家庭の母親や父子家庭の父親の場合、正規雇用への転換や短時間正社員への転換については助成額を上乗せされるため、支援が手厚くなります。」

◆キャリアアップ助成金の助成内容と助成額
◆キャリア形成促進助成金における6つの政策課題対応型訓練 (いずれも雇用保険の被保険者が対象)

*1 対象者が母子家庭の母等または父子家庭の父の場合、1人あたり@10万円、A5万円、B5万円を加算
*2 健康、環境等の重点分野等の事業主の場合、経費助成は「非正規雇用労働者育成支援奨励金」(日本再生人材育成支援事業)により上限30万円(大企業は20万円)。(平成25年1月実施)
*3 「職務評価」の手法を活用の場合、1事業所当たり10万円(大企業は7万5,000円)上乗せ
*4 おもにワーク・ライフ・バランスの観点から正規雇用労働者を短時間正社員に転換するケースや、短時間労働者を短時間正社員に転換するケースなどを想定しています
*5 対象者が母子家庭の母等または父子家庭の父の場合、1人あたり10万円加算
*6 社会保険の適用基準を満たす労働時間まで延長し、労働者の能力のさらなる活用につなげることを目的としています

若年人材の育成と定着を図る若者チャレンジ奨励金が新設された

非正規雇用から正規雇用への転換については、とくに35歳の若年層で重要な政策課題となっています。そこで新設されたのが、「若者チャレンジ奨励金(※4)」で、またの名を「若年者人材育成・定着支援奨励金」といいます。
この奨励金は、35歳未満の非正規雇用の若者を、自社の正社員として雇用することを前提に、自社内での実習(OJT)と座学(OFF-JT)を組み合わせた訓練を実施した場合に、事業主に奨励金が支給されます。
また、訓練終了後、訓練受講者を正社員として雇用した場合には、正社員雇用奨励金が100万円(2年経過時までの合計)支給されます。
なお、1年度に計画することのできる訓練の上限は、「60人月」(受講者数×訓練月数の合計)となります。たとえば、5人ならば最大で12カ月訓練を実施でき、6人ならば10カ月といった計算になります。

◆若者チャレンジ奨励金
◆若者チャレンジ奨励

このように、教育訓練の費用に関する助成は、政策対応の内容を含むもので助成が手厚くなっていることがわかります。
事業内容でいえば、日本再生事業(成長分野)。企業規模でいえば、大企業よりも中小企業。雇用形態でいえば、正社員よりもパートなどの非正規雇用。そして、年齢層では若年層の支援の強化がうたわれています。
もとより、企業は社会的責任を担っています。非正規雇用の処遇改善、とくに若年層の人材育成と正社員雇用は、中小企業であれば手を出しにくい課題かもしれませんが、助成金・奨励金の利用を前提に検討してみてはいかがでしょうか。

詳細については、厚生労働省のホームページからパンフレット等をダウンロードできます。

※1 厚生労働省 事業主の方のための雇用関係助成金
「7.従業員等の職業能力の向上を図る場合の助成金」に「日本再生人材育成視線事業」の記載あり
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/

※2 厚生労働省 キャリア形成促進助成金
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/d01-1.html

※3 厚生労働省 キャリアアップ助成金
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html

※4 厚生労働省 若者チャレンジ奨励金
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/shokugyounouryoku/career_formation/challenge/

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