メールマガジンの定期配信をご希望のお客さまは以下のボタンからお申込みください。

配信申込⁄停止

(情報掲載日:2013年3月21日)

人材マネジメントライブラリ

“プロフェッショナル・マネジャー”の条件

VOL.15


管理職を取り巻く環境が大きく変化しています。経営課題が多様化してきている中、それらにどう対応していくかは現場の判断に任されるケースが多くなってきています。問題は、以前のようなマネジメント手法では、これらの状況に対応していくのが難しくなっていることです。そこで、環境変化に柔軟かつ的確に対応し、経営の求める課題を遂行できる "プロフェッショナル・マネジャー"が求められています。これから求められる新しい「管理職像」について、ご紹介します。

管理職を巡る現状と期待される役割

従来、現場の管理職に求められる役割は、経営の課題を現場で対応する課題に落とし込み、それを各人に振り分け、管理・運営していくというものでした。その際のマネジメントスタイルとしては、「経営から受けた内容についてメンバーに指示・命令を出す」といったトップダウンに呼応するスタイルと、「現場を信頼して任せ支援を行い、結果責任を取る」といったボトムアップ型のスタイルの2つが代表的なものとして言われていました。
ところが経営環境の劇的な変化により、状況が大きく変わってきました。求められるニーズが多様化していく中で、経営層は大きな方向性は示せても、それを具体的にどう対応していくかは、現場に任せていくというやり方をせざるを得なくなってきています。経営課題に対してスピード感を持って対応していくために、現場でその都度、経営課題に対する対応策を考え、実行していかなくてはならないような事態が多くなってきたのです。
このような状況に対応していくには、従来とは違った新しいマネジメントスタイルの管理職が求められてきます。それは、環境やメンバー構成が変わってもその状況に対して素早く現場での方向性を示し、メンバーに対してリーダーシップを発揮していく"プロフェッショナル・マネジャー"とも呼ぶべき現場の経営者的な管理職です。

“プロフェッショナル・マネジャー”に求められる要件

環境変化にスピード感と決断力を持って対応していくために、管理職を現場の経営者として、その育成している企業へのヒアリング結果から、"プロフェッショナル・マネジャー"に求められる主な要件を、以下にまとめてみました。


(1)未来を描く力

環境変化への対応が求められる中、経営戦略が抽象的な言葉で表現されていると現場ではどのように対応していいのかよく分かりません。しかし、自分たちの進むべき「未来」をはっきりとイメージすることができれば、第一歩を踏み出すことができます。そこで、"プロフェッショナル・マネジャー"は経営が示すビジョン・経営戦略を基に、未来を描く必要があります。
そのためには、「自分と組織のために、どのような未来を作りたいのか?」「その未来を実現するには、何が必要か?」「未来の姿を実現するには、どのような組織となる必要があるのか?そこで求められる人の要件は何か?」といった未来を思い描く内省作業を行い、あらゆる可能性を検討することが大切です。それを基に、自分と組織の未来を描いていくのです。この場合、未来を3〜5年の中期と、10年先の長期に分けていくことで、よりイメージがはっきりしてきます。会社が進む方向性の中で、組織レベルでどのようなことを行っていけばいいのかがイメージできれば、現場でのリーダーシップを発揮しやすくなります。


(2)目標を設定する力

未来を描いた後、それを実現していくためには到達すべき「目標」を設定することが必要です。この目標を具体的に掲げることで、メンバー一人ひとりの気持ちを一つにしていき、組織全体のモチベーションが高まってきます。
到達すべき目標を決める際、最初から達成できそうな目標ではチャレンジする気が起きません。逆に、高すぎると失敗した時の恐怖を感じて、やはりチャレンジする気力が失われてしまいます。ポイントは、チャレンジすれば何とか届く高さとすることです。その結果、「よし、やってやろう」というメンバーのモチベーションを引き出すことになります。
また、目標設定においては、測定できる目標とすることが必要です。新しい事業や戦略を遂行する時には、特にそうする必要があります。測定できなければ管理できませんし、評価もできません。場合によっては、幾つかの中間目標を設定し、目標達成に向けてのフォローを丁寧に行うことも大切です。


(3)説得する力

新しい事業や戦略を成功させるためには、周囲の人を巻き込んでいくことがカギとなります。経営層はもちろん、多くの関係者のコミットメントが得られることにより、成功する可能性が高くなります。しかし、組織では巻き込むべき人の数が増えれば、それだけ説得が難しい状況に置かれます。
人を説得する際に、自分はこう思うと強く主張するだけではどうにもなりません。説得する相手の考え方や価値観の特徴に合わせて、出方を変えていく必要があります。営業活動で顧客ごとに売り込み方を変えるのがセオリーであるように、相手によって説得の仕方を変えることが大切です。
相手を説得するには、まずは相手をよく知ることです。相手のキャラクターの特徴や置かれた立場、さらには潜在的に求めているものを理解することです。それらを踏まえて、自分の出方を考え、変える必要があります。さもないと、説得が失敗に終わった時に、「考え方の違い」「立場の違い」などをその言い訳することになるだけです。「考え方」や「立場」は人それぞれであり、そうしたものは基本的に変えることはできません。これを言い訳にしていては、前に進めません。説得したいのであれば、相手の「考え方」「立場」などに配慮し、自分の主張を相手が受け止めやすい形に変えるコミュニケーションを心がけることです。


(4)反対意見に対応する力

組織において、新しいことをやろうとすると、反対する人が出てきます。いつの間にか「どうしても理解が得られない人」が増え、それが一大勢力となってしまうと、新しい事業や戦略の実行を指揮することができません。そこで、"プロフェッショナル・マネジャー"には、対立による影響をいかにして小さくするかが問われます。
そこで大事なのは、反対意見を主張する人をむやみに説得しようとするのではなく、相手がどのような考えを持ち、なぜ自分とは異なる意見を主張しているのか、きちんと理解しようとすることが必要です。人は誰しも自分の主張が正しいと思ってしまいがちですが、一度その前提に立ち返り、相手の意見のほうが適切かもしれない、という気持ちで対話をすることが大切です。
また、味方になってもらいたいと思うのであれば、まずは自分が相手の味方になることが必要です。相手が別の課題を抱えているのであれば、協力を惜しまないなど、相手が喜ぶようなことをして信頼関係を築くことも大切です。そうした行動を続けていくことで、対立を極力小さく抑えることができるでしょう。


(5)多様性を束ねる力

グローバル化が進んでいく時代にあって、これからは日本人だけで何もかもができる状況にならなくなってきました。多様な人材を率いていくことができるのが"プロフェッショナル・マネジャー"に欠かせない要件となってきます。
例えば、海外拠点の成長や業績を大きく左右する要因の一つが、現地における日本人管理職のマネジメント能力であると言われています。なぜならば、日本国内では当然と思われるような行動(指示・命令)や判断が異文化環境では受け入れられず、さまざまな問題を引き起こすケースが少なくないからです。
では、異文化環境でのマネジメントをどのように行っていけばいいのでしょうか。それには自分とは異なる考え方、価値観を否定せず、まずはそのまま受け入れることが大切です。なぜそのような考え方、価値観を持つようになったのか、その背景や理由について理解する努力をし、一度それを受け入れましょう。最初に相手を認めることにより、信頼を得やすくなります。その上で、目標を達成するためにより良いアプローチや方法は何なのか、共に考えていく場を設けることです。
このような相手への理解と協働する場の体験を積み重ねていくことが、多様性を束ねる力を向上させていくことにつながります。


(6)新しい事業を創造する力

経済は成長していく分野もあれば、衰退していく分野もあります。新しい成長分野というのは、自ら機会を見出し実践に移すというリスクを取ることから創造されます。未来の成長分野を創出していくためにも、現場では常にチャレンジを試みるトライ&エラーを続けることが大切です。このような新しい事業を創造する力を"プロフェッショナル・マネジャー"に求める企業が多くなっています。
ただ新しい事業を創造する力を育てていくには、通常行われる階層別研修など社内の研修だけでは難しいと考えられます。そのため、社外の研修に参加させることが有効です。手法としては実際のビジネスと連動させていく「プロジェクト・ラーニング」(経営層への事業提案などを主目的とした研修)のような実践型の研修が有効です。この研修では、グループワークなどを通して参加者に本気で新規事業を考えさせるトレーニングを行い、成果発表で自社の経営層への事業提案を行うといった内容が一般的ですが、大切なのはこれを単に研修だけで終わらせないことです。成果を発表したプロジェクトに対して、経営層に投資をするかどうかの意思決定を義務付けることです。それによって、自社の経営者も経営判断を求められることになるので、真剣に応えるでしょう。
また、実際に投資をするということが決まったら、提案者もそれを速やかに実行していかなければなりません。つまり、「プロジェクト・ラーニング」での成果がそのまま新規事業を起こすことにつながり、"プロフェッショナル・マネージャー"を育成する効果としては非常に大きいといえるでしょう。

管理職にとって経営からの課題に対応するのは大仕事ではありますが、チャンスでもあります。経営からの方針・戦略を正しく理解すれば、その範囲の中では自分の思う通りのことができるからです。もちろんリスクを取らなければならない場面も多々ありますが、その分、いろいろなチャレンジができます。
その際に考えておくべきことは、自分にはメンバーという大きな「財産」があるということです。メンバーとうまく協働することで何でもできると思えば、マネジメントする際の心持ちが大きく変わります。経営者的な視点から、いろいろとやりくりをしていこうと考えるようになります。そういう考えを管理職が強く持ち、意欲的なチャレンジを行っていくことにより、"プロフェッショナル・マネジャー"が育成されていきます。

配信申込⁄停止

“旬”なテーマで人材活用やビジネスに関するお役立ち情報をお届けします。メールマガジンの定期配信をお申込みのお客様は左のボタンからお気軽にどうぞ。

このページのトップへ

人材マネジメントライブラリ 一覧へ