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(情報掲載日:2012年11月20日)

人材マネジメントライブラリ

マネジャー必読の「書籍ガイド」

VOL.11

マネジメント層となるとプレーヤー時代とは違い、組織とそこで働くメンバーをいかにマネジメントしていくかが大きな課題となってきます。また、モノの見方を広げ、発想の幅を広げていくことが求められます。そのためのきっかけやヒントとなる書籍をご紹介します。

『ご機嫌な職場』

酒井穣(東洋経済新報社:2011年)

●「職場コミュニティー」を再構築するための方法を知る

2008年に発表された『不機嫌な職場―なぜ社員同士で協力できないのか』がベストセラーになりましたが、現在でも"不機嫌な職場"を解決するためのたくさんの施策がメディアを賑わせており、未だに多くの職場が同じ問題に悩んでいるようです。
このような状況下にあって、筆者は、弱体化している「職場コミュニティー」の開発に、今、具体的な施策を打たなければ、私たちの職場が抱えているギスギスした人間関係はますます悪化し、ついには組織そのものが機能しなくなる恐れもあると警鐘を鳴らしています。では、コミュニケーションが不十分で活気の失せた"不機嫌な職場"から、活発なコミュニケーションが交わされ、皆が周囲の人に関心を示し、お互いに切磋琢磨し、助け合っていこうとする"ご機嫌な職場"を作っていくためには、どのような施策を講じていけばいいのでしょうか。
本書では、9つの具体的な施策を紹介していますが、考え方の基本は社内でコミュニケーションが起こるような「場」や「仕掛け」を用意し、職場に血の通ったコミュニケーションを増やしていくということです。その際、職場の責任者であり、コミュニケーションの中心となるマネジメント層の意識改革が重要であるため、マネジメント層に対する職場コミュニケーション研修を実施することがポイントだと言います。自社として、あるべきコミュニケーションの形について、職場の中心となるマネジャー層が集まり、議論を交わし、グループ学習していくことにより、目指す職場のコミュニティーのイメージが共有されていくことになるからです。
筆者の会社で行った研修の例を見ると、「部署の垣根を超えて、社内の連帯感を持たせるきっかけとなるヒントがもらえた」「参加メンバーの考え方やアドバイスを持ち帰って、実行計画を練ってみようと思う」など、実際に研修に参加したマネジャーから非常に意識改革が図られたとの感想が記されています。
"ご機嫌な職場"を実現するためには、管理職が意識改革を行い、行動に移していくことがカギとなることが、本書を読むととてもよく理解できます。

『働かないアリには意義がある』

長谷川英祐(メディアファクトリー新書:2010年)

●「多様化」の必要性から組織のあり方を知る

働き者で知られるアリをよく観察していくと、7割はボーっとしているそうです。コロニー(集団)として見ると、アリにもいろいろなタイプがいることをうかがい知ることができます。そして、多様な役割を持つアリの存在が、コロニーを長続きさせるために必要不可欠であることを、本書の中ではいろいろなケースを例に取って証明しています。
アリのコロニーがこなさなければならない仕事はさまざまです。女王や幼虫、卵の世話から始まり、食料集め、巣の拡張や修繕、仲間の世話などいろいろなことをやらなくてはなりません。その上、仕事の一部はいつ何時、どのくらいの規模で必要となるかは決まっていないのです。そして、突発的に生じる仕事でも、適切にこなしていかないとコロニーにとって大きなダメージとなります。この点は、人の会社組織と同じです。突発的なトラブル、予期せぬ出来事に対応していくには、全員がギリギリで余裕のない状態で働いていると、うまくいかないケースが少なくありません。残業や休日出勤して対応していくにも、限界があります。人間の組織もアリのコロニーも、決まりきった仕事を決まりきったスケジュールでこなせばいいのではなく、突然に予定外の仕事が湧いて出てくることがあるのです。これを生物学では「予測不可能性」と呼びますが、アリのコロニーではそのことを前提とした人員配置をしているわけです。つまり、自然界では突発的に環境が変動するため、その時が来たら、すぐに対応できるようにするにはどうしたらいいのかを、事前に組み込んでいるのです。ここに、働かないアリの存在価値があります。
また、アリの中でも賢いアリと、賢くないアリがいます。賢いアリは餌の場所を知ろうとする場合、前のアリの後をたどって歩いていくそうです。しかし、それが最短経路とは限りません。そこで、賢くないアリの登場です。賢くないアリは、前のアリの後をたどらないことが多いため、道を間違えることも少なくないのですが、迷っているうちに近道を発見することが多々あるそうです。餌を確保する際、前のアリを追尾するばかりのアリがいるよりも、間違えるアリがある程度存在するほうが、巣へ餌を持ち帰る確率が高いというわけです。このように一見ムダのように思えても、多様性を持つことの重要性を示す例が、数多く記されています。
人間の社会にしても、同質的な人材ばかりがいる組織より、いろいろなタイプがいたほうが結果的に、より高い成果を生み出すことができることが少なくありません。アリのコロニーでの実験結果を見ていくことで、多様性の持つ意味を実感できる一冊です。

『99.9%は仮説』

竹内薫(光文社:2006年)

●固定観念にとらわれないことの重要性を知る

飛行機がなぜ飛ぶのかについて、実はよく分かっていないことが多いと筆者は言います。表面的には科学的な説明がされているように見えても、一般に知られている飛行機が飛ぶ仕組みには、科学的な根拠が希薄だというのです。飛行機が飛ぶという一見当たり前の事実でさえ、その本当の理由はさまざまな経験則による推測であり、「仮説」に過ぎないということなのです。
このようなことを、筆者はいろいろな例をあげて説明します。例えば、地球温暖化が起こる理由もよく分かっていないそうです。二酸化炭素が増えたから温室効果で地球が温暖化するといった説明がされていますが、それが100%正しいとは限らないのです。さらに言えば、地震が起きる原因についても、決定的なものはないと言います。結局、科学によって全てが解明されているだろうと思われていることも、突き詰めて考えていくと、実はよく分かっていないことがほとんどなのです。
ところが、私たちは「科学的にこうなる」と言われると、無批判に「そうなのか」と納得しがちです。しかし、筆者があげた例を見ても分かるように、「本当に分かっているのか」と追求してみると、意外と「実はよく分かっていない」「別の説もある」という状況のほうが多いのです。科学は絶対的なものごとの基準ではなく、あくまでも一つの見方、仮説に過ぎないのです。
そして、これは科学だけの分野に限りません。歴史や芸術、政治、経済も、あらゆるものが実は仮説に満ちているのです。世の中で当たり前と言われていることに対して、私たちは鵜呑みししていて、あまりに無批判であったのかもしれません。大事なのは、固定観念にとらわれないことです。そういった事実・実態に気づくか気づかないかによって、世の中の見方はがらりと変わります。世の中の見方が変われば、考え方や取るべき行動も変わってくると、筆者は訴えています。

『失敗の本質』

戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝生、村井友秀、野中郁次郎(中央公論新社:1991年)

●日本軍が犯した失敗から、現代の組織でのあり方を知る

マネジメントの分野では、「失敗学」が度々話題に上ります。なぜなら、成功体験よりも失敗体験から学ぶことが多いからです。「失敗学」とは、起きた失敗に対して責任を追及することに終始するのではなく、失敗が起きた原因をさまざまな角度から分析する学問のことです。そして、その原因を探るとともに、この教訓を次に活かすことを目的とするものです。この失敗学の古典として評価の高いのが本書です。
大東亜戦争(太平洋戦争)で日本軍が犯した失敗の特徴を、日本軍の戦略特性と組織特性という2つの柱に分類して、なぜ日本軍が失敗したのかをアメリカ軍と比較しながら解説しています。
1つ目の日本軍の戦略の特性としては、目的が不明確で短期的な視野だったことです。また、アメリカ軍の戦略策定が非常に演繹的(一般的原理から論理的推論により結論として個々の事象を導くこと)であったのに対し、日本軍はあまりに帰納的(個々の事象から事象間の本質的な因果関係を推論し、結論として一般的原理を導くこと)であったとも言われています。
2つ目の日本軍の組織の特性ですが、非常にインフォーマルで人的なネットワークが強力に機能していたことです。作戦をどうするかについても、組織としての判断ではなく、時として一個人の判断(独断)によって実行されることが多かったそうです。また、学習を軽視した組織であることを指摘しています。例えば、日本軍には組織の行為と成果の間にギャップがあった場合、それを是正して新たな組織に革新していく「自己否定学習」が欠けていました。
戦略面と組織面で日本軍が犯したとされる失敗の中には、現代の組織にも通じるものが実に多いことが分かります。長期的な展望に欠け戦略の目的が不明確であること、自己否定学習の欠如などは、現代の組織にもよく見られることではないでしょうか。日本軍の失敗は、単に日本軍に閉じた問題ではありません。その意味からも、本書は失敗から学ぶことの重要性を強く訴えています。

『ビジョナリーカンパニー』

ジェームス・C・コリンズ、ジェリー・I・ポラス(日経BP社:1995年)

●「ビジョナリーカンパニー」から成功するために必要な考え方を知る

時代を超えて持続する超優良企業(ビジョナリーカンパニー)が持つ共通要素を、膨大な調査分析から探った大著です。ドラッカーの『マネジメント』やポーターの『競争の戦略』などと並び、マネジメント層の必読書としてよく引用される一冊です。
時代を超えて成功し、一流企業として何十年もその地位を維持する企業、さらに世界中がその経営手法をモデルとするような企業を、ビジョナリーカンパニーと呼んでいます。そのような企業の共通点を、大きく8つのトピックで解説しています。
その中でもビジョナリーカンパニーを示す大きな特徴は、基本理念があることと、その質です。基本理念とは「我々は何者で、何のために存在し、何をやっているかを示すもの」ですが、ビジョナリーカンパニーは利益を超えた基本理念、すなわち「単なる金儲けを超えた基本的価値と目的意識」を有していると筆者は強く主張しています。
もちろん、企業が存続していく上で利益の確保は不可欠なものです。しかし、ビジョナリーカンパニーにとって、利益の追求は目標の一つではあっても、唯一最大の目的ではありません。利益を超えたもっと重要な目標を追求することが大切であるとしています。ビジョナリーカンパンニーはこのような考え方で経営されており、このような企業が時代を超えて成功し続けると著者は主張しています。本書ではこれ以外に7つのトピックが述べられています。このようなビジョナリーカンパニーの考え方を理解することは、管理職から次のステップ(上級管理職・役員)に進むためには必須と言えましょう。
さらに、本書の姉妹編である『ビジョナリーカンパニー2』では、平凡な企業がビジョナリーカンパニーに飛躍する過程を紹介しています。

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