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(情報掲載日:2020年5月18日)


日本人は、コミュニケーションにおいて本音と建前を使い分けているといわれてきました。しかし、グローバル化やインターネットの活用等が広がる今、ビジネスではスピードが求められ、より結論を早める本音でのやり取りが必要となっています。また、よい人間関係をつくるうえでも本音でのコミュニケーションは重要です。どうすればスムーズに本音でのやり取りを行い、そこに人間関係を構築できるのか。そのノウハウを学びます。

●これまでの日本は「ハイコンテクスト文化=察し合う文化」

コミュニケーションの文化を示す概念に、米国の文化人類学者エドワード.T.ホールが唱えたコンテクスト文化があります。コンテクスト(context)とは文脈という意味であり、コミュニケーションの基盤である言語、共通の知識、体験、価値観などを指します。言語依存度が低く、察し合える文化を「ハイコンテクスト文化」、言語依存度が高く、直接的でわかりやすさを好む文化を「ローコンテクスト文化」と呼びます。

では日本はどうかというと、日本には人と人の関係性を表す言葉として「阿吽(あうん)の呼吸」「空気を読む」といった言葉があります。これらは、言葉にしなくとも察することを良しとする、日本の「ハイコンテクスト文化」を表した言葉といえるでしょう。逆に欧米などは、言葉で直接的なわかりやすい表現が求められる「ローコンテクスト文化」といえます。ビジネスのグローバル化、インターネット化、ダイバーシティ化が進む現代においては、互いにコンテクストを共有することが難しくなりつつあり、より本音で語り合う、直接的なコミュニケーションが求められつつあります。

コンテクスト文化の違い


●ビジネスや組織における「本音」の役割

本音とは「本心から出た言葉(大辞林)」という意味です。ビジネスや組織における本音とは、仕事や取引を成功させたい思いから出る言葉であり、お互いにどんなメリットがあるのかを明らかにする会話につなげる言葉といえます。本音で語り合うことは、その仕事や取引が目指す理想、ビジョンを明確にする効果があり、また、本音を語ることが当事者同志の本気さ、前向きさを伝える効果があります。

ビジネスや組織で「本音」が表現するもの

・仕事や取引を行ううえで共有しておくべき事柄のすべて
・仕事や取引によって実現させたい理想やビジョン
・仕事や取引を互いに最大限メリットのあるものにしたいという前向きさ
・仕事や取引をぜひ成功させたいという本気さ
・ビジネスの相手や組織への信頼感


●本音によるコミュニケーションのメリット

本音でのコミュニケーションのメリットには次のようなものがあります。本音で話すことで、議論がスピードアップし、内容が深まり、互いの関係性を構築することが可能になります。議論を早期に深められることで新たなアイデアを導けるなど、より高度な仕事を行うこともできます。また、相手に本音で話すことで取り組みへの真剣さが増し、それが自身を成長させることにもつながります。

本音によるコミュニケーションのメリット

・自分が本音で話すことで、相手の本音を引き出すことができる
・双方が本音で話すことで、互いの意見を等しく聞けて、正当な話し合いができる
・議論を早期に深められ、新たなアイデアを導ける
・時間をかけずに相手との信頼関係が構築できる
・自分の本音が相手に伝わるため、より精査して話すようになり、自身が成長する
・仕事におけるフラストレーションが溜まりにくくなる

●「真摯に取り組む」「相手のことを考える」が大切

本音でのコミュニケーションでは「真摯に取り組む」「相手のことを考える」ことが大事になります。その第一歩は自分の本音をはっきりさせることです。自分の本音がはっきりしていれば、相手の普段の言動や行動から、それに対する相手の反応はある程度予測できます。そこから「なぜ相手がそのような反応になるのか」と理由を考えていくと、相手の本音が何かを想像できるようになるでしょう。互いの本音がわかれば相手との関係性や思いが明確になり、なぜ今本音のコミュニケーションが大事かという理由も自覚できます。そうした準備をしたうえで、「互いによい方向に向かうために行っている」ことを相手が納得するまで何度でも説明しながら、話を進めていきます。最終的に相手に選択権を与えるつもりで話すようにすれば、よりよい結果につながるはずです。


本音でのコミュニケーションの基本

・自分の本音は何なのかをはっきりさせておく
・相手の表情や顔色を読めないため、メールで伝えるのではなく直接会って話をする
・相手の普段の言動や反応から、本音を伝えても問題がない人かどうか、相手と自分の関係性をよく確認しておく。本音を伝えにくい相手の場合は、段階を踏んで、誤解のないように伝えていく。
・組織内では普段から、「メンバーが安心して自分の考えを自由に発言したり行動に移したりできる状態=心理的安全性」を構築しておく
・モノの言い方と言うタイミングを考えておく
・何のための話なのか、目的を考える
・確実に相手に内容を伝え、納得してもらう
・よい方向に向かわせるために話していることを伝える
・最終的には相手に選択権を与えるつもりで話をする

ちなみに、組織内で心理的安全性を構築するためには、「発言の機会を皆に均等に与える」「競争よりも協力し合う関係性を目指す」「普段からポジティブ思考を持つ」「新人はチーム全体で支援する」「組織内の風通しをよくする」といったことがポイントになります。

●互いに同レベルで「本音で語れている」と思えるバランスを感じる

自分が本音を言って話を進めるためには、相手にも本音を話してもらう必要があります。そのうえで相手とスムーズに話すには「お互いが同じようなレベルで本音を語れているな」と思える「本音のバランス」を感じる必要があります。そのため、自分が本音を話したらそれに対応する相手の本音を聞き出したり、自分が強い言い方をしたらフォローの言葉を入れたりと、全体のバランスを考えた話し方が重要になります。常に相手への配慮をしなければ、スムーズな本音の話はできません。

スムーズに相手に本音を伝えるコツ

・相手の立場に立った言い方をする
・自分が本音を言ったときは、その内容に対応する形で相手に質問し、相手の本音を引き出すようにする
・言いづらい内容であれば、たとえ話から始めたり、相手を気遣う言い方をする
・強い言い方になるときには、そのあとすぐにフォローの言葉を入れる
・相手を引きつけるような言い方や態度を意識する
・本音を伝えることが上手な人を観察し、言い方や態度をまねしてみる
・「自分が知った事実」「知ったときに思ったこと」「そう思った背景・理由」「そのうえで相手に要望したいこと」といった流れで話す



●伝える難しさを知れば、本音の会話はうまくなる

本音を伝えるうえで、もっとも難しい媒体といえるのがSNSです。SNSを読んでいると、誤解を招かずに本音を伝えることがいかに難しいかがわかります。SNSの特徴は「文章で伝える」「基本的に文章は短い」「言葉のトーンが伝わりにくい」「相手の表情が見えない」「基本的に相手に突然伝わる」などです。実際にSNSにある文章を読んでみると、さまざまな捉え方ができたり、どんなトーンで言っているのかわからない例が多いことに気付きます。ですから、本音をスムーズに伝えるには、これらと逆のことを行うのが効果的です。例えば「相手に会って、言葉で伝える」「物事の前後を伝える」「言葉のトーン、話すときの表情を大事にする」といったことがポイントになります。本音を語るうえで、その本音が誤解されることは実に怖いことだといえます。

インターネットという文字によるコミュニケーションが広がることで、本音を伝える難しさが増している現実があります。だからこそ、対面での本音のコミュニケーションが重要であり、今後その価値はより高まるでしょう。相手を気遣いながら自分の本音を伝えることは、相手の本音を引き出し、相手のことを自分と同様に大切に思うことにつながります。本音を交わすことが、よい人間関係を構築することにつながるのです。

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