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(情報掲載日:2012年1月23日)

人材マネジメントライブラリ

社員の「モチベーションアップ」を実現するマネジメント法

「やる気」をうまく引き出すアプローチとは?

VOL.1

多くの企業の間で、働く人の「モチベーション」をいかに高めていくかが大きなテーマとなっています。最近特に問題となっているのは若い人たちを中心に、生活や仕事に対する意識が変化してきたためか、これまでのマネジメントの方法ではなかなか「やる気」になってくれないことです。では、どのようにしたら社員は高いモチベーションを持って、働いてくれるのでしょうか?そこで、社員のモチベーションをアップさせる方法について、紹介していきます。

モチベーションとはどういうことか?

企業間競争が激化している中で、人材が企業にとってかけがえのない経営資源であることは言うまでもありません。何より、組織目標を達成し、持続的な成長を実現していくためには、社員のモチベーションを高め、現場力・組織力の強化へとつなげていくことが求められています。

まず、モチベーションとはどういうことなのかを、整理してみることにしましょう。モチベーションは日本語で「やる気」とか「動機づけ」と訳されることが多いのですが、その意味するところは、人間の気持ちを喚起し、方向付け、行動を促していく要因のことです。1950年代にアメリカで広く研究が行われており、特に有名なのが、マズローの「欲求段階説」、ハーズバーグの「衛生理論、動機づけ理論」で、日本にも広く紹介されていきました。

【マズロー(1908〜1970)の「欲求段階説」】

マズローは人間の持つ内面的な欲求を、「第1段階:生理的欲求(食欲や性欲などの欲求)」「第2段階:安全・安定の欲求(安定した生活を営む欲求)」「第3段階:親和の欲求(集団に帰属する欲求)」「第4段階:自我の欲求(他人に認められたいという欲求)」「第5段階:自己実現の欲求(自分の能力を最大限に発揮したいという欲求)」の5つに分けて考え、人間は低次の欲求が満たされると、徐々により高次の欲求を求めるようになるという理論を提唱しました。


【ハーズバーグ(1923〜2000)の「衛生理論、動機づけ理論」】

ハーズバーグの理論は、マズローの考えをさらに進めた形です。仕事に対する満足度というのは、ある特定の要因が満たされると上がり、不足すると下がるといった単純なことではなく、満足に関わる要因(動機づけ要因)と、不満足に関わる要因(衛生要因)は別のものであるとしています。つまり、仕事の満足感を引き起こす要因と、不満を引き起こす要因は違うということ。報酬などの衛生要因をいくら向上させたとしても、それが必ずしも満足感を引き出すことにはつながらず、不満足感を減少させる効果しかないというわけです。だからこそ、仕事の満足感を引き出すにためには、動機づけ要因にアプローチしていくことが大切である、ということを提唱しています。

能力が高くても、必ずしも仕事の成果に直結するとは限りません。せっかくの高い能力も、やる気がなければ宝の持ち腐れです。このようなモチベーションの“効用”が分かっているからこそ、各企業ではモチベーション対策に力を入れ、さまざまな施策を講じてきました。それにもかかわらず、多くの日本企業でモチベーションが低下しているといわれています。いったい、原因はどこにあるのでしょうか?

「金銭的な報酬」がモチベーションを低下させた

そのカギを解くために、これまで日本では何がモチベーション向上のキーとなってきたのか、その推移を見てみましょう。

第二次世界大戦後、日本の職場では長らく「忠誠心」を重視する時代が続きました。高度経済成長の時代、社員は猛烈に働いて会社に対して滅私奉公する代わりに、会社は社員を終身雇用の下、大切に保護してきたわけです。ただ、このような社員と会社の“親子”とも呼ぶような関係も、高度経済成長が鈍化し、バブル経済が崩壊するとともに失われていきます。

代わって台頭してきたのが「成果主義」です。1990年代の半ば頃から、アメリカ式の実績を重んじ信賞必罰をよしとする考え方が一気に導入され、人と組織の関係が大きく変わっていったのです。会社と社員をつなぐものは「忠誠心」から、「コミットメント(責任ある約束)」へシフトしていきました。常に自己責任が問われ、社員と会社の関係はドライな“主従関係”へと変貌していったというわけです。ベースとなる人事評価制度も、金銭的な報酬に目を向けていきました。年功的な職能給から、職務給や成果給、さらに管理職を中心に年俸制を導入する企業が増えていったのは周知の通りです。そしてこの頃から、モチベーションの低下が頻繁に言われるようになってきました。

事実、多くの企業では金銭に基づく成果主義的な人事評価制度は、あまり機能しませんでした。それにはいくつか理由が考えられます。まず、金銭そのものの魅力が下がってきたことが挙げられます。昨今のようなモノが溢れた成熟社会で育った人たちは、金銭よりも精神的な充足を求める傾向が強くなっています。例えば、新入社員の会社選択理由などを見ると、「自分を成長させる環境がある」や「仕事が面白い」「世の中に役立っていることを実感できる」といった項目を優先する人が多くなっています。他方、金銭的な理由は相対的に低下してきています。

そもそも成果主義を企業文化や組織風土の違う日本にいきなり持ち込んでも、うまくいくはずがありません。逆に、メンタルヘルスを病んだり、評価に対する不満が鬱積してコミュニケーション不全を起こす職場が増えてきています。その弊害は「不機嫌な職場」などと称され、いろいろな形で表面化してきています。これではモチベーションは下がる一方です。

モチベーションをアップさせるマネジメントとは?

それでは、これから日本企業はどのようなマネジメントを目指すべきなのでしょうか。現実問題として、精神的な充足を求める人が増えてきた以上、これまでのような金銭をベースとしたモチベーション対策を続けていくことは難しいと思われます。だからこそ、金銭以外のモチベーションを探していくことが不可欠となっています。では、「非金銭的な報酬」とは、具体的にどのようなことなのでしょうか?

ここで、いくつかの考え方や施策を紹介しましょう。近年、成果主義の見直しを行っているアメリカの企業で重視しているのは、「トータルリワード」というものです。金銭では得ることのない“報われ感”を報酬として与える、という考え方です。具体的な内容としては、以下の6項目が挙げられています。

【トータルリワード】

①感謝と認知
②仕事と私生活の両立
③企業文化や組織の体質
④成長機会の提供
⑤労働環境の整備
⑥具体的行動の明確な指示

また、財団法人労務行政研究所が人事担当者を対象に行ったアンケート調査によると、非金銭的な報酬を具体的な内容へと盛り込んだ施策が記されてあります。それが、以下の「やる気」を高める8つのポイントです。

【「やる気」を高める8つのポイント】

①会社のビジョンや将来像を明確に示し、現場に浸透させる
②役割や業務分担を明確にした上で、権限委譲を進める
③「仕事を選べるようにする」以前に、「会社からの期待を示す」ことが重要である
④仕事を円滑に進めるための基礎教育を徹底していく
⑤評価者の評価能力とコミュニケーション力を高め、人事評価のフィードバックに十分な時間をかける
⑥社員の能力や働きぶりを“認める”機会を増やす
⑦仕事に没頭する期間と、仕事を離れてリフレッシュする期間のメリハリを付ける
⑧制度(施策)に対する社員の評価や意見に耳を傾け、「適切な運用」に力を注ぐ

「働きがいを喚起 社員モチベーションアップの新施策」(労政時報別冊)より

そのほかに、成長著しいベンチャー企業などでは、「世界を変える」「オンリーワンになる」「イノベーションを起こす」「社会に役に立っている」「成長している実感を持てる」「自分の意見・考えを言う機会があり、尊重してくれる」といった仕事に対する“ワクワク感”や“衝動”が、働くことの最大のモチベーションとなるケースが多く見られます。

このように見ていくと、企業文化・価値観の共有、仕事そのものの楽しさや面白さを感じられる仕組み、業務遂行における頻繁なコミュニケーションやフィードバック、挑戦的で意欲的な取り組みに対する賞賛や表彰など、さまざまな角度からの非金銭的な報酬による内発的な動機づけが必要となってくることが分かります。

非金銭的な報酬にはいろいろな種類・特徴があります。効果を最大限にするために大切なのは、自社の構成員の特徴や傾向をつかみ、その人たちがモチベーションアップできる施策やマネジメントの仕組みを考えていくことです。

上司のコミュニケーション力が、モチベーションを大きく左右する

以上、幾つかの視点からモチベーションについて見てきましたが、数ある施策を実行していく上で、「上司」というのが非常に大きい存在だといえます。例を挙げると、昨今の若手社員が簡単にやる気をなくしてしまうという話をよく聞きます。これには若手社員側に問題がある場合もありますが、上司のコミュニケーション力が無い点も見逃せません。若手社員に何か問題があったりすると、まず頭ごなしに怒るようなケース。この点について言えば、明らかに上司の説明能力としての「言葉」が足りません。今まで育ってきた環境や価値観の違う若手社員に対して、言葉を尽くさずに自分の意図を察してもらおうという点に、少なからず問題があります。

そのため、明確に意図を伝えられるコミュニケーション能力が上司には求められてきています。それにはまず、部下の仕事に対して徹底的に「言語化」して対応していくことです。仕事の目的や具体的な方法論、それを成し遂げた結果、どのような評価や成長が期待できるのか、これらを一つひとつ言葉で明確に説明していくことです。そのためにも、日頃から部下をよく知ることが大切になってきます。

例えば、部下に対するフォーマルな評価面談が半年に1回だとしても、インフォーマルでガス抜き的な面談を1カ月に1回行うだけで部下とのコミュニケーションは図られ、お互いの信頼関係が醸成されてくることでしょう。さらに、お互いの「目線」や「ベクトル」を合わせていくことができれば、ハードルの高い目標を設定したとしても、部下は自発的にチャレンジしていくことでしょう。

結局のところ、上司が部下に対してキメ細かなマネジメントを行うことが、何よりのモチベーションアップにつながります。だからこそ、普段から上司の部下に対するコミュニケーションの量と質を上げていくこと。これが、数あるモチベーション施策の中でも、社員のやる気を引き出す最大の方法ではないでしょうか。

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