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熱中症に関する疑問を解決

(情報掲載日:2011年7月20日)

Q1熱中症とはどのような症状を言いますか、またどのようなときに発症しますか?
A1

熱中症とは、高温多湿な環境下において、体内の水分及び塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻するなどして発症する障害の総称で、以下のような症状が現れた場合には熱中症を発症した可能性があります。

重症度 症状
T度
(重症度小)
めまい・失神(立ちくらみ)
筋肉痛・筋肉の硬直(こむら返り)
大量の発汗
U度
(重症度中)
頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感
からだがぐったりする、力が入らないなどの状態
V度
(重症度大)
意識障害・けいれん・手足の運動障害
呼びかけや刺激への反応がおかしい、ガクガクと引きつけがある、まっすぐに歩けないなどの状態
高体温(身体に触ると熱いという感触がある)

引き起こす条件 ・気温が高い
・湿度が高い
・風が弱い
・日差しが強い
なりやすい場所 ・高温
・多湿
・風が弱い
・輻射源(熱を発生するもの)がある
なりやすい人 ・脱水状態にある人
・高齢者
・肥満の人
・過度の衣服を着ている人
・普段から運動をしていない人
・暑さに慣れていない人
・病気の人、体調の悪い人
Q2熱中症になりやすい環境かどうかを判断する上で、目安になるものはありますか?
A2

職場環境が熱中症になりやすい環境かどうかを判断するためには、職場や作業場の湿度と温度との相関関係を把握しておく必要があり、その指標としてWBGT値(暑さ指数)が使用されています。WBGT値とは、人体の熱の出入りに大きな影響を与える【湿度】、【輻射熱】(太陽の放射熱が物体に吸収されて生ずる熱)、【気温】の3つを取り入れた指標で、乾球温度、湿球温度(濡れガーゼで覆った温度計の温度)、黒球温度(黒球の真中の温度)の値を使って算出します。

環境 WBGT値の算出式
(1)屋内の場合及び屋外で太陽照射のない場合 WBGT値=0.7×自然湿球温度+0.3×黒球温度
(2)屋外で対象照射がある場合 WBGT値=0.7×自然湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度

このWBGT値に基づいて熱中症になりやすい状態なのかどうかの判断を行います。

日常生活上ではWBGT値が「31℃以上なら危険、28〜31℃未満なら厳重警戒、25〜28℃未満なら警戒、25℃未満なら注意」とされていますが、労働作業の作業内容に応じて基準が変わります。WBGT値が下表の「身体作業に応じたWBGT値の基準値」を超える場合には熱中症が発症するリスクが高いと言えます。

◆作業内容(身体作業強度)別のWBGT基準値
身体作業強度(代謝率レベル)の例 WBGT基準値
熱に順化している人(*) 熱に順化していない人(*)
0.安静状態レベル 33 32
1.低代謝率レベル
・楽な座位
・軽い手作業(書く、タイピング、描く、縫う、簿記)
・手及び腕の作業(小さいベンチツール、点検、組み立てや軽い材料の区分け)
・腕と足の作業(普通の状態での乗り物の運転、足のスイッチやペダルの操作)
・立位
・ドリル(小さい部分)
・フライス盤(小さい部分)
・コイル巻き
・小さい電気小巻
・小さい力の道具の機械
・ちょっとした歩き(速さ3.5km/h)
30 29
2.中代謝率レベル
・継続した頭と腕の作業(くぎ打ち、盛土)
・腕と脚の作業(トラックのオフロード操縦、トラクター及び建設車両)
・腕と胴体の作業(空気ハンマーの作業、トラクター組立て、しっくい塗り、中くらいの重さの材料を断続的に持つ作業、草むしり、草掘り、果物や野菜を摘む)
・軽量な荷車や手押し車を押したり引いたりする
・3.5〜5.5km/hの速さで歩く
・鍛造
28 26
3.高代謝率レベル
・強度の腕と胴体の作業
・重い材料を運ぶ
・シャベルを使う
・大ハンマー作業
・のこぎりを引く
・草刈り
・掘る
・硬い木にかんなをかけたりのみで彫る
・5.5〜7.5km/hの速さで歩く
・重い荷物の荷車や手押し車を押したり引いたりする
・鋳物を削る
・コンクリートブロックを積む
A B A B
25 26 22 23
4.極高代謝率レベル
・最大速度の速さでとても激しい活動
・おのを振るう
・激しくシャベルを使ったり掘ったりする
・階段を登る、走る、7km/hより速く歩く
23 25 18 20

*…順化していない人とは、作業する前の週に毎日暑い環境にさらされていない状態の人で、順化している人とは、作業する前の週に毎日暑い環境にさらされていて、身体が暑さに慣れてきて身体機能が対応できる状態の人を指す
A:気流を感じないとき B:気流を感じるとき

暑さ指数となるWBGT値を把握するためには、WBGT値測定器を設置して計測することが確かな方法です。また測定器によっては自動的に危険度を知らせるものもありますので、測定器を有効活用して熱中症を防ぐことができれば、従業員の健康の確保と労働災害防止にもつながります。

なお、平成23年6月1日から9月30日までの期間は、以下の環境省のWebサイト上にWBGT値の予測値や実況値等について掲載されますので、こまめに確認するとよいでしょう。

環境省 熱中症予防情報サイト
予測値 http://www.nies.go.jp/health/HeatStroke/prev/index.html
実況値 http://www.nies.go.jp/health/HeatStroke/est/index.html

Q3熱中症の予防について事業者として職場でとるべき対策にはどのようなものがありますか?
A3

まず発症しやすい現場の作業環境管理や作業管理を行うことが重要です。また日ごろからの従業員の健康管理や健康状態の把握および労働衛生教育等を行っていくことが必要です。

1.作業環境管理

  • (1)WBGT値の低減等(高温多湿作業場)
    ・発熱体と労働者の間に熱を遮へいする物等を設ける
    ・直射日光、周囲の壁面・地面からの照り返しを遮ることができる簡易な屋根等を設ける
    ・適度な通風または冷房設備を設け、屋内では除湿機能も設けることが望ましい
    WBGT値について随時計測を行うほか、予測値にも留意し、その値がWBGT基準値を超えるおそれがある場合には、作業計画の見直し等を行う。
  • (2)休憩場所の設備等(高温多湿作業場または近隣に設置)
    ・冷房を備えた休憩場所又は日陰等の涼しい休憩場所を確保する
    ・水、冷たいおしぼり、水風呂、シャワー等の物品および設備を設ける
    ・水分・塩分を定期的に補給できるように飲料水の備付け等を行う

2.作業管理

  • (1)作業時間の短縮等
    ・作業の休止時間、休憩時間を確保し、連続作業時間を短縮する
    ・身体作業強度が高い作業を避ける
    ・作業環境に応じて作業場所の変更を行う
  • (2)次の場合には熱への順化期間を設ける
    ・梅雨から夏季になる時期で気温等が急に上昇した高温多湿作業場での作業
    ・新たに作業を行うとき
    ・長期間当該作業場での作業を離れていたものが再従事するとき
  • (3)水分および塩分の摂取の徹底
    ・水分および塩分の作業前後の摂取および作業中の定期的な摂取を指導する
    ・労働者の水分・塩分摂取確認表の作成
    ・作業中の巡視における摂取確認(加齢・疾患者など自覚症状の乏しい者に注意)
    ・塩分等の摂取制限者については主治医・産業医に相談する
  • (4)被服等
    ・透湿性および通気性の良い服装を着用させる
    ・熱吸収や保熱しやすい服装を着用させない
    ・直射日光下での通気性のよい帽子の着用
  • (5)作業中の巡視
    ・定期的な水分塩分摂取の確認
    ・熱中症を疑わせる兆候者の早期発見による作業中断と適切な措置
  • (6)作業を管理する者及び関係労働者へのWBGTの周知
    ・作業場所のWBGTの値が作業内容に応じて設定されたWBGT基準値を超えた場合には、熱中症が発生するリスクが高まること及び熱中症の予防措置を徹底することが特に重要であることの周知を図る
  • (7)中高年齢労働者への配慮
    ・WBGT基準値は、成年男性を基準に設定されていることから、労働者の年齢に合わせた作業強度を設定する
    ・中高年齢労働者は、加齢に伴い、脱水していても口渇き感が少ないことがあることから、進んで水分を摂取させる

3.健康管理

  • (1)健康診断に基づく対応等
    ・熱中症の発症に影響を与える糖尿病、高血圧症、心疾患、腎不全等に対する適切な検査等を行う。
    ・上記検査で異常所見があるときには産業医等の医師の所見を確認したうえで就業場所の変更や作業の転換等を実施
  • (2)日常の健康管理
    ・睡眠不足、体調不良、前日の深酒、朝食の未摂取などがないように健康管理指導を行う
    ・熱中症の発症に影響を与える疾患を持つ者に対して本人から申し出を行うよう指導する
  • (3)労働者の健康状態の確認
    ・作業開始前の労働者の健康状態確認
    ・作業中の定期的巡視による確認
    ・労働者相互に健康状態を留意させる
  • (4)身体状況の確認
    ・休憩場所等に体温計、体重計等を備え、身体の状況をすぐに確認できるようにしておく

4.労働衛生教育

  • 次の各事項について周知教育を行う
    ・熱中症の症状
    ・熱中症の予防方法
    ・緊急時の救急措置
    ・熱中症の事例
Q4熱中症を防ぐために従業員に日頃からどのようなことを意識させなければなりませんか?
A4

日頃から以下のことを意識しておくようにさせましょう。

暑さを避ける 日陰を選んで歩いたり、帽子・日傘の利用。
室内では扇風機や空調を使う。
服装を工夫する 汗を吸って服の表面から蒸発させることができる吸汗・速乾素材や軽・涼スーツを活用する。
こまめに水分を補給する 汗の原料は血液中の水分や塩分なので、体温調節に備えるために、汗で失った水分や塩分を適切に補給する。
急に暑くなる日に注意する 梅雨明けの7月下旬から8月上旬に多発する傾向があるので、特に急に暑くなった日に屋外で作業したり、久しぶりに暑い環境で働く場合には熱中症にかかりやすので注意する。
体調に注意する 朝食抜きや深酒、睡眠不足や体調不良になると脱水状態になりやすいので、ならないように日頃から体調管理を行うようにする。
Q5熱中症(その疑いのある)発症時の応急処置にはどのようなことをすればよいでしょうか?
A5

以下のように応急処置を行います。

応急処置

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