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労働災害に関する疑問を解決

(情報掲載日:2012年1月23日)

Q1労働災害とは何ですか。
A1

労働者が業務の最中や通勤途上で発生した事故や災害などが原因で、負傷したり、疾病にかかったり、死亡したり、後遺障害が残ったりした場合は、労働災害(以下労災という)という取り扱いをします。

労災は、以下のように「業務災害」と「通勤災害」の二つに分けられます。

  業務災害 通勤災害
内容 本来の業務や業務に通常付随する行為が原因で生じた負傷、疾病、障害、死亡 通勤時に起きた災害
要件 業務起因性(業務と傷病との間に一定の因果関係があること)と業務遂行性(労働契約に基づき事業主の支配下にある状態(例 就業中、休憩中、出張中))があること 職場と住居との間を合理的な経路および方法で行き来していること

いずれにしても労働災害に該当した時には労働者は速やかに事業主に届け出を行い、事業主も速やかに手続きを進めることが必要です。

<労災発生時の事業主の手続>
種類 手続き等
業務災害 療養補償給付手続きに必要な書類作成
休業日数が4日以上の場合には死傷病報告書を遅滞なく提出
休業日数が1〜3日の場合は、死傷病報告書を四半期ごとにとりまとめ、期間終了翌月末日までに提出
(休業開始後3日間は事業主が休業補償する義務あり)
通勤災害 療養給付手続きに必要な書類作成

業務災害に対して補償されるのは、事業主の支配下において労働の提供を行う労働者の災害についてですが、過労死などにおいても、その要因が事業主の支配下によるものと認められた場合に、業務災害として認定されるケースがあります。

Q2労働者災害補償保険制度の概要について教えてください。
A2

労災を被ったすべての労働者には、労働者災害補償保険法(以下労災保険と省略)が適用され、労働者本人およびその家族の生活の安定を保障するために必要な保険給付が行われます。正社員・パート・アルバイトなどの雇用形態にかかわらず、一人でも労働者を使用する事業主は、原則として労災保険への加入を義務づけられています。本来なら労働基準法により事業主にその治療代や休業補償が義務付けられていますが、事業主の負担を緩和し労働者に対する補償が迅速確実に行われることを目的に国が保険事業主となり、事業主が保険料を負担する労災保険制度が整備されました。

◆労災保険の事業内容
保険給付事業 社会復帰促進等事業
業務災害に関する保険給付
通勤災害に関する保険給付
二次健康診断等給付
社会復帰促進事業
被災労働者等援護事業
安全衛生確保等事業

<保険給付>

業務災害と通勤災害では給付金の名称が異なり、下表の給付名称で( )を含めた名称が業務災害に関する給付名称で、( )を含めない名称が通勤災害の給付名称となります。

給付名称 給付概要
療養(補償)給付 労働者の業務上(通勤途上)の負傷や疾病により病院等で治療を受けた場合にその療養費を給付
休業(補償)給付 労働者の業務上(通勤途上)の負傷や疾病により療養のために休業する期間について賃金が受けられない場合に給付(賃金を受けない4日目から支給、業務災害での3日間は労働基準法により事業主に負担義務がある)
傷病(補償)年金 療養開始後1年6ヶ月を経過した時点で一定の状態(傷病等級1級〜3級)に該当した場合に給付
障害(補償)給付 傷病が治癒したときに一定の障害状態が残った場合にその障害状態に応じて障害(補償)年金(障害等級1級〜7級)か障害(補償)一時金(障害等級8級〜14級)を給付
介護(補償)給付 障害補償年金又は傷病補償年金の受給者で、介護を要する場合に給付
遺族(補償)給付 労働者の業務上(通勤途上)の負傷や疾病が原因で死亡した場合に生計を維持していた遺族に対して給付(年金)
葬祭料 死亡労働者の葬祭費用を填補するために給付
二次健康診断等給付 事業主の行う定期健康診断等のうち直近のもの(一次健康診断)において、次のいずれにも異常の所見が該当する場合
(1)血圧測定、血中脂質検査、血糖検査、腹囲の検査又はBMI(肥満度)の測定
(2)定期健康診断以前に脳血管疾患または心臓疾患の症状を有していないと認められること

<社会復帰促進等>

労災保険では、保険給付のほかに被災労働者の方の社会復帰の促進と被災労働者の方やその遺族の方の援護を図るため、社会復帰促進等事業や安全衛生確保等の事業を行っています。

事業名 内容と具体例
社会復帰促進事業 a) 外科後処置    
b) 義肢等の支給 
c) 振動障害者社会復帰援護金の支給
d) 振動障害者雇用援護金の支給
e) 振動障害者職業復帰促進事業特別奨励金の支給
f) 長期療養者職業復帰援護金の支給
g) 社会復帰促進等事業としてのアフターケア
h) 職能回復訓練
i) 労災はり・きゅう施術特別援護措置
・傷病が治ゆ(症状固定)すると、その後の療養費は支給されないが義肢を装着するための断端部の再手術や、顔面などの醜状を軽減するための再手術が必要なときは、外科後処置が受けられる
・四肢の亡失など身体に障害が残った方の、労働能力の回復と社会復帰の促進を図るため、必要があると認められる方に対して義肢その他の補装具の費用の支給(修理)を実施
被災労働者等援護事業 a) 特別支給金の支給
b) 労災就学等援護費の支給
c) 労災就労保育援護費の支給
d) 休業補償特別援護金の支給
e) 炭鉱災害による一酸化炭素中毒による介護料の支給
f) 労災療養援護金の支給
・被災労働者の遺族及び重度障害者の子弟等に対し、その就学・就労保育について援護を図るため、一定の要件のもと労災就学援護費・労災就労保育援護費の支給を行う
※支給額は、月額 要保育児・小学生12,000円、中学生16,000円、高校生18,000円、大学生39,000円(通信制大学生30,000円)で、年金と併せて支給される
・せき髄損傷者、一酸化炭素中毒者及び頭部外傷者等の方で障害(補償)給付を受けている方にアフターケアの実施(診察・保健指導・保健のための薬剤の支給・検査・保健のための処置など)
安全衛生確保等事業 ・労働災害防止対策の実施
・災害防止団体に対する補助
・救急薬品の配布
・未払賃金の立替払事業の実施

◆労働者災害補償保険料の負担

健康保険・厚生年金保険・雇用保険は保険料を事業主側と労働者側双方が負担しますが、労災保険料については全額事業主負担となっています。労災保険料は雇用保険料と合わせて労働保険料として納付します。
保険料率は過去の事故率や業種によって異なります。また事業場の過去3年間の業務災害の発生頻度によって保険料が増減するメリット制を導入していますので、業務災害の発生率が低い事業主ほど保険料率が低くなります(下限あり)。

Q3労災を防ぐために事業主としては何をしたらよいですか。
A3

事業主は、労働災害の防止のために危害防止基準の確立、責任体制の明確化、自主的活動の促進の措置を講ずるなどにより、労働者の健康と安全を確保すること、快適な職場環境の形成を促進しなければなりません。このような職場における労働者の安全と健康を確保し、労働災害を防止することを目的に制定された法律を「労働安全衛生法」といいます。労働安全衛生法では、事業主に対して安全衛生面での労働条件の基準を示しているほか、職場の安全・健康の保持、機械・原材料の製造・流通にかかわる労働者および危険な工事の元請け業者などに対しても様々な業務を課しています。併せて厚生労働大臣による労働災害防止計画の策定、事業主に対する国の支援措置など、行政上の施策についても規定されています。

◆労働安全衛生法に基づく措置

事業主は、労働安全衛生法に基づき、以下の措置を講じることが必要です。

  • (1) 安全衛生管理体制を確立するため、事業場の規模等に応じ、安全管理者、衛生管理者及び産業医等の選任や安全衛生委員会等の設置が必要です。
  • (2) 事業主や発注者等は、労働者の危険または健康障害を防止するための措置を講じる必要があります。
  • (3) 機械、危険物や有害物等の製造や取扱いに当たっては、危険防止のための基準を守る必要があります。
  • (4) 労働者の就業に当たっては、安全衛生教育の実施や必要な資格の取得が必要です。
  • (5) 事業主は、作業環境測定、健康診断等を行い、労働者の健康の保持増進を行う必要があります。
  • (6) 事業主は、快適な職場環境の形成に努めなければなりません。

上記以外に事業主は、メンタルヘルスケアを推進するため、厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(※1)にしたがって「心の健康づくり計画」を作成するとともに、関係者に対する教育研修・情報提供を行い、職場環境等の改善、メンタルヘルス不調への対応、職場復帰のための支援を行う必要があります。

◆安全衛生管理体制の構築・労働者の健康確保

労働安全衛生法に基づく措置の中でも組織面での安全衛生管理体制の構築は重要です。労働安全衛生法では、事業場を一つの適用単位として、各事業場の業種、規模等に応じて、例えば、総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者及び産業医の選任を義務づけています。(選任については、その選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任し、遅滞なく所轄の労働基準監督署へ報告する必要がある)
そのほかに、労働者の健康確保のために、雇い入れ時の健康診断と定期健康診断の診断項目がそれぞれ定められています。事業主は、健康診断を受けた労働者に対し、その結果を通知しなければなりません。所見があると診断された労働者については、健康を保持するための必要な措置について、3ヵ月以内に医師又は、歯科医師(産業医の選任義務がある事業場は産業医)の意見を聞き、その内容を健康診断個人票に記載しなければなりません。

Q4人材派遣会社から派遣労働者を受け入れているのですが、安全衛生管理上何かすべきことはありますか。
A4

派遣労働者は労働基準法、労働安全衛生法等の労働関係法令が当然に適用されます。原則として、派遣労働者と労働契約を交わしている派遣元(派遣会社)がその責任を負いますが、一方で派遣労働者を直接指揮命令して業務を行わせるのは派遣先であるので、その責任区分に応じて一部の労働関係法令について直接責任を負います。派遣先の事業場においては、事業場の管理者が派遣労働者の安全衛生についてはきちんと配慮していく体制をつくること、及び派遣労働者が孤立しないようにメンタル面でのケアをおこなうことが必要です。また派遣元と一体となって管理していくことも重要です。その点については、厚生労働省から「派遣労働者に係る労働条件及び安全衛生の確保について」(※2)という基本通達が発表されており、「派遣労働者の労働条件・安全衛生の確保のために」(※3)という資料に、派遣先が実施すべき重点事項などがまとめられていますのでご利用ください。

万が一派遣先事業場において派遣労働者が労働災害に被災した場合は、派遣先は死傷病報告書を作成の上所轄の労働基準監督署に提出し、その写しを派遣元へ提出する必要があります。

Q5労働災害防止に向けて強化したいと思いますが、参考となるものやサポート機関があれば教えてください。
A5

厚生労働省では以下のような安全衛生関係の各種リーフレットをHP上で公開しています。

◆2011年5月以降に発表・更新されたリーフレット(※4

  • 熱中症を防ごう!(2011年5月2日)
  • 地域産業保健センターをご活用ください(2011年5月2日)
  • すすめていますか?たばこの煙から働く人を守る職場作り(2011年5月13日)

また、厚生労働大臣によって5年に1回策定されている労働災害防止計画(※5)に基づき、都道府県労働局・労働基準監督署は、地域の労働事情に応じた労働災害防止策の啓蒙や相談を実施しています。

◆サポート機関
機関名 サポート業務内容
社会保険労務士会 職場における労働時間等に関する相談
(労働時間管理、安全衛生、健康確保等)
中央労働災害防止協会
安全衛生情報センター
安全衛生情報の提供を通じて、広く国民全般の労働安全衛生に対する関心を高め、事業場の安全衛生活動を応援
(財)労災保険情報センター 労災保険制度に関する相談
労災補償に関する相談
(財)労災サポートセンター 労災年金に関する相談
過労死に関する相談
地域産業保健センター 小規模事業場における健康確保に関する相談等
労災病院 勤労者 心の電話相談

これらの資料やサポート機関を有効に上手に活用しながら、労働災害防止策について積極的に取り組むことにより、労働者の健康と安全を確保し、快適な職場環境をつくっていきましょう。

ほかにも、労働災害や安全衛生に関わる内容を掲載していますのでご参考にしてください。

▼心の病―メンタルヘルス対策
http://www.tempstaff.co.jp/magazine/jhqa/vol19.html

▼パワーハラスメントと企業責任
http://www.tempstaff.co.jp/magazine/jhqa/vol17.html

▼感染症流行時の労務管理
http://www.tempstaff.co.jp/magazine/jhqa/vol12.html

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