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「心の病―メンタルヘルス対策」に関する疑問を解決

(情報掲載日:2012年1月23日)

Q1社員のメンタルヘルス不調の背景には、どのようなものがありますか?
A1

背景としては、まずIT技術の発展による職場環境の変化が挙げられます。これにより、“Face to Face”のコミュニケーションが不足しがちになり、仕事や職業生活に関する不安や悩みを一人で抱え、強いストレスを感じて心の病になる社員が増加しています。

また、近年の景気の悪化によって人員削減を行う企業が増えていることも背景の1つといえます。例えば、社員数の減少に見合うだけの企業全体の業務量の減少がない場合は、1人当たりの業務量が増し、過重労働になってメンタルヘルス不調を招くことがあります。

以上のような社会的な背景とは別に、責任感の強い性格、役職や業務における役割など、個人的な背景が引き金になることもあります。例えば、企業に対して忠誠心を持つ社員が仕事を抱え込み一生懸命長時間労働した結果、心の健康を害するケースや、昇進による環境や仕事の変化が心身に負担をかけて職場へ適応できなくなり、うつ病になるケース等です。

Q2企業としてメンタルヘルス対策に取り組む義務はありますか?
A2

企業は、労働基準法や労働安全衛生法などの労働関係法令によって、従業員の健康管理義務を負っており、社員のメンタルヘルス対策もその中に含まれています。

厚生労働省は「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(メンタルヘルス指針 ※1)を定めており、その一環として2006年4月に労働安全衛生法を改正し(※2)、「長時間労働者への医師による面接指導の実施」を義務化しました。労働安全衛生法等は、最低の労働条件を定める取締法規です。これに違反した場合は、一定の範囲で刑事罰の対象となります。

また、たとえ労働安全衛生法上の「長時間労働者への医師による面接指導の実施」など諸規定を遵守していたとしても、労働契約法上の「安全配慮義務」に違反していれば、これも問題です。安全配慮義務とは、業務の遂行に伴う疲労や心身的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務のことです。この義務を果たさず、従業員が疾病の発症等に至った場合は、企業が従業員に対して民事上の損害賠償責任を負うケースがあります。

以上のような法律の適用だけではなく、近年では業務に起因するうつ病などのメンタルヘルス不調で従業員が自殺に至り、企業の社会的責任(CSR)等が問われるケースも増えています。大切な仲間をそのような状況に追い込んでしまうことは会社にとって大変悲しいことです。またその悲しみは職場全体にも影響を与えるでしょう。
それに加えて、高額の損害賠償責任や対外的な企業イメージの低落など会社としても甚大な損失につながります。リスクマネジメントの観点からも、メンタルヘルス対策は企業の責務といえるでしょう。

Q3企業のメンタルヘルス対策は、どのように進めたら良いですか?
A3

企業がメンタルヘルス対策に取り組むにあたっては、まず、明確な計画やルールを策定することが重要です。以下のような点を盛り込んだ計画を立て、職場の実態に合った方法で効果的なメンタルヘルス対策を進めていきましょう。

経営者による意思表明と職場への周知
職場全体で効果的な対策を進めるために、まず経営者が、企業の方針としてメンタルヘルスケアを積極的に推進することを表明し、全社員に対して周知しましょう
実施計画の策定
衛生委員会等でメンタルヘルス対策に関する職場の現状とその問題点を明確にし、問題点を解決するための具体的な実施事項について計画を立て、十分に調査審議しましょう
教育研修や情報提供
メンタルヘルスケアが継続的かつ計画的に行われるよう、適宜、社員に対する教育研修や情報提供を行いましょう
4つの観点からのケア推進
職場環境の改善とメンタルヘルス不調への対応および職場復帰のための支援などが、円滑に行われるようにしましょう。その際、「本人によるケア」「管理監督者によるケア」「産業医・衛生管理者・人事労務管理スタッフ等によるケア」「メンタルヘルスケア推進のため相談機関・医療機関等によるケア」の4つの観点からメンタルヘルスケアを進めることが大切です(参照:厚生労働省の指針にある「4つのケア」※3
計画の改善
計画の実施状況の評価に重点を置き、見直しや改善を繰り返すことによって、事業場のメンタルヘルス対策を充実させましょう

自社の対策に不足がないか確認するときは、中央労働災害防止協会の「メンタルヘルス対策に係る自主点検票(※4)」が参考になります。

Q4心の病で休職した社員に安心して職場復帰してもらうためには、どうしたらいいですか?
A4

心の病で休職した社員は「職場復帰できるのだろうか?」という不安を抱えています。その焦りから無理をして復職し、その後に再発してしまうケースも少なくありません。

社員が安心して休養するために、企業は職場復帰支援の体制を整えておくことが重要です。厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(※5)に示されている職場復帰支援の流れに沿って取り組んでいくと良いでしょう。

<職場復帰支援のポイント(抜粋)>

  • 1.職場復帰支援プログラムの策定や関連規定の整備などで、休職開始から復帰までの流れを明確にすること
  • 2.労働者や管理監督者等に対して、職場復帰支援プログラム等についての周知を十分に図ること
  • 3.休職中、労働者が不安に感じている点について、十分な情報提供や相談対応を行うこと(例えば、職場復帰支援に関する事業所外のサービスや地域の公的制度に関する情報などを労働者に提供すること)
  • 4.職場復帰可否を主治医が適切に判断できるようにすることなどを目的に、主治医に対しても事前に職場の仕事内容や勤務制度等に関する情報提供を行うこと
  • 5.職場復帰支援後も主治医との連携を図ること
  • 6.職場環境等の改善や職場復帰支援への理解を高めるために、企業内でメンタルヘルスケアに関する基礎知識や心の健康問題に対する正しい態度についての教育研修をすること

職場復帰支援の体制を整える際には、就業規則等の内容を見直す必要もあるでしょう。復職の可否を決定する条件や判定者などを明確に定めていない場合は責任の所在があいまいになり、例えば上司の厚意によって十分な取り決めがないまま短時間ずつの勤務を再開してしまった場合などに、企業と復帰した社員との間にトラブルが生じるケースがあるからです。完全に復職できるまでの賃金や保険の扱いについても、会社としてどのような支援を行うのかを事前に規定しておくことが重要です。

例えば、先進的なA社では、メンタルヘルス対策として休職中の賃金補償に重点を置き、心の病で休職しても収入を心配せずに療養に専念できるような制度を整えています。さらに復職後1カ月は午前中のみ、2カ月目は15時まで、3カ月目はフルタイムというように勤務時間と仕事のレベルを除々に上げていく「リハビリ勤務」を設け、復帰後の不安も軽減しています。

こういった事例を参考に、それぞれの企業に実施可能な範囲内で着実に職場復帰の支援体制を整備していきましょう。

Q5社員の職場復帰支援に関する公的制度や民間団体によるサポートはありますか?
A5

公的機関にも民間にも、さまざまなサポート体制があります。
公的機関のサービスとしては、例えば、独立行政法人 高齢・障害者雇用支援機構が全国に設置している「地域障害者職業センター」があります。さまざまな障害のある人の就職や職場定着を支援している同センターでは、うつ病などによる休職者に対して、専門カウンセラーが復職準備をサポートする「リワーク支援」を行っています。

また、厚生労働省が設けている奨励金もあります。休職した精神障害者の職場復帰にあたって支援専門家を雇い入れたり社内の理解を促進したりするなど、働きやすい職場づくりを行った企業に奨励金を支給する「精神障害者雇用安定奨励金(※6)」です。取り組みごとに支給額も異なりますので、支給要件を確認の上利用を検討してみるのもよいでしょう。

最近は社会全体に、うつ病など心の病からの職場復帰を支援する動きが広がっており、民間サービスも多彩になってきています。その1つが、職場支援プログラムを持つ全国の病院や診療所が参加して効果的な支援のために必要な調査研究・啓発活動を行う「うつ病リワーク研究会」です。
この研究会に所属する医療機関の医療デイケアの例では、初期と復職間近とに分け、各段階に応じたきめ細かいケアを行っています。通所訓練で睡眠・生活のリズムをしっかり整えてから、パソコン作業など復職後に照準を合わせた実践的なプログラムで作業能力の回復を図り、復職準備と再発防止に努める仕組みです。患者は、休職に至った経緯を振り返り、自己理解を深めながら治癒し、最終的にはセルフマネジメントの能力も身につけることができます。

そのほか、相談を受け付けているサポート機関や役立つWebサイトなどを以下にまとめました。働きやすい職場環境整備や労働者の心のケアの参考としてご利用ください。

<主な相談機関およびWebサイト>

こころの耳
http://kokoro.mhlw.go.jp/jigyosya/
厚生労働省の、自殺予防・メンタルヘルスのポータルサイト
【主なサービス】
心の健康度のセルフチェック、相談機関の案内、各種支援制度、事例紹介
うつ病リワーク研究会
http://www.utsu-rework.org/index.html
リワークに関する基盤整備のため医療機関に所属する医療者が組織する研究会
【主なサービス】
復職に関する啓発活動、企業向け研修会の実施
中央労働災害防止協会
http://www.jisha.or.jp/
事業の自主的な労働災害防止活動を支援する団体
【主なサービス】
メンタルヘルスケアの導入や拡充にあたっての助言・指導(無料)、各種研修会の実施、メンタルヘルスの専門家の事業所への派遣
安全衛生情報センター(中央労働災害防止協会)
http://www.jaish.gr.jp/td_chk/tdchk_menu.html
中央労働災害防止協会が提供するサイト
【主なサービス】
疲労蓄積度チェックリスト、職場の健康づくり支援のための情報・資料の収集と提供、メンタルヘルス対策に関する資料や事例の紹介
労働者健康福祉機構
http://www.rofuku.go.jp/
働く人の健康を守るための各種センターなどを全国展開している機構
【主なサービス】
労災病院、産業医を支援する産業保健推進センター、健康診断・リハビリ・呼吸器・せき損・腰痛・ストレス・心臓の各専門センター、心の電話相談
メンタルヘルス対策支援センター(労働者健康福祉機構) 
http://www.rofuku.go.jp/tabid/111/Default.aspx
労働者健康福祉機構のセンターの1つ
(メンタルヘルス不調の予防から職場復帰支援まで、職場のメンタルヘルスの総合窓口として、全国47箇所に設置)
【主なサービス】
各種相談、専門家による事業所訪問(対策導入支援)、説明会・交流会開催。すべて無料
労災病院 勤労者メンタルヘルスセンター(労働者健康福祉機構)
http://www.rofuku.go.jp/rosaibyoin/center/mentaru.html
労働者健康福祉機構のセンターの1つ(医療機関)
【主なサービス】
企業の健康管理担当者対象の講習(管理上の注意や予防に関する講習)開催、個人向け電話相談(「勤労者心の電話相談」など)・来所相談・メール相談
地域障害者職業センター
http://www.jeed.or.jp/jeed/location/loc01.html#03
独立行政法人 高齢・障害者雇用支援機構の施設
【主なサービス】
職場復帰を支援する「リワーク支援」を実施。休職中のうつ病など精神障害の社員が円滑に職場復帰できるように本人と事業主に対して、主治医等と連携した支援を行う
労災保険情報センター
http://www.rousai-ric.or.jp/index.html
財団法人労災保険情報センターのポータルサイト
【主なサービス】
労働災害に関する補償制度や、労災医療など労災保険制度等の相談、広報、出版、研修など労災保険に関する支援

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