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「従業員の副業」に関する疑問を解決

(情報掲載日:2012年1月23日)

Q1企業に勤務する従業員は、本業以外の副業に従事することができるのでしょうか?
A1

公務員の副業は法律で禁止されています(地方公務員法38条、国家公務員法103条)が、民間企業の従業員を拘束する法律はありません。原則的には、勤務後や休日の過ごし方を縛られない(日本国憲法22条「職業選択の自由」)ことが憲法で保障されています。
しかし、憲法によって民間企業の従業員の勤務後や休日の行動が会社に拘束されないことが保障されているといっても、企業には就業規則があり、その中で副業の禁止が定められていることが多いようです。

Q2就業規則の拘束力は、どの程度あるのでしょうか?
A2

就業規則は、労働条件や職場で守るべき規律などを事前に明確にしておき、企業側と従業員間の無用の争いを防ぐことを狙いにしています。その位置づけは、企業側と従業員の間で決められた“ルール”といえます。
この就業規則は、パートタイム・アルバイトを含め、常時10人以上の労働者がいる事業場では、作成と労働基準監督署への届出が労働基準法で義務づけられています。それに違反すると30万円以下の罰金が科せられます。
就業規則と法律では、法律の方が拘束力は強いとされます。しかし就業規則はルールといいながらも、就業時間内においては雇用契約の一部として法的な拘束力を持ちます。

Q3就業規則で副業を禁止しているのに、従業員が副業をしていることがわかった場合、どのように対応すればよいのでしょうか?
A3

就業規則で副業が認められていない以上、副業をすることによって懲戒処分の対象になる場合があります。
ただし、就業時間外は労働者の自由な時間ととらえ「労働契約上の権限が及ばない範囲の二重就労であれば、副業も可能であると解釈することもできる」という見解も存在します。また、近年の判例では「就業規則で副業が禁止されている場合であっても、本業に支障が出ない範囲ならば懲戒処分の対象ではない」との判断がなされています。例えば、会社勤務をしながら農業に携わるという兼業農家や、働きながらアパート経営をすることは、自社の就労に支障を生じる可能性が薄いために容認している企業が多いようです。

そもそも副業を禁止する正当性として、(1)副業をすることで労働時間が長くなり本業でミスが続いたり、遅刻や欠勤をさせたりすることなく従業員を業務に専念させる、(2)社内の秩序を守る、(3)企業秘密を守り、企業の信用を失墜させないことなどが考えられます。そのため、「就業規則に反して副業をした」という理由だけでは懲戒処分はできず、(1)副業をすることが労務提供に支障をきたしているか、(2)企業秩序に問題を生じさせているかなどについて、その程度も含め検討する必要があります。
例えば、従業員が勤務中に副業していた場合は、その内容によって社内の秩序を乱すと判断されることもあるかもしれません。競業他社で働いたり、本業の専門知識や営業ノウハウを副業先で利用したりすることは、処分の対象になる場合もあります。
逆に、勤務時間外の短期アルバイトで、会社の企業機密やノウハウを使用することなく、競業会社に利益を与えることもなく、業務における具体的な支障がなければ、副業禁止に反しないと判断されることもあります。
私立学校の専任講師が、喫茶店経営をしたために「就業規則に定める兼業禁止に反する」として懲戒解雇されたことについて、判例は「就業規則の兼業禁止条項に違反するというためには、兼業によって労働者の労務提供などが著しく困難になる実質を備えたものでなければならない」とし、「本件喫茶店営業はその実質を備えたものではなく、懲戒解雇は無効である」としています。

Q4就業規則に「副業を認める」内容を追加する場合、何を考慮し、どういった内容を盛り込むべきでしょうか?
A4

就業規則の内容は各社が独自に決めるものですが、多くの場合「服務規律」の章で副業について定められていることが多いようです。
副業を完全に禁止する場合は「社員の個人の営利を目的として、他の会社などの業務に従事しないこと」などという項目を盛り込みます。会社の許可を得た時に限り副業を認める場合には「承諾なく、社員の個人の営利を目的として、他の会社などの業務に従事しないこと。ただし、希望者においては、他社での業務を認めることがある」「事前申請をして、会社が認めた場合のみ副業を認める」などという項目を盛り込みます。さらに、「これに違反した場合には、懲戒処分を科す」という内容の項目を加えておいてもよいでしょう。

その他に、副業を認める場合には、副業をすることで従業員が疲労やストレスなどをためないように健康管理面への配慮が必要になります。副業をすることで従業員の疲労・ストレスがたまり、本業が疎かにならないようにしておかなければなりません。また本業と副業の優先順位が逆にならないように「副業は週3回以内にとどめる」「副業が許可されていても、残業しなければならない時は、残業を優先させる」などと具体的に制限内容を決めておくとよいでしょう。
就業規則変更は、労働基準監督署に届け出る必要がありますから、副業の回数や総時間数など、状況に応じて柔軟に変更する可能性のある内容は、就業規則ではなく届出の不要な内規で定めておくのがよいかもしれません。ただし、内規には法定裏付けがないので、制限内容に法的根拠をもたせたい場合は、就業規則に盛り込む必要があります。

Q5企業にとって副業を認めるメリットにはどのようなものがありますか?
A5

不景気で残業が減ったり、企業がやむを得ず自宅待機を命じたりする場合もあります。そんな時に副業が許可されていれば、従業員が自ら生活を守ることができます。企業にとっては、必要な人材の流出を防ぐことにつながります。
また、本業で培った専門知識を翻訳、学校講師、病院の事務といった副業で活用させることを認めている企業があります。従業員が二足のわらじをはくことで、人脈拡大、スキルアップが図られ、企業の業績向上や活性化にもよい影響を与える可能性があります。

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