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「改正労働基準法」に関する疑問を解決

(情報掲載日:2012年1月23日)

2010年4月から施行された「改正労働基準法」について、よくある疑問にお答えします。

Q1改正で、休日労働の割増率は変わりますか?
A1

いいえ、変わりません。今回の改正で変更されるのは「時間外労働」の割増賃金率であるため、「休日労働」の割増賃金率は35%以上のままです。

  定義 改正による変更
休日労働 法定休日※1の労働 なし
(現行と同様の35%以上)
時間外労働 法定時間外の労働
(法定外休日※2の労働は、その週の労働時間との合計が40時間を超えた場合、法定時間外の労働として計算する)
60時間を超える時間外労働の割増賃金率50%以上

※1 法定休日…労働基準法に定められた休日。毎週1日もしくは4週間に4日与えなければならない。
※2 法定外休日…事業所ごとに定める「法定休日」以外の休日のことを指す。この日の労働は労働基準法上の「休日労働」にはあたらない。

Q2月60時間を超える時間外労働を行っているのが深夜時間帯である場合、残業代の割増率は変わりますか?
A2

はい、変わります。深夜時間帯の割増賃金率は改正後も25%以上ですが、60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率が現行の25%以上から50%以上に引き上げられるため、時間外労働が月60時間を超えた場合の深夜労働の割増賃金率は75%以上になります。

月60時間を超える時間外労働が深夜時間帯である場合の割増賃金率

なお、今回の割増賃金の引き上げについて、中小企業に関しては施行から3年経過後に改めて検討することとされ、適用が猶予されます。中小企業とされる判断基準については、厚生労働省のリーフレットをご覧ください。

・厚生労働省 「労働基準法の一部改正法が成立〜平成22年4月1日から施行されます〜」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/dl/tp1216-1e.pdf

Q3改正後、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率は50%以上になりますが、この50%以上分の賃金支払に代えて有給休暇を付与することは可能でしょうか?
A3

いいえ、労使間で協定を締結した場合でも、有給休暇として付与できるのは今回の改正による割増賃金率引き上げ分25%以上分のみです。現行の時間外労働 の割増賃金率である25%以上分は、賃金として支払わなければなりません。 また、たとえ有給休暇を付与していても、労働者が実際に有給休暇を取得しなかった場合には、50%以上の割増賃金支払が必要となります。

なお、割増賃金率の代わりに付与する「有給休暇」は、長期間の時間外労働を行った時から一定の近接した期間内に付与することが想定されており、詳細については法施行までに厚生労働省令にて定められます。

Q4 特別条項付き36協定を結ぶときには、必ず月45時間超の時間外労働について割増賃金率を定める必要があるのでしょうか?
A4

はい、必要です。

法定労働時間を超えて労働をさせる場合には、労働基準法第36条により、あらかじめ労使間で協定を結ぶことが定められていますが(通称36協定)、これには労働時間の限度が定められています。この限度を超えて労働させたいときに結ぶのが特別条項付き36協定です。

今回の改正によって、特別条項付き36協定を結ぶ際には、月45時間を超える時間外労働に対して割増賃金率を定めることが必要となりました。さらに、下記の2点が「努力義務」として追加されています。

  • ・45時間を超える時間外労働の割増賃金率は25%を超える率とするよう努める
  • ・時間外労働をできる限り短くする
Q5年次有給休暇の時間単位取得の制度を事業場に導入するためには、どのような手続きが必要でしょうか?
A5

今回の改正により、1年間のうち5日分に限り、年次有給休暇を時間単位で取得できることになりました。この制度を導入するためには、労使間で書面による協定を結ばなければなりません。その際には、以下の3点について定める必要があります。

  • ・制度の対象となる労働者の範囲(パートタイム労働者なども範囲に含むことが可能)
  • ・時間単位で取得できる有給休暇の日数(5日以内)
  • ・その他、施行までに厚生労働省令で定められる予定の事項

また、年次有給休暇の取得単位の選択は労働者に委ねられており、使用者の判断で労働者が取得する単位を決めることはできません。

<参考>

労働基準法 改正の背景

2008年に厚生労働省が発表した「脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況」(※1)によれば、過労死などの事案に対する労災支給決定数は2004年以降増加傾向となっています。また、同省の「労働時間等見直しガイドライン」(※2)では、近年、全労働者の平均労働時間は短縮しているものの、その原因は労働時間の短い人が増加しているためで、依然として労働時間は短縮されていないと述べられています。

今回、「労働基準法の一部を改正する法律」(以下「改正労働基準法」)が改正された背景には、こうした長時間労働や過重業務といった問題に対して、労働者の生活と健康に配慮した、より良い労働環境の整備を進めるという目的があります。

改正労働基準法のポイント
改正ポイント 改正前 改正後
時間外労働 時間外労働の割増賃金率は25%以上

※月45時間を超えた時間外労働を行う場合、あらかじめ労使で特別条項付きの時間外労働協定を締結する
月60時間を超える時間外労働の割増賃金率は50%以上
改正による引上げ分の割増賃金の支払に代えて、有給休暇の付与が可能
月45時間の限度時間を超える時間外労働に対して、割増賃金率を定める必要あり
そのほか、以下を努力義務として追加
・月45時間を超える時間外労働割増賃金率は25%を超えるように
・労働時間の短縮
年次有給休暇 日単位での取得 1年に5日分を限度として、年次有給休暇の時間単位での取得が可能(ただし、労使協定の締結が必要)

時間外労働の改正点

まず「時間外労働」についての改正で注目すべき点は、割増賃金率の引き上げです。 現在、時間外労働の割増賃金率は一律25%以上とされていますが、改正後は、1か月に60時間を超える時間外労働に対して、割増賃金率が50%以上となります。
なお、労使間で協定を締結すれば、この改正による引き上げ分を賃金の代わりに有給休暇として付与することができます。ただし、割増賃金率50%以上のうち、割増賃金の引き上げ分25%以上を有給休暇に変更した場合でも、現行の25%の割増賃金は支払が必要なため、注意が必要です。

また、1か月45時間という限度時間を超えて時間外労働を行う場合には、あらかじめ労使で特別条項付きの時間外労働協定を締結する必要がありますが、改正後はその協定事項として「割増賃金率」も定める必要があります。同時に「25%を超える割増賃金率を設定するよう努めること」と「時間外労働を短くするよう努めること」という2点の努力義務も追加され、そのうち「時間外労働を短くするよう努めること」については改正法の施行までに、具体的な基準を定めた限度基準告示が改正される予定となっています。


年次有給休暇の改正点

「年次有給休暇」については、時間単位での取得が可能となります。実施には労使間での協定の締結が必要ですが、1年に5日分を限度として、年次有給休暇を時間単位に分割して取得することができるようになります。
その際、年次有給休暇を「日単位」で取得するか「時間単位」で取得するかについては、使用者が勝手に決めることはできず、労働者が自由に選択できます。

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