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「管理監督者」に関する疑問を解決

(情報掲載日:2012年1月23日)

Q1管理職であれば誰でも管理監督者となりますか?
A1

いいえ、管理職と管理監督者は異なります。

管理監督者は労働基準法第41条2号で「監督又は管理の地位にある者」と定義されており、厚生労働省の通達では「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」とされています。同通達には、管理監督者であるかどうかを判断するための考え方も示されています。その一部を下記に紹介します。

  • ・労働時間等の規制を超えて活動することが要請されざるを得ない、経営者と同等程度の重要な職務と責任を持っているか
  • ・その地位にふさわしい賃金などの待遇を与えられているか

このことから、管理監督者であるかどうかは実態に即して判断する必要があり、「〜長」などの役職・名称があるだけの管理職では「管理監督者」とは呼べないことがわかります。

通達について、詳しくは厚生労働省「監督又は管理の地位にある者の範囲」をご覧ください。

・厚生労働省「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について」
(平成20年9月9日付け 基発第0909001号)
●管理監督者の範囲についての解釈例規:厚生労働省「監督又は管理の地位にある者の範囲」(昭和22年9月13日付け 発基17号、昭和63年3月14日付け 基発150号)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/09/dl/h0909-2a.pdf

Q2 小売業や飲食業の管理監督者について、最近通達が出たと聞きましたが、どのような内容でしょうか?
A2

「名ばかり管理職」などの問題の高まりを背景として、厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長に対して出された「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について」(平成20年9月9日付け 基発第0909001号)(※1)という通達があります。

この通達は、管理監督者の範囲の適正化を図ることを目的としたもので、「職務内容、責任と権限」「勤務態様」「賃金等の待遇」などの項目ごとに、管理監督者性が否定される判断要素が記載されています。

また、この通達に関して留意すべき事項(※2)として、下記のような趣旨の事項が通知されています。

  • ・通達は、管理監督者の範囲の適正化を図ることを目的として発出したものである
  • ・従来の基本的な判断基準を変更したり、緩めたりしたものではない
  • ・通達で示した判断要素にひとつでも該当する場合、管理監督者に該当しない可能性が大きい
  • ・通達の内容に該当しない場合に管理監督者性が認められるものではない
Q3管理監督者には残業代を支給しなくてもよいのでしょうか?
A3

はい、労働基準法にある「労働時間、休憩及び休日に関する規定」は、実態に即した管理監督者に該当する場合であれば適用されません。

管理監督者はその立場と責任上、場合によっては決められた労働時間や休日の枠を超えて働く必要があります。その場合に限って管理監督者を規制の適用外とする、というのが労働基準法の趣旨です。

ただし、割増賃金の支払義務が発生しないのは、あくまでも時間外労働に関する部分です。深夜労働については除外されていないため、管理監督者にも深夜業の割増賃金は支給する必要があります。

Q4 主任を管理監督者として扱っているのですが、違法となる可能性はありますか?
A4

はい、可能性はあります。あくまで実態に即した判断が必要であって、職名をもって管理監督者と判断するのではありません。
管理監督者として扱われていた主任の時間外労働に対する割増賃金を支払うべきかが争われた過去の判例では、以下のような理由から「主任は管理監督者に該当しない」という判断がされました。

  • ・一般職の部下がいなかった
  • ・室長や班長というさらに上位職の指揮監督下にあった
  • ・出退勤記録がタイムカードで管理され、出社と退社について厳格な制限を受けていた

職名をもって管理監督者と判断するのではなく、法令や通達に基づいて判断することが重要となります。

Q5最近、裁判などでも注目されていますが、飲食店等の店長は管理監督者ではないのでしょうか?
A5

いいえ、従来の基本的な判断基準を満たしていれば、店長が管理監督者の場合もあります。

ただし、判断基準の一つに当てはまったからといって、管理監督者であると結論付けるのは危険です。たとえば過去の判例では、ウェイターの採用や売上金管理を任されていたレストランの店長について、管理監督者に該当しないという判断がされています。この場合、主に以下の点が理由となりました。

  • ・仕事内容が店舗の他の一般労働者と違わない
  • ・レストランの営業時間内は完全に拘束され、出退勤の自由がなかった
  • ・ウェイターの労働条件も最終的には会社が決定していた

管理監督者かどうかの判断は、ケースごとに異なります。それぞれの実態に即した、総合的な判断が必要でしょう。

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