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ビジネス英語発音のポイント

より通じやすいビジネス英語発音のポイント

英語で話をする際、思いがけない簡単な単語を聞き直されてしまう…。そんなやりとりを少しでも効率よく変えていくには、英語を母語とする外国人がどのようにして音を出しているのかを知ることが近道と言えるでしょう。今回は、ビジネス英語発音のポイントをご紹介します。

今回の記事には発音記号が登場しますが、最近ではウェブの英語辞典で発音を聴くことができる単語がほとんどです。発音記号を読もうとするよりも、音を聞いてみるのが一番わかりやすいので、該当する英単語と「辞書」などのキーワードを入れて検索してみましょう。

■子音を優先して単語を識別する英語圏の人
Bad weather. Budweiser.

アメリカで同僚のホームパーティーに招かれたAさん、ミネアポリスの激しい降雪のなかドライブをし、冷え切った体で同僚宅につきました。そして、ホストのロバートの前にたどりついたAさんは、“Bad weather.”と話しかけました。ロバートは冷蔵庫からビール(Budweiser)を差し出したそうです。Aさんの体は冷え切っていて、ビールという気分ではなかったのですが、大きな缶一本を我慢して飲みほしました。この誤解の原因は何なのでしょうか。

理由1 ‘Bad’のaの部分の発音が日本語で発音する「バッド」とほぼ同じものになっていた。

Badを発音記号で表すととなります。は、
1. 口の端を日本語のときよりもやや誇張ぎみに横に引っぱるようにして「エ」と言います。
2. 「エ」の口の形と音をキープしたまま、すかさず「ア」と言いましょう。

理由2 ‘weather’の‘th’の発音が‘z’の音になってしまっていた。

‘th’は突き出した舌と前歯の隙間から空気を押し出して発音します。

Aさんは、‘weather’の母音を「ワイザー」と発音したわけではありません。日本人は母音を優先して識別する習慣により「ワイ」ではなく「ウェ」であることに注目し、「バッドウェザー」と認識します。しかし、英語圏では‘th’と‘z’の違いに最も注目するため、「ワイ」と「ウェ」の違いは大きな意味を持ちません。その重要な「ザー」の音に影響されて、「バドワイザー」であると認識したのです。

■通じる子音は息の吐き方が違う

先の‘th’に代表される英語の子音の発音はこれほどに「英会話が通じるか否か」を左右する重要なファクターです。
英語の子音をうまく発音するポイントは、空気の吐き出し方にあります。その空気の流れを視覚的に記録する実験が行われたことがあります。‘key’という単語を日本人と英国人に発音させたとき、発音し始めた瞬間の空気の様子を特殊なカメラで撮ったものでした。
その実験結果によると、日本人の発音は空気の量が少なく、空気は口の下の方向へ線香の煙のようにひょろひょろと流れるそうです。つまり、空気を少しずつゆっくり吐いているために、あごに沿って弱く流れていくのです。
こうした発音では、英語圏の人の耳は母音だけを認識してしまいます。
日本人がアメリカ人に対して言った
“What time do you get up?”
が、「アッ・アイム・ウー・ウー・エット・アップ」と聞こえてしまった、別の実験結果もあるとのことです。

一方で、英語圏の人に子音をきちんと認識させる発音方法とはどんなものでしょうか。英国人の吐く空気は、まるで大道芸人が火を吹くように大量、かつ顔の前方に向かっています。速く、勢いよく空気を吐き出しているのです。こうして発音をすることで、英語圏の人は子音をきちんと認識することができるのです。

特に‘p’ ‘t’ ‘k’などの子音、これは英語では吐く息だけで出す音であり、本来上述の「大道芸人」方式ではっきり発音しなければ認識されないものでありながら、日本語では息が弱いうえに必ず「プ」「トゥ」「ク」と母音‘u’をともなう習慣がついてしまっています。これらは英語圏の人にとって「ブ」「ドゥ」「グ」のように聞こえるそうです。

■母音を使い分ける

日本語で母音といえば「ア」「イ」「ウ」「エ」「オ」の5つですが、英語ではより多くの音を使い分けます。たとえば、「ア」に近い音は数え方によって全部で6種類あると言われます。日本語の母音別に、特にはっきりと違いを発音できるようにならなければならないものを以下にまとめました。

日本語の5つの母音で、残りの4母音についても、「エ」などのようにほとんど日本語と同じ発音で通じるものは除いています。
イギリス英語とアメリカ英語では発音が異なる発音記号もあります。(※1) 日本人が日本で学ぶ英語はほとんどがアメリカ英語ですので、ここでは米語の発音に絞って説明をします。

日本語の「ア」にあたる英語の母音は3つ

  発音の仕方 発音の説明 単語例
のどの奥から
「ア」
“Hot tea”を頼んだのに、なかなか通じなかった経験は意外に多いものです。“hot”の発音 “”は「オ」ではなく、タテに指3本入れるくらいの気持ちであごを十分に下げて「ア」と言います。 hot
not
fox
「ア」と「エ」を
同時に
アメリカでトイレを表す“bathroom”の発音“”は、前述の“bad”と同じ「エア」を素早く言うような発音です。日本語風の「バス」と小さな声で発話していては“bus”と誤解されてしまうことになるかもしれませんので、丁寧に発音しましょう。 apple
man
bat
力を抜いて
弱く
「ア」+「ウ」
“about”の発音“”の最初の「ア」は、唇、あご、舌、すべての力を抜き、動かさないで、口はわずかに開けます。そしてあごを下げずに「ア」と言います。他の種類の「ア」に比べると特に力を入れる必要はなく、発音しやすいはずなのですが、日本語の「ア」であごを下げるクセがついてしまっているので発音し分けるのが難しい音です。あごが下がってしまったとき明確に意識できるように、たとえば頬杖をついて練習してみましょう。 about
account

日本語の「イ」にあたる英語の母音は2つ

  発音の仕方 発音の説明 単語例
口を強く横に引っ張りながら「イー」 “She” の発音“”というときなど、「イー」と伸ばす「イ」行は、日本語の「イ」より力の入った音です。いつもよりもっと口を横に引っ張るつもりで発音してみましょう。 eat
peace
bee
「イ」と「エ」を同時に “sick”の発音“”は、歯をむき出した状態から力を抜いた「イ」です。「イー」よりも前から見える歯の本数が少ない開き方で「イ」と「エ」の間の音が出ます。 fish
build
pin

日本語の「ウ」にあたる英語の母音は2つ
「イ」と同じで、音を伸ばす緊張型と、伸ばさない弛緩型があります。

  発音の仕方 発音の説明 単語例
唇をしっかり突き出して「ウ」 “you”の伸ばす「ウ」。日本語の「ウ」よりも、唇をしっかり突き出して発音しましょう。 who
fool
rule
力を抜いて「ウ」 “I’m full.”「お腹がいっぱいです。」の“”、まずは日本語の「ウー」をうんと唇を突き出して言ってみましょう。その状態の唇から完全に力を抜きましょう。そのまま「ウ」と短く言います。 put
wool
good

日本語の「オ」にあたる英語の母音は2つ

  発音の仕方 発音の説明 単語例
伸ばしっぱなしの「オー」 “Law”の発音 “”は、「オー」とそのまま伸ばしっぱなしの音です。 law
raw
saw
最後に口を丸める「オゥ」 “Low” の発音“”は、「オゥ」と最後に口を丸めます。日本語的に両方とも「ロウ」と発音してしまっていては、意図がきちんと伝わらない場面が多いことでしょう。 show
coat
low

※1 アメリカ英語とイギリス英語の発音記号の相違一覧(一部紹介)

単語 アメリカ英語 イギリス英語
hot
not
fox
bathroom
show
coat
low
■教科書には載っていない、くっつく音変化に要注意

仏語のみならず英語にもある「リエゾン」

「星の王子さま」の作家であるが「サンテグジュペリ」と読まれるのは、フランス語特有のリエゾンの規則によるもの。実は、英語にも同様のことが起きるのです。
“It’s all over in an hour.” ここでは子音のあとに母音が続く部分に下線を引いています。こうした部分では発音がくっつく「リエゾン」という現象が起こり、「イッツオーオウヴァリンナンナウワ」と聞こえます。子音のあとに母音が続くところでは必ず発生しているので、実際の英会話の中で遭遇する率は非常に高いです。リエゾンを起こした語句を繰り返し聞き、自分でも発音して慣れ親しむことが大切です。

How about a cup of tea? 「ハウバウダカパティー?」
What would you like to drink? 「ワッウッジューライクタドゥリンク?」
などのようなリエゾンが、会話の中でよく出てきます。

「ウォーター」が「ワラー」に変わるフラップ

ニューヨークに引っ越してきたばかりのイギリス人が、駅の売店で電池を買おうとして“battery”「バットゥリー」と何度も店員に言っているのに一向に電池を出してもらえず、「バラリー」と言ってやっと買うことができたという実話があります。このように、アメリカ英語では‘t’の音が前後を母音ではさまれた場合に、本来「タ」行である‘t’が「ダ」行のような、「ラ行」のような音に変化します。

Peterさんを呼び止めるには「ピーダー」とあいまいに発音しないとなかなか振り向いてもらえない可能性もあります。
また、Waterをアメリカ人にお願いするときには、「ワラー」とアメリカ風に発音しないと、水を出してもらえないこともあります。

音節の分け方の根本的な違い

以下で取り上げる発音の解説ではカタカナとアルファベット混じり文が登場します。本来英語の子音を表すアルファベットには母音が一切含まれていない、そういった現象を厳密に表すための表現です。

日本語では、子音には必ず母音がついていて、1文字ごとに音節を切る習慣があります。ところが、英語では1つの単語の中で子音だけが連なることもあり、日本語とは全く異なる構造を持っています。
たとえば‘f’をカタカナ表記すると「フ」のように‘u’音がどうしても含まれてしまいますが、‘f’とは下唇に前歯を押しあてた直後に勢いよく息を吐く音だけで構成されています。カタカナ表記の「フ」のように、本来入っていない母音を無意識に発音してしまうことにより、「聞き返される英語」の一因を作ってしまっているのです。

“business”は「ビ・ジ・ネ・ス」の4音節ではなく、「ビz・ニs」の2音節ととらえます。各音節の中には、基本的に母音が1つあり、子音はいくつあっても関係ありません。
日本語的に考えると「スペリング上」の母音の数にとらわれてしまい、誤解しやすいので要注意です。英語の世界で重要なのは、あくまでも「発音上」の母音の数です。

英語のネイティブ・スピーカーは、強勢のある音節の中身さえはっきり発音し、単語を構成する音節の数が正しければ、その後を認識することが可能と言っても言いすぎではないくらいです。
たとえば“business”なら、2音節のうち強勢のあるひとつめの音節「ビz」をはっきりと発音すれば、ふたつめの音節「ニs」を発音する際、仮に「ニs」の発音が不明瞭であっても音節数を守っていることになるため、聞く側は“business”だと認識できるのです。日本語のように「ビ・ジ・ネ・ス」と4つの音節で発音すると、音節の数が異なるため伝わらなくなってしまいます。

■英語のビートに切り替えよう

音の強弱や長短の組み合わせで構成される英語特有のリズムに乗せるだけで、通じる確率が劇的にアップします。リズムをつける法則は、「内容語」と「機能語」にあります。たとえば「接近しています。すぐプールから退場しなさい」、この文の下線部分だけで文をつくると「雷接近。すぐプール退場」と電報のような文になりますが、最低限の意味は伝わります。

反対に、下線部分以外だけを集めてみると、「が、しています。に、から、しなさい」と何が言いたいのかまったくわかりません。

「内容語」に分類されるものは8品詞

名詞:物や人、場所についた名前。office, building, corporation...
動詞:動作や状態を表す語。greet, seek...
形容詞:名詞を飾る言葉。eloquent, sufficient...
副詞:動詞、形容詞、副詞を飾る語。again, mostly, very...
指示代名詞:「あれ、これ」など指し示す語。this, that...
所有代名詞:「〜のもの」を意味する語。ours, theirs...
疑問詞:what, when, how...
再帰代名詞:-selfで終わる語。myself, ourselves...

機能語は次の7品詞

人称代名詞(主格と目的格):I, he, theyなどとme, him, themなど。
人称代名詞(所有格):my, her, ourなど。
助動詞:動詞の前に置かれるmust, can, などとdo, haveなど。
前置詞:名詞の前に置かれるin, of, aboutなど。
冠詞:a, an, theなど。
接続詞:and, orなど。
関係代名詞:who, that, whichなど。

「内容語」は大きく・はっきり・長く発音され、「機能語」はその反対に小さく・速く・短く話されます。それが基本的なルールではありますが、話しながら単語の品詞を考え、強弱をつけるのは容易ではありません。手本になる音声をできる限り多く聞き、自分で発音してみるという習慣の積み重ねによって身につくのです。

【参考文献】
『英語舌のつくり方 ――じつはネイティブはこう発音していた!』(研究社)著/野中 泉

※参考文献の詳細は、下記を参照ください。
http://www.amazon.co.jp/dp/4327440841/

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