旧メールマガジン⁄テンプの知恵袋

ビジネス英語のマナー

英語の「敬語」を知ってマナー向上を

■Pleaseをつけただけでは失礼!?

人に何かを頼むときは、命令形にplease を付ければ丁寧な表現になる、と覚えた人が多いでしょう。ところが、それだけでは「少し怒りながら私に注文しているのかも」と思われてしまう場合があります。

そのほかにも、ぶっきらぼうに受け取られる可能性があるので使わないほうが無難な言い回しがいくつかあります。以下、場面別に、要注意の表現、やや単刀直入だが十分に丁寧な表現、ほぼどこに出しても恥ずかしくない表現を順番に例示します。

◆依頼する際の丁寧な表現

メールで返事を催促する

丁寧度:低

Please answer my August 17th e-mail by Friday morning.
8月17日付のメールへの返事を金曜朝までにください。
実はこれは何度目かの催促のときに送るべき、ずいぶんと単刀直入な印象の催促です。なかなか返信してこない相手に対して応答することを要求するのに適しています。

丁寧度:中

Would you please answer my August 17th e-mail by Friday morning?
8月17日付のメールのお返事を金曜朝までにいただけますか?
2度目に送る催促。返事をお待ちしていることをストレートに伝えます。

丁寧度:高

Would it be possible for you to answer my August 17th e-mail by Friday morning?
8月17日付のメールへのお返事を、金曜朝までにいただくことはできますでしょうか?
1度目に送る催促であれば、このくらい丁寧な表現がいいでしょう。Would it be possible 〜? が控えめな印象を与え、相手に失礼がないように、という思いやりの気持ちが伝わります。

CCでなくBCCで送ってほしいと伝える

丁寧度:低

Please send it by BCC and not CC.
CCではなくBCCで送ってください。
既にいろいろな立場の相手に、このようなメールを送ってしまった方がいるかもしれません。実は、これは「あなたは送ってくれて当然(相手に断る余地を残さない)」という前提、つまり命令調の言い方で、指示する立場の人が使う表現です。

丁寧度:中

Would you send it by BCC and not CC?
CCではなくBCCでお送りいただけますか?
これはビジネスに最低限必要な丁寧さを備えつつ、ややストレートな要求(相手が断る余地が少しある)を伝える依頼です。

丁寧度:高

Would you mind sending it by BCC and not CC?
恐れ入りますが、CCではなくBCCでお送りいただけますか?
Would you mind 〜? は丁寧な依頼です。「嫌でなければ〜していただけますか?(相手が断る余地がたくさんある)」といったニュアンスを含みます。
◆誘ったり勧めたりする際の丁寧な表現

電車の中で席を譲る

丁寧度:低

Please have a seat.
どうか座ってください。
やや命令的(あなたはそこに座るもの、という前提で、相手が断る余地がない)な言い方ですが、誰にでもはっきりわかるように微笑みながら、抑揚に富んだ陽気な様子で親しみをこめて言うなら問題ない場合もあります。表情などで、命令的な意味合いを弱められる自信がないときは、避けたほうがよさそうです。

丁寧度:中

Oh, would you care to have a seat?
どうぞ席にお座りください。
見知らぬ人に声をかけるときのフレンドリーな表現です。 Ohは「今思いついた」ことを伝える上品な表現です。こちらも気軽に誘っていますからと相手に断る余地を与えるような、心遣いが込められています。

丁寧度:高

May I offer you my seat?
お掛けになりませんか?
ややかしこまった丁寧な表現です。紳士的な響きがあります。
◆許可を得る際の丁寧な表現

相手のオフィスなどでトイレを借りる

丁寧度:低

Where's your restroom?
化粧室はどこですか?
語尾を下げていうと、「トイレはいったいどこ?」という威圧的な響きになる、やや命令的な(あなたが私を案内して当然という前提で、相手が断る余地がない)言い方です。相手の会社を訪ねているとき、うっかり口にしないよう気をつけたいものです。

丁寧度:中

Could I use your restroom?
化粧室を使わせていただきたいのですが。
親しい友人を含め誰に対しても使える依頼の表現です。遠慮のニュアンスはないが丁寧な響きがあります。

丁寧度:高

Would you mind if I used your restroom?
化粧室を使わせていただけますか?
Would you mind if 〜? は丁寧で奥ゆかしい印象を与える依頼の表現です。あまり親しくない人の家に訪問した時などに使います。

なお、この際、「トイレを使う」という状況はまだ現実に起きていない「〜だったとしたら」なので、if節の動詞は used という過去形を使います。
if節の動詞が現在形の場合「〜であるかどうか、〜するかどうか」、事象は現実に起きているが話者が認識していないことを表します。

◆質問する際の丁寧な表現

ビジネスランチの精算時に金額を聞く

丁寧度:低

How much?
いくらになった?
値段を聞く、といえばこの言葉ですが、気兼ねのない友人同士の会話でしか使えない表現です。

丁寧度:中

How much is it, may I ask?
すみません、おいくらでしょうか?
ストレートな申し出(これいくら?)ですが、may I ask (聞いてもいいかしら?)をつけることでやや控えめで丁寧な印象を与えます。

丁寧度:高

How much would that be?
(私の分は)いくらになりますか?
値段など聞きだすのは失礼と承知のうえで伺いますが、という前提で遠回しに割り勘を申し出るフレーズで、遠慮がちな表現です。
◆意見を伝えたり申し出たりする際の丁寧な表現

電話で至急連絡をとりたい旨を伝える

丁寧度:低

Sorry, but I've got to talk to Ms.Yamada right away.
至急山田さんと連絡をとりたいのです。
やや粗雑な表現ながら必死さが伝わります。どうしてもすぐに連絡がとりたいという状況のときに使います。

丁寧度:中

Sorry to bother you, but I need to talk to Ms.Yamada right away.
お手数で申し訳ないけれど、至急、山田さんに連絡をとらなくてはいけないのです。
「丁寧度・高」よりは軽くなりますが、失礼ではありません。やや焦っている気持ちが伝わる表現です。

丁寧度:高

I'm truly sorry to bother you, but I'd like to talk to Ms.Yamada right away.
お手をわずらわせてしまって大変申し訳ありませんが、至急、山田さんとお話ししたいのです。
とても丁寧な言い方。I'm truly sorry で誠意が伝わりますが、せっぱつまった印象は与えることができません。

以上、今まで使ってしまった失礼な表現、初めて知った新しい丁寧な表現はあったでしょうか? 教科書で学んだときには問題ないとされていた言い方でも、ネイティブスピーカーから見ると思わぬ意味を含んでいるものです。状況に応じた敬語表現を使いこなせれば、気持ちの良いコミュニケーションがビジネスにも良い影響を与えることでしょう。

【参考文献】
『丁寧さ別3段階 敬語の英語 実践編』(ジャパンタイムズ)著/デイヴィッド・セイン、佐藤淳子

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