江國香織と辻仁成による大ベストセラー小説を下敷きにした、恋愛映画『冷静と情熱のあいだ』。女性の視点と男性の視点から、それぞれストーリーを語るこれまでにない手法で、東京、フィレンツェ、ミラノの三都市を舞台に、10年を越える男女(順正とあおい)の愛が綴られた原作小説は、大きな話題を呼びました。そして注目の中での映画化となった本作も、小説版に劣らぬ人気作に。公開は2001年11月。フィーバーを記憶している人も多いことでしょう。
海外の地での展開に重きのある作品の場合、観終わった後、足を運んでみたいと思えなければダメですよね。そう考えるに、『冷静と情熱のあいだ』は、まさに成功例と言える出来。登場するイタリアのフィレンツェとミラノは、本作の主役といっても言い過ぎではない存在感を放ち、わたしたちをそれぞれの街へと誘ってくれるからです。
特にタイトルバックとクライマックスシーンに登場するフィレンツェのドォーモ(大聖堂)は、圧巻の美しさ。映画をまだ観ていない人も、公開当時、ドォーモを空から撮影した目を見張る素晴らしい映像を、どこかで見ていると思います。また、退いたカメラが映し出すオレンジ色の屋根で埋め尽くされたフィレンツェの街並みは、鳥肌ものの景色。この景色を観るだけでも、イタリアに足を運ぶ意味はあるのではないでしょうか。また、順正が自転車やバイクで過ぎる路地も、フィレンツェの日常を感じさせて、これまたステキです。
さて、順正がフィレンツェにわたったのは、絵画の修復士を志したからでした。師事した工房の先生が、あるとき、彼に語ります。「この街は老いていく。修復してもまた傷んでいくのよ」と。彼女はその後、命を絶つことになるのですが、一方、順正の口から発せられるのは、彼女とは対照的な印象を残す言葉です。「修復士とは、滅びかけた命を再生し、失われた時間を取り戻すことのできる職業だ」。こうした信念のある順正だからこそ、あおいへの情熱を失わず、まっすぐに想い続けることができたのでしょう。さらには、現在を響かせることの大切さに気付き、あおいと向き合うのです。
そしてあおいと向き合う運命のラストに登場するのが、荘厳なミラノ駅。こんなにステキな駅だもの、運命の出会いがあってもおかしくないですよね。ところで、順正とあおいの長きに渡る物語は、確かに感動的ですが、彼らの相手役として登場する芽美とマーヴも気になる存在です。ひょっとしたら内面が複雑なあおいよりも、シンプルに順正を想い、気持ちをぶつけてくる芽美に共感する女性のほうが多いかもしれません。マーヴも、Mr.ジェントルマンと言いたくなる青年実業家。何やら逃した魚は大きい?と思ってしまいそうにもなりますが、それではラブストーリーが成り立ちませんね(笑)。
冷静と情熱のあいだ
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■STAFF & CAST
監督:中江 功
出演:竹野内 豊/ケリー・チャン
ユースケ・サンタマリア/篠原 涼子
マイケル・ウォン/椎名 桔平 他
DVD発売中
発売元: フジテレビジョン・角川書店
販売元: ポニーキャニオン
4,179円 (税込)
©2001フジテレビジョン・角川書店・東宝

愛し合いながらも別れることとなってしまった男女が、10年後、再び愛を実らせるまでを描いたラヴ・ロマンス。
監督はTV『プラトニック・セックス/20歳の純愛編』の中江功。
主人公・順正を演じるのは、「星の金貨」「ビーチボーイズ」などのドラマで若い女性に絶大な人気を誇り、この作品が映画初出演となる竹野内 豊。
そしてあおいを演じるのは、「世界の涯てに」や「アンナ・マデリーナ」で金城武とコンビを組み、恋に揺れる女心を熱演、女優・歌手、そして映画監督としてもマルチな才能を発揮している香港のスター、ケリー・チャン。


美術絵画の修復士を志す阿形順正(竹野内 豊)は、フィレンツェの工房で修復の修行に明け暮れ、その才能を開花させようとしていた。
そばには活発で少々気の強い芽実という恋人が見守り、人生は順調そのもののはずだった。
しかし、彼の心の中には常に空虚な穴がぽっかりと空いていた。
それは、かつて愛した一人の女性の存在をどうしても忘れる事が出来なかったからである。
香港からの留学生で、学生時代をともに過ごし、そばにいるだけで心が休まり、まるでテレパシーが通じ合うかのごとくお互いの全てを分かり合えた女性、あおい(ケリー・チャン)。
順正に残された最後の望みは、10年前の他愛もない約束“あおいの30歳の誕生日にフィレンツェのドゥオモのクーポラで待ち合わせる。”というものだった。あおいはもう忘れてしまっているに違いない。しかし順正は、一縷のはかない望みだけに全てをかけて再びイタリアへと旅立つ。あの愛は真実だったということを証明するために…。