シネマ デ テンプ

私の頭の中の消しゴム

ヒロイン de シネマ

私の頭の中の消しゴム

監督

イ・ジェハン

出演

チョン・ウソン
(『MUSA -武士-』『デイジー』)
ソン・イェジン
(『ラブストーリー』『四月の雪』)
ペク・チョンハク
(『少女たちの遺言』『春の日は過ぎゆく』)

私の頭の中の消しゴム
A MOMENT TO REMEMBER
DVD発売中 ¥3,990(税込み)ジェネオン エンタテインメント
(C)2004 CJ Entertainment Inc.&Sidus Pictures Corporation. All rights
reserved Based on the television program "Pure Soul"Created and produced
byYomiuri Television,Japan 2001

イントロダクション

建設会社の社長令嬢スジンは、自分の勤める会社の上司ヨンミンと不倫関係にあった。あるとき、駆け落ちの約束をするが、彼は結局現れず、傷心のうちにスジンは街を歩く。立ち寄ったコンビニでコーラを買って出るも、レジに置き忘れたことに気付いて引き返したとき、店から出てきた無精ひげの男チョルスの手にコーラがあるのを見たスジン。てっきり彼が横取りしたと思い、コーラを奪って一気に飲み干してしまう。数日後、チョルスと再会したスジンは、無骨な中に優しさを感じさせる彼に惹かれるようになる。また、好意を持っていたのは、チョルスのほうも同じだった。一気に距離を縮めたふたりは、幸せな結婚生活を迎えることに。しかし、スジンの物忘れはひどくなっていき、診察の結果、若年性アルツハイマーだと判明。それは徐々に記憶が失われ肉体的な死よりも精神的な死を先に迎える残酷な病だった…。
日本のテレビドラマを基に韓国でリメイクされた純愛ストーリー。

コラム

スジン(ソン・イェジン)
「“許し”とは、心の部屋をひとつ空けること」。ヒロインのスジンが、おじいさんに教わったとチョルスに語った言葉です。かつて自分を捨てた母親のことを、ずっと許せずにいたチョルスに向かって、スジンが伝えたメッセージ。簡単なことのようでいて、実際に行うには難しい内容ですが、チョルスはスジンに出会ったことによって、広い心持ちのある人物へと変わっていきます。

そそっかしい箱入りのお嬢様と、孤独なガテン系の男。スジンの勘違いによって互いに残された印象は、再会のときに、すでにそれぞれの心に特別な感情を芽生えさせていました。結婚後も、彼女の忘れっぽさは相変わらずでしたが、単なる性格の問題だけではないことが、次第にわかってきます。出会った日、スジンは不倫相手との別れのストレスから貧血で倒れた直後でした。発病の引き金をひいたのは、おそらくこのとき。新しい記憶から奪っていく病は、皮肉なことに、運命の人であるチョルスとの思い出を先に消し去り、不倫相手との思い出を残すことに。

“頭の中に消しゴム”を持ってしまったスジンを、それでもチョルスは愛し続けます。「もし自分の大切な人が、こうした病に侵されたら」と、わが身に置き換えて考えてみた人も多いことでしょう。愛する人が徐々に、何もかも忘れていく。こんなにも愛し合った自分のことすら識別できなくなる。自分の目を見て、かつての恋人の名を呼ぶ…。目を背けたくなるほどに、辛い現実。そして、忘れていく側の抱える恐怖も、想像を絶します。

心の底から愛する相手を自分自身が傷つけてしまっている、と自覚できてしまう恐ろしさ。そしてやがてはその自覚すらもなくなってしまう精神的な死の訪れ。スジンは、彼女のすべてを受け入れようと決意したチョルスの前から、姿を消します。行動させたのは、自分自身を失っていく姿を、チョルスに見られたくないとの、自己防衛の気持ちもあるでしょう。が、むしろ彼を傷つけたくないから、との気持ちのほうが勝っているように思えます。精神的な死を前にして、スジンはなお、チョルスのことを思いやっているのです。

自分以外の者のために、心の部屋をひとつ空けるということは、何も“許し”に限って成されることではありません。スジンとチョルスは、心の部屋を互いにいくつも分け合い、共有していったのです。ふたりの暮らしていた部屋を、彼女の記憶の代わりとなるよう、メモで埋め尽くしたチョルス。終盤、療養先で、多くのことは覚えていられないからと、ツーショット写真1枚だけを部屋に残したスジン。彼女の病を食い止めることは、悲しいけれど、できません。しかし彼女の最後の記憶には、ふたりの強い想いによって「愛してる」の言葉が刻まれています。

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