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<1>乳がん検診を、ちゃんと受けていますか?
乳がん検診での見落としがマスコミで取り上げられて以来、乳がん検診についての話題が多くなりました。でも、「触診だけの検診では意味がない」「マンモグラフィをむやみに受けるのはよくない」などさまざまな情報が飛び交い、「じゃあ、どうしたらいいの?」と考えてしまったことはありませんか?乳がん検診の現状、各年代ごとにどんな検診の受け方がベストなのかなど、仙台乳腺クリニックの大内明夫先生におうかがいしました。今の自分にピッタリの方法を知って、大切な乳房を守りましょう。
乳がんは、今や日本人女性がかかるがんの1位。検診の重要性も一般に浸透してきたようですが、実際のところどうなのでしょうか。
「実は、他の臓器の検診と比べて乳がん検診の受診率は一番低いんです。だいたい22〜23%といったところ。自己検診にいたっては、毎月きちんとしている人は1割程度ではないでしょうか」と大内先生。「乳がんは増加を続けていますが、それでも欧米諸国と比べれば、まだ1/5〜1/6程度。しかし、このままいけばさらに増えるだろうといわれています。乳がんは、たまたま乳房にしこりを触れて受診し、乳がんが発見されることが一番多いのですが、その時のしこりの大きさは2cmから3cm。自己検診していれば、しこりの大きさが1cmにもなればたいていは気づきます。何より自己検診が大切なんです。『年に一度検診を受けているから大丈夫』という方もいますが、それは間違い。検診で見つからなかったしこりが1カ月後に見つかることだってあるんですから。『触ってもよくわからない』という声もよく聞きますが、慣れてくると必ず変化がわかるようになります。初めて触る医師以上に、自分の感覚を信用してください」。
自己検診の大切さはわかりました。では、検診については?
「視触診だけの検診では、専門家でも乳がんと診断することはできません。20〜40代では乳腺組織がかたくなることがあり、マンモグラフィではしこりが見つけにくいことがあるので、超音波検査(エコー)がおすすめです。乳がんが増える40代以上は、年に一度マンモグラフィ(乳房専用レントゲン検査)を受けること。集団検診の場合、マンモグラフィを併用すると、視触診だけの場合の2.5倍の乳がんが発見されます。
<2>もしも、乳がんと診断されたら?
乳房の痛みは、乳腺症など女性ホルモンによるものがほとんど。以前は、乳がんに痛みはないとされていましたが、痛むケースもあることがわかってきました。痛みがあるから大丈夫などと思わずに、専門医の診察を受けましょう。乳房を残す温存手術ができるかどうかは、乳がんの広がりやリンパ節転移の有無、性質、できた位置などによって決まります。しこりの大きさでいうと、3cmまでなら温存できる可能性が高くなります。
もしも乳がんと診断されたら、日本では、乳がん治療のガイドラインが確立されていないため、手術の方法やどの治療法をどう組み合わせるかなど、施設や医師によって違いがあります。乳がんと診断されたら、自分にはどんな治療法が考えられるのか、その中からどれを選ぶのか、医師からきちんと説明を受けて選択しなくてはいけません。あまりあせらず、自分でもある程度の知識を得るなり、セカンド・オピニオンを受けるなりして信頼できる医師を選び、納得のいく治療を受けたいものです。
ただ、しこりが見つかっても心配しないで!8割以上は良性です。ですが、視触診では判断できないので、早めに専門医に診てもらいましょう。乳がんと間違えやすい病気には、このようなものがあります。
[1] 乳腺症(にゅうせんしょう)
しこりや痛み、乳汁分泌などの症状があります。生理前に痛みが強くなり、生理が始まると軽くなるのが特徴。これは病気ではなく、女性ホルモンの作用によるものなので、痛みがひどくなければ放っておいても大丈夫です。ただ、乳がんとの区別がつきにくいので、定期的に検診を受けることが大切です。
[2] 乳腺線維腺腫(にゅうせんせんいせんしゅ)
乳腺にできる良性の腫瘍で、10代〜30代の若い世代にできることが多いものです。人によって違いはありますが、周囲との境目がはっきりしたしこりで、触ると硬くてよく動きます。基本的に切除の必要はありませんが、視触診だけで確実な判断はできないので、専門医によるきちんとした検査を受けましょう。
[3] 乳管内乳頭腫(にゅうかんないにゅうとうしゅ)
乳管の中にできる良性の腫瘍で、乳首から分泌物が出ます。小さなしこりなので、外から触ってもほとんどわかりません。専門医にかかり、超音波やマンモグラフィで乳がんと区別する必要があります。
[4] 葉状腫瘍(ようじょうしゅよう)
乳腺線維腺腫に似ていますが、急に大きくなるのが特徴。組織検査で最終診断をしますが、基本的に切除します。
<3>いくつかの方法を組み合わせた、複合検査を!
女性の場合、年齢によって乳房の状態が変化することもあり、年代によってベストの検診方法が少し変わります。今の自分にはどんな方法がベストなのか、しっかり覚えておきましょう。
20代では、乳がんにかかる率はまだ低いのですが、中には乳がんが見つかる人もいます。まずは月に一度のセルフ・チェックをしっかりと。気になることがあれば、すぐに専門医を受診しましょう。
30代からは、みなさんの住む自治体の乳がん検診の対象となります。月に一度のセルフ・チェックに、年一度の検診を加えましょう。セルフ・チェックで気になることがなければ自治体の検診でも構いません。医療機関で受ける場合は、視触診とエコーを。必要に応じてマンモグラフィも受けますが、30代ではまだ乳腺組織が硬いので、マンモグラフィではしこりがわかりにくい場合もあります。
40代は、乳がんにかかるのが最も多い年代なので、注意が必要です。月一度のセルフ・チェックはもちろん、年に一度の検診では、エコーとマンモグラフィの両方を受けるようにしたいもの。最近では、自治体でも40代の検診にマンモグラフィを導入しつつあります。閉経後は、乳腺組織が脂肪にかわるので、マンモグラフィでの診断がつきやすくなります。月に一度のセルフ・チェックと年一度の検診でのマンモグラフィは欠かさずにしましょう。
<4>面倒がらずに、月一度のセルフ・チェック!
なかなか病院に行くことができないときには、手軽にできる自己診断がおすすめです。早期発見のために、何より大切なセルフ・チェックは、毎月、生理が終わって4、5日目頃がベストです。閉経後は、毎月日にちを決めて行いましょう!
| (1) |
鏡の前に手をおろして立ち、左右の乳房の大きさは対称か、ひきつれやくぼみ、乳頭部のただれ、皮膚の赤みなどはないかを調べます。 |
| (2) |
両手を上げ、1と同様の方法で調べます。 |
| (3) |
仰向けに寝て、乳房の中心から周辺へ、指で軽く圧迫しながらしこりがないか調べます。 |
| (4) |
手を上げて、3と同様に調べます。 |
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大内明夫先生
仙台乳腺クリニック院長。昭和45年弘前大学医学部卒業、昭和49年東北大学大学院医学研究科卒業後、東北大学医学部、東北労災病院を経て、宮城県仙台市に東北初の乳腺クリニックを開業。日本乳癌検診学会理事、評議員。日本乳癌学会:評議員、認定医、専門医。 |
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