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<1>働く女性の約4割が、痔の経験者?! 痛みや出血がつらい痔。場所が場所だけに、誰にも言えずに一人で悩んでしまいがち。病院に行かずに治すには?どうしたら予防できるの?など、肛門科専門医であるマリーゴールドクリニックの山口トキコ先生に、さまざまなお話をお伺いしました。一般に「中年男性の病気」というイメージが強い痔ですが、実は妊娠や出産、便秘などと関係が深く、痔に悩む女性は多いのです。北海道旭川市にある「くにもと病院」では、95年に企業で働く10代〜60代の女性509人に「便通と生活習慣」についての調査を実施。なんと調査では、働く女性の約4割が「痔を経験したことがある」と回答しています。症状の中でも、ダントツで多いのが出血。イボ痔がお尻の外に出てしまう脱出(だっしゅつ)も1割以上が経験しているほどです。でも、やっぱりいざとなっても肛門科には行きにくいもの。専門医を受診した人はわずか8.1%だそうです。肛門科に入るところを人に見られるのもいやだし、診察室で男の人と顔を合わせるのもいや。おまけにお尻を診察されるなら、自分でなんとかしよう、と思ってしまう人も多いんですよ。 でも、うちの患者さんは、なんと8割が女性。そのうち20代・30代で仕事を持つ人が7割。最近、以前に比べて痔が低年齢化してきたように思います。痔の最大の原因は便秘ですが、話を聞いていると、朝食を食べない、排便習慣がない、外食が多いなど便秘になりやすい生活をしている人が多いんです。『家のトイレでないとできない』とがまんするのもだめ。そのうち便意を感じなくなり、がんこな便秘になります。また、ダイエットやストレス、疲れも痔を引き起こします。痔は、体の不調や心の問題と直結していて、日頃の生活の結果できるもの。いくら治しても、生活を変えなければ、何度でも再発します。痔になったことを機会に、生活習慣を見直してほしいですね。 <2>痔には、大きく分けて3タイプ! [1] 1番多いのは、痔核 いわゆるイボ痔で、男女ともに一番多いのがこのタイプ。強いいきみや長時間の同じ姿勢、ストレス、妊娠・出産などが原因でお尻の静脈の血行が悪くなり、一部がコブのように膨らんでしまうのです。また、直腸と肛門の境目にあたる歯状線より内側にできるものを内痔核、外側にできるものを外痔核といいます。 内痔核は、神経の通っていない直腸にあるので痛みはありません。ただ、排便のときにこすれてかなり出血することも。進んでくると、排便時に肛門の外に脱出するようになります(脱肛)。指で押し込めば戻りますが、さらに症状が進むと元に戻らなくなります。こうなると、粘液で下着が汚れたり、出血・痛みをともなうようになります。外痔核は、肛門の入り口に突然血の塊ができて、とても痛みます。 内痔核は、まず便通をととのえ、座薬や炎症止めでイボを小さくします、また、進行して出血を繰り返す場合は、痔核に直接注射して出血を止めたり、痔核にゴムをはめて組織を壊死させる方法などがあります。手術をするのは、脱肛を起こしていて本人が希望する場合や日常生活に支障がある場合です。外痔核は、患部を温めて血行を良くして軟膏を塗っておけば、数日で痛みはひきます。痛みがひどい場合は、血栓を切開すればすぐに痛みはなくなります。[2] 痛みが辛い、痔肛 いわゆる切れ痔。硬い便や下痢で肛門が切れてしまった状態で、若い女性に多い痔です。排便時にかなり痛むので、それがいやでトイレを我慢してしまうことも。そうなると、ますます便が硬くなり、傷が悪化するという悪循環になりがち。何より便通をととのえ、早めに治療することが大切です。初期には排便時の痛みと少量の出血ですが、進行すると排便後の痛みが長引くように。くり返すうちに傷が炎症を起こして潰瘍となり、肛門が狭くなってしまうこともあります(肛門狭窄:こうもんきょうさく)。 まず患部を清潔に保ち、便通をととのえること。同時に、便をやわらかくする薬や痛み止めの軟膏を使います。肛門狭窄を起こしている場合は、手術が必要になりますね。また、切れ痔をくり返すと、肛門の出口付近に「見張りイボ」という皮膚のでっぱりができたり、血栓性外痔核がしぼんだ後に「皮垂(ひすい)」という皮膚のたるみができることがあります。痛みはないので「お尻から何か出ている」と言われて初めて気づく人もいるみたいですね。治療の必要はありませんが、気になるなら外来で簡単に切ることができます。 [3] 要注意!痔ろう いわゆる、あな痔。痔の中で一番やっかいなタイプですが、女性には少数です。痔ろうの前段階となるのが、肛門周囲膿瘍。下痢などが原因で肛門の奥から細菌が入り、肛門の周囲に膿をもったおできができ、発熱することも。膿が出てしまえばラクになりますが、お尻の中に膿の通り道が残ってしまうのです。この状態が、痔ろうです。痔ろうは、痛みはほとんどなく時折膿で下着が汚れる程度ですが、自然に治ることはありません。複雑化したり、がん化することもあるので、ほとんどの場合は手術が必要となります。 <3>出血発見!まずは、自分で治したい。 痛みがある場合は、外痔核か裂肛(れっこう)が考えられます。まずは清潔を心がけて、お風呂やカイロなどで腰回りを温めて血流をよくするとラクになりますよ。市販の薬で、しばらく様子をみましょう。 大切なのは、痔になった原因を考えて、それを取り除くこと。 ・便秘を解消する ・疲れているならゆっくり休む ・お酒を飲みすぎたなら、少し控える など生活に気をつけて!ただし、肛門周囲膿瘍や痔ろうは温めてもよくなりません。出血した場合は、患部をきれいにして軟膏や座薬を使ってみてください。いずれにしても、長引くようなら一度病院を受診しましょう。というのは、大腸がんなどのほかの病気が隠れていることがあるからです。 また、市販の薬には、炎症やかゆみを抑えたり、便をやわらかくする成分が入っています。外に出ている部分には軟膏、肛門の内側なら坐薬や注入軟膏を使いましょう! <4>肛門科って、どんなことをするところ? 肛門科は、確かにとても行きにくいところだと思いますよ。私のクリニックにも、恥ずかしさから長い間病院に行けずに、悪化させてしまった人が大勢いらっしゃいます。中には、痔がコンプレックスになり、彼も作らない、人とお風呂にも入れないという女性もいます。自分では見えない場所で、人と比べることもできないので、不安が大きいのでしょうね。でも、診察を受けてみると、『なんだ、たいしたことなかったんだ』と安心する方がほとんどです。 痔というとすぐに手術を思い浮かべる人が多いようですが、手術が必要なのは全体の2〜3割程度。たいていは、薬や生活習慣の改善で良くなります。手術をする場合も、レーザーを使えば痛みや出血も最低限ですむので、日帰りで大丈夫です。 心配な診察時の体位ですが、今は横向きに寝る『シムス体位』が一般的。お尻が見える程度に下着をおろせばOK!診察は、肛門の周辺をみた後、肛門に指を入れて、痔の状態をみます。それから肛門鏡を挿入して内部の様子を診察。いずれも麻酔作用のあるゼリーを使うので、力を抜いていれば、痛みはほとんど感じませんよ。安心してくださいね。 |
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